ウイリアム・フリードキン監督が死去。報道したテレ朝スタッフは、映画をちゃんと観ているのか?と怒りをおぼえた件。 [映画]

2023年8月。

ネットでニュースを眺めていたら、ハッとする記事がありました。

アメリカの映画監督、ウイリアム・フリードキンさんが、87歳で逝去されたとの事。フリードキン監督といえば、1973年の大ヒット映画「エクソシスト」の監督であり、「フレンチ・コネクション」ではアカデミー監督賞を受賞した、一応は、名匠であります。「一応は」つうマクラコトバを付けた理由は、映画史に残る前出2作を残した一方で、恐るべき駄作も作っておられ、そのデカすぎる振れ幅ゆえに、山本リンダさんでなくても「困っちゃう~わ~」つう気持ちになるから、でした。はい。

それにしても「エクソシスト」は素晴らしい映画でした。悪魔に憑かれたリーガン(リンダ・ブレアさんが熱演!)の、首180度クルリン、空中浮遊、緑色のゲロをブファー、医者の股間をグイッ、スパイダーウオーク・・・など刺激の強いシーンが注目されがちですが、映画の肝は、むしろ人間たちの心理的葛藤や、信仰心のもろさ、人間の弱さ、なんですよね。

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その後、粗製乱造された単なる怖がらせ映画と一線を画した、何度観てもしびれる名作なのです。なんたって老練なエクソシスト(悪魔祓い)であるメリン神父を演じたのが、ベルイマン映画の常連マックス・フォン・シドーさんですよ!そこに、マイク・オールドフィールドさんのテーマ曲「チューブラーベルズ」の病みつきメロディが流れたら、も~う辛抱たまらんでしょう!・・・と話がマニアックになって失礼。

ところで、訃報を報道したテレ朝のニュース(以下)について、です。私は、ひじょうに気に入らない、のです。

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アナウンサーが、フリードキン監督をこう紹介しているからです。

=====ニュースからの抜粋========

フリードキン監督は「フレンチ・コネクション」や「エクソシスト」でアカデミー賞を受賞し、ホラー映画の巨匠として知られ、7日、ロサンゼルスで亡くなりました。

====== 抜粋終わり =======

私が気に入らない点をお判りでしょうか。まず、フリードキンさんがアカデミー監督賞を受賞したのは「フレンチ・コネクション」(1971年)だけです。「エクソシスト」はノミネートはしたものの受賞はしていません(受賞したのは脚色賞と録音賞)。つまりテレ朝のいう「・・・エクソシストでアカデミー賞を受賞し」は間違いです。なぜだか知らんのですが、この誤解、昔から散見されますね。ジョージ・ロイ・ヒル監督の立場はどうなるのだ!と強く申し上げたい。

さらに、テレ朝ニュースによれば「フリードキン監督は、ホラー映画の巨匠として知られ」ているそうですが、誰がそんなこと言ったんでしょう?ホラー映画と呼べるフリードキン作品は「エクソシスト」「ガーディアン」「バグ」くらいでしょう(エクソシストはホラーというより、オカルトと言われるが)。

デビッド・クローネンバーグさん、ジョン・カーペンターさん、サム・ライミさん、清水崇さんを、ホラー映画の巨匠と呼ぶなら納得しますが、フリードキンさんに、その肩書きはあり得んでしょう。

ニュース原稿を書いた方、ちゃんと映画を観てるんでしょうか?観ていないなら、なぜ識者への確認をしないのでしょう?

昔のひとだし外国人だし、イイカゲンで良いじゃろ、つう甘い考えが見え見えじゃないか。受け売りの情報を垂れ流しただけの、この体たらく。嗚呼、情けないわあ・・・と書くほどに虚しくなるので、テレ朝の批判は以上。

さて前出の、フリードキン監督「ガーディアン 森は泣いている」(1990年)について一言。これがもう、とんでもない駄作なんであります。大林宣彦さんが監督してもここまでは酷くはならんやろ、という超絶レベル。ワタクシは公開時、札幌で拝見し、映画の内容もさることながら、広~い館内に観客が私一人だけだったことに深~くマイナス感動した次第でした。はい。

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いろいろ書きましたけど、名作「エクソシスト」「フレンチ・コネクション」だけでなく、「恐怖の報酬」「クルージング」「ブリンクス」など、個人的に思い入れのある映画を残してくださったフリードキン監督。ご冥福をお祈りいたします。本日は以上!

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