映画ネタ。あまりに酷すぎる誤記に、ゲラゲラ大笑いした愉快な日。 [映画]

2024年3月。

先般、博多キャナルシティのシネコンで、ワタクシ、映画を観ながら久しぶりにゲラゲラ声をあげて笑いました。ホアキン・フェニックスさん主演「ボーはおそれている」を観たときのこと。現実とも夢ともつかない不可思議な世界で、主人公のボーがさんざんぱらひどい目にあう、というブットんだ内容でした。

笑ったシーンは、ネタバレで申し訳ないですが、物語の後半の劇中劇です。ボーは生き別れになった3人の息子を探して何十年も世界中を彷徨うわけです。苦労の末、やっと息子たちと再会でき、抱き合って涙を流す親子・・・。感動場面でボーが語ったのは「わしのオヤジもジイサンも、セックスのさなかに死んだ。だから、わしは生まれてから一度もセックスをしたことがないのじゃ・・・」。おお、なんと不幸な事件!ここで息子のひとりが問います「おとうさん・・・じゃあ、ぼくたちはどうやって生まれたんです・・・?」。

アレ?オヨ?ン?って、このオチ、まるで故・中島らもさんの書くベタなコントそのもの。とぼけた味わいに、わたしゃゲラゲラ笑いましたね~。もちろん、私以外、誰も笑ってませんでしたが・・・。

さらに映画のラスト近く。幼なじみの女性と再会したボー。その彼女が突然死するんですが、死んだとたん死後硬直していて、死体が張り子の人形のようにコロリンと転がったとき、またぞろ私はゲラゲラ笑っちゃいました。

いやあ、アリ・アスター監督、今回も最高ですわ!そしてこんな映画(良い意味で)を金出して作っちゃうA24スタジオもどうかしてますよ(良い意味で)。さあ、皆さんも「ボーはおそれている」を観て、各人のツボで大笑いましょう~!

さて、以上が前置きです・・・って、前置き、長っ!

博多での舌の根も、つうかゲラゲラ笑いも乾かぬうちに、映画ネタでさらなる大笑いをしたのであります。こちらは、ありがちな誤記ですけどこれを笑わず何を笑うんじゃ、てなもんです。

1989年に亡くなった俳優・松田優作さん生誕75周年企画として、優作さんの出演作11本を、丸の内TOEIで3月15日から上映するというニュース。

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スポニチアネックスのネットニュースで私は知ったのですが、その記事のスットコな誤記に、私は大爆笑しちゃったんです。以下が記事のコピペ。ライターは松田優作さんのことをザックリ紹介して・・・

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上映される映画を列記しています。問題の箇所はここですよ、ここ!

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ここってどこかって?映画タイトルをご覧ください「ア・ホースマン」って書かれているでしょう。

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ほらね、映画好きのアナタ。アナタもいま大笑いしましたね!仲間がいて嬉しいなあ~。

そう、「ア・ホースマン」は誤記で(それだと馬男だもんなあ~)正しくはア・ホーマンス」なんですよ。批評家の評価は低いかもしれんけど、松田優作さんが監督・主演をつとめた重要作品。そのタイトルを思いっきり、馬と間違うとは、スポニチアネックスのライターさん、頭がどうかしている、つうか、よく分かってないのに記事を書くなよ~と言いたいね。

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ネットにあげちゃった手前「ア・ホースマン、ザ・馬男」で押し切るぞ、松田優作さんの顔は長いからOKじゃ!と言い張るとしても、それは顔の長い人間であって、馬男ではない。演じるからには、この手のカブリモノは必要でしょ?(ネット販売サイトより)。

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こうなるとハードボイルドどころか、完全なコメディですな。あはははは。

