映画「インフィニティ・プール」。観ると人間をやめたくなる胸糞悪い傑作、と申し上げたい。 [映画]

2024年4月。

本日は、観たら人間をやめたくなる胸糞の悪~い映画を取り上げます。といっても否定・罵倒するつもりは毛頭ございません。むしろ絶賛です。こうゆう映画を待っていたんじゃ!正確に言うとこうゆう映画を作る監督を待っていた、のでした。その監督と作品は、

ブランドン・クローネンバーグ監督(&脚本)インフィニティ・プール(2023年)。絶賛公開中であります。

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映画好きの方なら監督のラストネーム「クローネンバーグ」に、おや?と反応するでしょう。そう、SF系ホラーの名作「ヴィデオドローム」「スキャナーズ」や「裸のランチ」などを世に放ったカナダの名匠、デヴィッド・クローネンバーグさんの、ご子息なんですね~。

ブランドンさんは44歳、本作を含め長編を3本撮っているらしい。私は「インフィニティ・プール」が初体験で、感想を申せば、まじ最高っすね~~!上映中に身のやり場が無くなるヒリヒリ感、ジリジリ感がたまらん。主人公は、このあといったいどんな酷い目にあうんじゃ~、お願いっ、もう許してあげて~、と叫びたくなります。こうでなくちゃあ。

この手の観客の神経を逆なでする映画監督といえば、スイスのミヒャエル・ハネケ御大を頂点に、ラース・フォン・トリアーさん、デヴィッド・リンチさんなどがおられますが、皆さまそれなりのご高齢。期待の星(?)だったコーエン兄弟、ダーレン・アロノフスキーさん、ギレルモ・デル・トロさんもアカデミー賞レースにからむようになったためか、作品から「イヤ~な感じ」が薄れてしまいました・・・。

てなわけでブランドン・クローネンバーグさんは、ハネケ御大の衣鉢を継ぐブットビ監督になってほしい!目標はトッド・ブラウニング!・・・って今のご時世、あれ(フリークス)は絶対ダメでしょ、さすがに。

と、暴走気味かつマニアックに好き勝手を書いてしまいました。改めて映画「インフィニティ・プール」について、です。

舞台は架空の国の高級リゾート島。主人公は売れない小説家ですが、妻が資産家の娘なので使える金は潤沢。ある日、彼は島内で誤って人身事故を起こし、拘留された施設で死刑を言い渡されます。絶望する主人公に対し、驚くべき提案がなされます。

大金を支払えば、クローンを作って自分の身代わりにできる、というのです。死刑になるのはクローンで、本人は無罪放免だと。こうして刑をまぬがれた主人公ですが、このルールは、金さえ出せばどんな犯罪も許されることを意味しており、やがて彼は、滞在中の他のセレブたちと狂気の無法行為に走っていく・・・と、まあこうゆうお話です。ね?これだけ聞いてもイヤ~な気持ちになるでしょう。予告編を貼り付けておきます。


ブランドン・クローネンバーグ監督の脚本は秀逸で、演出には独特のリズムがあって、エログロで終わらないところが見事です。このテーマですべると、ただのキワモノ、下品なゴミ映画だもんなあ。

エクセントリック系映画で、公開されたら必ず観る!と私が決めている監督は、アリ・アスターさん、ジョーダン・ピールさん、タイ・ウエストさんなんだけど、ブランドンさんも、めでたくそこに加わっていただくこととなりました。パチパチ(拍手の音)。

とはいえ本作に最も貢献した人物といえば論を待たず、ミア・ゴスさんでしょう。死刑をまぬがれた主人公を闇の世界へ引きずり込む超・悪女を演じてます。その存在感、突き抜けた演技に心底、恐れ入りました~~。

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ミア・ゴスさんといえば、タイ・ウエスト監督「X」「パール」で女殺人鬼を怪演し、ワタクシを仰天させた若手女優です。「X」では殺人ババア(のパール)と、被害者マキシーンを演じ分ける離れ業を披露。エイミー・アダムスさん、ルーニー・マーラーさんと並んで、ミア・ゴスさんはあと数年のうちにアカデミー主演女優賞を獲る、と、私は確信しているのです、はい。(Xシリーズ第3弾「マキシーーン」が楽しみじゃのう~)。

おっと、ついつい話が長くなってしまいました。すいません。

蛇足ですが、シネコンで「インフィニティ・プール」を拝見したとき、入場口でこんなものをいただきました。映画のなかで主人公がかぶる気持ちの悪いマスク(の紙印刷したやつ)であります。

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良いんですよ、何を配っても。でもさ、これもらって喜ぶ客ってかなり変でしょう。受け取ったとき私はつい「なんじゃ、こりゃ!」と呟いてしまった。渡したおねえさんも「ははは、たしかにキモイですよね~」と応じてくれました。不気味グッズから、ちいさな共感、ココロの交流が生まれたところで、本日は以上!

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