いろいろ書きましたが、スポニチアネックス(のライター)さん、世知辛いご時世に爆笑ネタを与えてくださって、ありがとうございました~。とはいえ、こんなズサンな仕事を続けていると、そのうち関係会社から出入り禁止をくらいますぜ。エンターキーを押す前に、もう一度、内容をチェック!これ社会人の基本ですぜ。と、説教オヤジっぽくさえずったところで、本日は以上。ヒヒ~ン!(←馬男の「じゃあね」が出ました)

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映画「君たちはどう生きるか」の見どころ(聞きどころ)は、なんたって菅田将暉さんの声技でしょう! [映画]

2024年2月。

半年前に観た映画なので、内容を忘れかけてますけど、本日は映画「君たちはどう生きるか」を取り上げます。言うまでもなく、スタジオジブリ製作、宮崎駿監督によるアニメーション作品でございます。

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現在、世界のあまたの映画祭で受賞ラッシュとなっている本作。極めつけは、来月(3月)発表される米国アカデミー賞(長編アニメーション部門)でしょう。まあ、賞を獲ることと、観て感動するかは別なので、ことさらそこ(賞)に重きをおくのもオカシイすけどね。

私が本作を観てまず感じたのは、宮崎御大らしい作品だなあ、というコト。主人公である少年 眞人が義母を助けようと、謎のアオサギに導かれて異世界へ入り込み、そこで出会った人や体験をとおして成長する、という骨子は「千と千尋の神隠し」をはじめジブリ作品の王道パターン。「エブエブ」ごときが持ち上げられる何年も前から、ジブリはマルチバース界を極めていたのであります。そう、世界観に意外性がない分、安心して映画を楽しめるわけですな。

そして「アナ雪」「ウイッシュ」といったディズニー映画の薄っぺらい価値観の押し付けとは違って、多様な解釈が成り立つ多視点的で奥行きのある物語が魅力。いやあよくまあ、こーゆー見事な話が作れるもんだ、と感心しきり。

タイトル「君たちはどう生きるか」は、本が劇中に登場するものの、映画の内容とはリンクしていないように思えました。ただしワタクシ、吉野源三郎さんの本を読んだのが約50年前なので、それ以上のコメントは不能。ちなみに、本作の英語圏でのタイトルは「The Boy and The Heron」=「少年とアオサギ」となっており、私はこっちのほうがしっくりきますね。

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そのアオサギをはじめ、異世界にはペリカンだの、ガマガエルだの、オウムだの、いろんな種族(?)がおられるわけだが、ワタクシのツボはワラワラであります。か、かわいい・・・還暦過ぎのジジイ(私のこと)は、こーゆー、めんこいキャラに弱いのであ~る。

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さて以上が前置きです・・・って、前置き長っ!

「君たちはどう生きるか」を観て、すげえなあ~、と唸った一番のポイント。それはアオサギの声を演じた(日本語変?)菅田将暉(すだ まさき)さんです。「翔んで埼玉」第2作でも若手実力派俳優と称されていた(その映画を出すかよ)今をときめく名優ですけど、このアフレコが、ほんまにスゴイ

ずるがしこいけど、間抜けでお人よし、最後は命の危険を顧みず主人公を救うアオサギ。そいつを場面に応じて変幻自在の声技で演じる菅田さん。あいみょんさんも柴咲コウさんも大健闘だけど、菅田さんのアオサギの前ではかすんでしまう。いったいアンタ、何者なんだ、恐るべし、菅田将暉さん!

なお英語吹替版では、アオサギの声を、私が大好きなロバート・パティンソンさんが担当してるらしい。実写でコウモリを、アニメでアオサギを・・・芸達者でございますなあ。さらにマニアックな深堀りをすると、老ペリカンの声は、ウェレム・デフォーさんがご担当。やりました~、これで映画「ライトハウス」の名コンビ復活であります。となると気になるのは、あの名演技のカモメ・・・って違う映画の話を混ぜるなよ!(映画「ライトハウス」はこちらの記事を参照→クリック

ということで、菅田将暉さんの力量にほれぼれしたというまとめでございました~。最後は、自宅裏手の緑地にやってくるアオサギさんの写真をくっつけて本日は以上。

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映画「哀れなるものたち」。エマねえさんのアカデミー主演女優賞は確実じゃん、と微妙な興醒め感が漂いますな。 [映画]

2024年2月。

先月末から公開中の映画「哀れなるものたち」(原題「Poor Things」)を市内のシネコンで拝見しました。

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この手のスーパー・エキセントリックな作品へコメントするのは難儀ですが、取り上げてしまったからには何かを書かねばならん、つう義務感にのっとって感想まがいをチョイと書きましょう。

映画の概要は配給元(サーチライト)のHPより転記します、フフ手抜きじゃ:「天才外科医によって蘇った若き女性ベラは、未知なる世界を知るため、大陸横断の冒険に出る。時代の偏見から解き放たれ、平等と解放を知ったベラは驚くべき成長を遂げる。天才監督ヨルゴス・ランティモス&エマ・ストーンほか、超豪華キャストが未体験の驚きで世界を満たす最新作」・・・だそうです。はい。

配給元が言う「未体験の驚き」はビミョーですが、物語の展開、ゴシック調のセットや衣装、不可思議なCG、演者のオーバーアクション等等、非標準のかなりぶっ飛んだファンタジー(?)なのは間違いありません。観終わって絶句しちゃう感じすね。とはいえ、新しさに目をみはるつうよりは、既視感でいっぱいだったとも言えます。

たとえば、幼児なみの知能のベラ(エマ・ストーン)が冒険旅をとおして進化・成長していく様は、ずばりオードリー・ヘプバーン主演の名作「マイ・フェア・レディー」(1964年)じゃん、と思った次第。違いといえば、イザベラ(ヘプバーン)が、言葉と礼儀の習得を通じて、自我や自由に目覚めるのに対して、「哀れなるものたち」のベラは、セックスを通じて世界と自分を見出していく、という点でしょう。

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ゆえに本作には、過剰に多くのセックスシーンが登場するんですね。そこまでセックスさせんでいいやろ、と中盤からは食傷気味ですな。一人で観た私は良いとして、映画館にカップルで行った方々の気まずさたるや、いかばかりであろうか・・・嗚呼、合掌。

既視感に話を戻すと、ベラを創った外科医ゴッドウィン(ウィレム・デフォーさんが怪演!)が、ベラを見守り、ときにワガママを諌めるシーンは、アン・バンクロフト主演「奇跡の人」を思い出しました。そして、そもそも死体をキリハリして蘇生させる、といえば「フランケンシュタイン」まんま、ですもんね。

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さらにマニアックの深みに入りますと、成人の体+幼児の脳の合体を実験的に観察する様は、隠れ名作「コントロール」(2004年)に通じるものを感じます。凶悪殺人鬼の死刑囚を、投薬で脳を制御し更生させる実験をテーマにしたサスペンスで、医者役はなんと「哀れなるものたち」と同じウィレム・デフォーさんだ!(←だから連想したとも言えるけどね)。

長々と書きましたけど、観た人がいろんな見方が出来る、いろんな感想を持てる映画って、素晴らしいと思いますよ。こんなヘンテコな(失礼)ブットビ映画を作り上げたプロデューサー、監督さん、脚本家さん、俳優さんたちには敬意を表します。ありがとうございました~~。

そうそう映画を観終わって、あ~、つまんないなあ~と思ったことが一つあります。

何かつうと、2024年のアカデミー主演女優賞はエマ・ストーンさんで決まりじゃん、というコト。来月(3月)11日の発表を待つまでもなく、ベラを演じた彼女の受賞は間違いないっしょや(←なぜか北海道弁)。全編出ずっぱりで、演技というよりも憑依というべき圧巻パフォーマンス。オールヌードのセックスシーンもなんのその、トム・クルーズさんなどとは違った意味で、思いっきり「体を張って」るわけです。これだけ頑張ったんだからアカデミー主演女優賞くらいあげていいじゃん、と外野の私は思ってしまう。

いっぽう、外科医ゴッドウィンを演じたウィレム・デフォーさんには、アカデミー助演男優賞を差し上げたいけど、ノミネートもされてないのねえ、残念。

そうなると、アカデミー賞は、主演女優賞=エマ・ストーンさん、助演男優賞=ライアン・ゴズリングさん(「バービー」)の「ラ・ラ・ランド」カップルで決まりかあ?ああ、つまんないな~と言いつつ、3月11日の授賞式がチョイ楽しみになっているワタクシなんであります。本日は以上!

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映画「PERFECT DAYS」。役所広司さんの名演技と、監督の視線の優しさに号泣であります。 [映画]

2024年1月。

歳のせいか、もともとゆるい涙腺がいっそうゆるくなり、音楽を聴きながら、あるいは映画を観ながらポロポロと涙を流すことが増えたワタクシ。一昨日はポロポロどころか、ドバドバ泣いちゃいました。いわゆる号泣です。近所の映画館でこの作品を観たから、であります。

「PERFECT DAYS」(2023年)。主演は役所広司さん。監督・脚本はヴィム・ヴェンダースさん。

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ヴィム・ヴェンダース監督といえば、ワタクシが最も愛する映画「パリ テキサス」(1984年)撮った名匠であります。ナスターシャ・キンスキーさんが美しかった!ライ・クーダーさんの音楽の、琵琶法師?つうスライドギターのビヨヨ~ン音色が渋かった・・・おっと今日は「パリ テキサス」のハナシではなかった、失礼。

「PERFECT DAYS」は、役所広司さん演じるトイレ清掃員、平山の日常を、東京都心を舞台に淡々と描いた物語。ボロアパート(都内でよく見つけたもんだなあ、と感心)にひとりで住み、規則正しく、物欲なく、人を傷つけない、そんな彼の、今に満ち足りた様、植物や木漏れ日にむける優しい視線・・・こうしたものが、じわああっとココロに染みるのであります。

2023年のカンヌ国際映画祭で、役所広司さんが最優秀男優賞の栄誉に輝いたのも当然と言えるでしょう。

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で、役所さんもすごいけど、やっぱりヴィム・ヴェンダース監督なんだな~~。主人公、平山の優しさは、とりもなおさずヴェンダース監督が世界をみる視線の優しさですよね。即物的でなく説明的でなく、行間に漂う空気を感じる作風。観る側に解釈をゆだねるスタイルゆえ、おそらく30年後も50年後も上映され、観客を魅了し続ける名作となるでしょう。

これまで無数に作られて定型化された感すらある映像作品において、こんな見事な逸品が、21世紀にも生まれえるのか!とワタクシは「映画の可能性」だけで目に涙が浮かぶのであります(←ちょっとキザな言いかたでした)。

起伏がない、という批判もあるようですが、そもそも人生、そんな劇的なもんじゃないでしょう?淡々と流れる日々のなかに、悲しみや懊悩がチラッと顔を出すってもんです。

映画中盤、平山の姪ニコがあらわれ、ニコの母(=平山の妹)があらわれ、このあたりでワタクシの涙は徐々に増加傾向。そして夜のボロアパート前、役所さんと妹役の麻生祐未さんとのシーンで、涙ドバーですよ。

次に、平山の休日いきつけの小料理屋、そこのママを石川さゆりさんが演じていて、店内で「朝日のあたる家」(日本語歌詞)を演歌っぽく歌うシーン。ここでしみじみ~~とさせておいて、最後に登場するのが三浦友和さん。夜の隅田川を前に、役所さんと三浦さんが会話するシーン、もはや号泣のワタクシであります。

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月並みな言いかたですが、ホント、良い映画だったなあ~

あのシーン、このシーンと、何度も思い出して幸せな気持ちになれる。役所広司さん、ヴェンダース監督、ありがとうございました!あと、居酒屋店長役の甲本雅裕さん、いい味出してましたね(←個人的にツボでした)。

ヴェンダース作品これまではワタクシのベスト3は、1位「パリ テキサス」、2位「都会のアリス」、3位「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」、次点に「ベルリン 天使の詩」「さすらい」「アメリカの友人」・・・となっておりましたが、本作を拝見し、上位順位に変動が生じました。ずばり、

1位「パリ テキサス」(←ここは不動)、2位「PERFECT DAYS」となりましたあ!って、順位付けなんてなんの意味もないんだけどね。あははは。

あと、どーでもいい事ですが、ワタクシ「朝日のあたる家」はアニマルズよりも、ジョーディで聴きたいです。フォークナーの「野生の棕櫚」は悲惨な物語で、ハーディの「テス」も同様に悲惨ですが映画「テス」の主人公を演じたナスターシャ・キンスキーさんが美しくて・・・って、結局それを言いたかったんかい!ちゃんちゃん。

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2023年で一番感動した映画「マエストロ その音楽と愛と」。天才指揮者レナード・バーンスタインの人生に迫る力作。 [映画]

2023年12月30日。

TVや雑誌で「今年の10大ニュース」「今年1番の〇〇」といった年末企画が登場するなか、ワタクシもチョイ便乗して、このテーマでワタクシなりのベスト1を申し上げたい!ずばり、

今年観た映画のなかで、一番感動した作品、であります。2023年に私が観た新作は約80本。公開総数の1/5にも満たないでしょうが、評論家じゃないので、その点は良しとしましょう。

予想外に(というと失礼ですが)「ゴジラ -1.0」が面白くってビックリ&感激しましたなあ。しかし、感動という観点ではこれ一択であります。12月8日に劇場公開、現在、NETFLIXで配信中の、

「マエストロ その音楽と愛と」 (2023年、米)であります。

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アメリカの天才指揮者レナード・バーンスタインさん(1922~1990)の、1943年の衝撃デビューから晩年までを、妻フェリシアさんとの結婚生活を軸に描いた作品。バーンスタインさんを演じるのは、クリント・イーストウッド監督作でもおなじみのブラッドリー・クーパーさん。いやあ、カッコいいんだよね~~。

で、なんと、クーパーさん、本作で監督・主演・共同脚本・共同製作の四役をこなす超人ぶりであります。イーストウッド御大の薫陶を受けた漢(おとこ)だけありますな。「イエスマン」でジム・キャリーとからんでいた過去も、今となっては昔・・・かあ。

さて、ワタクシ、クラシック音楽好きでLPレコード時代からバーンスタインさんには思い入れがあり、とくに彼が指揮するマーラー作品にガキの頃からドップリはまっていました。1960年代から70年代のニューヨークフィルとの全集、1970年代以降のウィーンフィルほか複数オケとの全集、どちらも素晴らしいと思う由。全集扱いじゃないけどウィーンフィルとの「Das Lied von der Erde」(大地の歌)なんてフィシャー・ディスカウさんの熱唱もあって超・名盤ですぜ、ホント。それと、1979年にベルリン・フィルと録音した交響曲9番かな~~あれえ、映画の話から外れてましたね、すいません・・・。

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思い入れのある偉人がテーマゆえ、こちらの映画を観る目も当然、厳しめになります。が「マエストロ その音楽と愛と」はワタクシのココロをガーンと撃ち抜く名作に仕上がっていたのでした。いやはや、驚いたわ、つうか、すごいわ、ブラッドリー・クーパーさんの才能!

この作品、マエストロ・バーンスタインの音楽偉業を並べ立てるのではなく、主眼は、あくまで妻フェリシアさんとの関係なんです。きれいごとラブロマンスではなく、奔放で同性愛傾向をもつ夫に対する妻の愛憎、反発、決裂、それを乗り越えての和解と許し、というドラマが見事に描かれておるのです。

主役を演じるクーパーさんの憑依的熱演もさることながら、女優キャリー・マリガンさんがほぼ出ずっぱりで知的でチャーミングで思慮深い妻フェリシアさんを演じきっております。こりゃあ来年のアカデミー賞で、主演男優賞&主演女優賞のダブルゲットも夢じゃないかも!?

ちなみにフェリシアさんは歌手として活躍された方で、1978年に56歳の若さで亡くなっておられます。その美貌は、彼女を演じたキャリー・マリガンさんに勝るとも劣りません。バーンスタインさん指揮のモーツアルト「レクイエム」のアルバムジャケットは、ジャンヌダルクに扮したフェリシアさんのフォトであります。

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とまあ話があっちこっち飛んですいませんが、年末だし、言いたいことは言います。本作のみどころのひとつはブラッドリー・クーパーさんに施された特殊メイクでしょう。米アカデミー賞2回受賞、日本が世界にほこるメークアップ・アーチスト、カズ・ヒロ(辻一弘)さんによる、70歳のバーンスタインさんの再現メイクは尋常じゃございません。似ているどころか冗談抜きでワタクシ「え?本人?」と思っちゃったもん。サイト掲載のショット(下)は、もはや、バーンスタインさんご本人か、クーパーさんが演じるバーンスタインさんか判別ができません~~。

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カズ・ヒロさん、さすがです。「ルーパー」の特殊メイクといい、「シェイプ・オブ・ウォーター」の半魚人の眼といい・・・って、マニアックな受けを狙うなよっ!とノリツッコミ。

さて、以上が前置きです・・・って、前置き長っ!

ネット映画評を観るともなしに観ると、本作、ひじょうに評価が高く、私も嬉しいわけですが、なぜか、ハイライトと言うべき名場面が、映画評でスルーされているのです。エラソーな言いかたでナンですが、評者やライターはクラシック音楽にはそれほど詳しくないのでしょう。

そう、マエストロ・バーンスタインに思い入れがあるなら、このシーンに食いつくこと、必至!

御大が、マーラーの交響曲第2番「復活」を、ロンドンのイーリー大聖堂で演奏したライブ(1973年)、その第5楽章の感動フィナーレを完全再現しているのであります!オケを振るのはもちろん、バーンスタインさんを演じるブラッドリー・クーパーさん。指揮っぷりが安っぽい形態模写でなく、ご本人が降臨!つうハイレベルですぜ、レニーが乗り移ったんですぜ。「トーク・トゥ・ミー」の左手ですぜ!・・・と、ややこしいボケですいません。

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指揮の最中、胸の前で両手を握りしめる所作、指揮台のうえでピョンと飛び跳ねる様子、両手を震わせながら大きく広げるポーズ、もうたまらんです。このシーンは、破滅的喧嘩をしたバーンスタイン夫妻が、和解へ向かうきっかけとなる重要なシークエンスです。慧眼と思うのは、ずばり、マーラーの「復活」を選曲したことでしょう。

本ブログで再三申し上げるとおり、この楽曲には聴いた人の人生を変える何かがあるのです(断言)。楽曲のもつパワーが、バーンスタインさんのエネルギーで増幅し、とてつもないデーモニッシュな音楽世界が展開するわけです。いやあ、辛抱たまらんね~。

そういえば当ブログ、2021年6月に、バーンスタインさん指揮マーラー交響曲2番「復活」のディスクを熱~く語っていました。奇特な方はぜひご一読下さいまし(その記事は→こちら)。

というわけで、2023年に観たなかで最も感動した映画について長々と書かせていただきました。

映画のサウンドトラックがクラシック音楽の名門レーベル、ドイツグラムフォンから発売されております。買おうかな~~どしようかな~、とちょいと悩んでいる次第。

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5月に公開された、女性指揮者ターの転落を描く映画「TAR」(ケイト・ブランシェットさんが怪演)も、同じドイツグラムフォンからサウンドトラックがリリースされています。この映画のキーとなる曲は、マーラーの交響曲第5番でしたね。マーラー作品、大人気じゃん。

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本日は以上!・・・おおっと、蛇足がありました、

今年観た、最悪な映画、についてです。迷うことなく邦画「リボルバー・リリー」で決まりです。ただし、出演者の皆さんは何も悪くありません。綾瀬はるかさんも長谷川博己さんも、為すべきことを為しております。悪いのはひとえにクソな脚本と、クソな演出(監督)ですので、その点はよろしく!・・・と、ネガティヴな気分になったところで、したっけ!(←北海道弁の「じゃあね」が出ました~)

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GACKTさん主演映画「翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~」で大活躍した、とび太に拍手! [映画]

2023年12月。

先月末に公開された映画「翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~」を拝見しました。壮大な茶番劇、と銘打つとおり、前作(2019年)以上にバカバカしい痛快作でした。異なる県民間のディスり合戦は、ますますヒートアップし、主演のGACKTさんも絶好調であります。

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前作は関東ローカル?な対決(埼玉VS東京)でしたが、本作はスケールアップ、大阪、滋賀、和歌山を巻き込んでの大騒動。日本全土を大阪化せんとする府知事・嘉祥寺晃(かしょうじあきら、片岡愛之助さん)の野望を、埼玉解放戦線の 麻美麗(あさみれい、GACKTさん)、壇之浦百美(二階堂ふみさん)らが打ち砕く・・・という無茶苦茶なもの。

いやあ、面白かったわあ~~、少なくとも公開中の「エクソシスト 信じる者」よりは・・・って、他の映画をディスってはいけませんね。つうか、「エクソシスト」はシリアスなオカルト映画だし・・・。

ところで、ワタクシ「翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~」は、やっぱりご当地、埼玉県で観ないといかん!とココロに決めていたのです。自宅のある千葉県からクルマで走り、県境を越えて、埼玉県三郷(みさと)市にあるシネコンMOVIX三郷へとやってきました。じゃーん!・・・といっても、GACKTさんの横断幕が掲げられているわけでもなく、何のヘンテツもない外観。あれれ・・・。

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館内にはいると、うは、やっぱりありました~。地味な映画PRボード、手作り工作感がたまりません。注目は脇の旗でしょう。埼玉解放戦線、三郷支部・・・うわあ、勝手に名乗っておるぞ!

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とまあ埼玉県のシネコンまで来て、小さくツッコミをした次第。さて、以上が前置きです・・・って、前置き、長っ!

本題、行ってみましょう。本作で活躍する正義の方々といえば、GACKTさん、二階堂ふみさん、杏さん、加藤諒さん、益若つばささん、微妙ですが小沢真珠さん、天童よしみさん・・・といった面々ですが、ワタクシとしては、こいつこそが真のヒーローだと思う。

そう、飛び出しとび太、です。下写真は6年前に滋賀県米原で撮影したもの。

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滋賀県のいたる所に置かれている注意喚起ボード(木製)であります。飛び出し注意のとび太くん。まさにご当地アイドル。オレ、現場でツーショット写真も撮ったもんね(自慢)。

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話が先走りましたが、この「とび太」が映画でも大活躍するんですよ。MOVIX三郷で、ワタクシ、カバンにつけるリフレクター(反射板)買っちゃいました(自慢×2)。

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いいよなあ、とび太。表情やポーズになんとも味があるもんなあ。

ちなみに、とび太のニセモノは全国にいっぱいあります。で、ニセモノはしょせんニセモノ。ガツンとくるものがない、あるいは、ガツンときすぎる。たとえば札幌の物件がこれ。く、黒い・・・えげつない表情と相まって完全にホラーです。「シャイニング」のジャック・ニコルソンです。「エクソシスト 信じる者」にも出て・・・ないですね。

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蛇足の上塗りですが、先月、JR広島駅の前で見つけた一品がこれ。飛び出し防止系ではなく「手をあげて横断歩道を渡ろう系」学童ボード。インパクトに欠けますが、よ~く見るとまつ毛の書き込みが妙に細かく、描き手のこだわりが感じられます。造作はやっぱりホラー。「エクソシスト 信じる者」の・・・って、その話はもういいから!

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映画「翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~」からずいぶん話を広げてしまった。こんな展開が出来るのも、本作の懐の深さゆえでしょうな。と、無理やりポジティヴなまとめをしたところで、今日はお終いっ!

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映画「ザ・クリエーター/創造者」のトホホな場面。無理に日本語を使うと、こうやってスベルのよね~。 [映画]

2023年11月。

先月シネコンで観た映画「ザ・クリエーター/創造者」について書きます。人間 VS マシン(AI)、つう旬なテーマに挑戦したシリアスな近未来SF。お笑い要素など皆無(のはず)が、すいません、ワタクシ、あるシーンをみて、久しぶりに映画館で、声を出して笑ったのでした。

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ストーリーをざっくり申せば、人間国家(=アメリカ)とAIたちの国(=ニューアジア)の戦争のさなか、ジョン・デヴィッド・ワシントンさん(名優デンゼル・ワシントンさんの息子)演じる諜報員が、AIが作り上げた究極の最終兵器を破壊すべく潜入捜査をする・・・つうもの。

ネタバレだけど、その超・AIマシン、なぜか幼い女の子(の姿をしたAI)で、紆余曲折があって諜報員はこの女の子AIを助けることになるわけです。

ちなみに、日本がほこる名優ケン・ワタナベ(渡辺謙さん)がAI軍団の指揮官を演じており、AIなんだけど情に厚く、じつに人が良い・・・つうか、マシンが良い(?)オジサンなのでした。ある意味、見どころだね。ちなみに、AI国は、ニューアジアと称するだけあって言語が多様化、ケン・ワタナベも英語だけでなく、ふつーに日本語をしゃべっております。いいじゃん、いいじゃん。

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さて、冒頭に書いた私が大笑いしたシーンについて、です。女の子AIと逃避行する諜報員は、アメリカ(人間側)からも、ニューアジア(AI側)からも追われる羽目になります。

で、AIの街にある、ビル壁面の巨大ビジョンに、指名手配となった二人が映し出されるシーン、ここですよ、ここ!そりゃねえだろっ!と嬉しくなりました。

無理やり日本語を使ったのが失敗の原因。逃亡犯だから「指名手配」と記すべきところ、な、なんとキャプションが「募集中」なんですコンビニのバイト探しかっ!婚活サイトかっ!・・・と、ワタクシ、笑いとともに、無数のツッコミが脳内に浮かんだ次第。下図は当該シーンのイメージ画像であります。

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こんな間抜けなボケ(?)がスルーされたまま、映画が出来上がったのはなぜか?理由はこうだと思う。

指名手配書に掲げられる「WANTED」という英単語を、英和翻訳サイトに入れたら、WANTED→「募集中」と変換されたのでしょう。で、確かめもせずに使っちゃったのでしょう。ピンクレディーのお二人、どう思います、これ。

使う前に日本語ネイティヴに確認してよね、と申し上げたい。そうすりゃあ「こーゆーときは『募集』じゃなく『手配』つう単語ですよ」とコメントしてくれたはず(最近は日本語が不自由な日本人も多いので、確認したところで結果は同じだっかたもしれないが・・・)。

何をいったところで、アメリカ映画だも~ん、そんな枝葉はどーでもよいの、雰囲気よ、雰囲気!ってライトなノリなんだろうけど、この手のズサンが嫌いです、オレ。

そういや、キアヌ・リーブスさん主演「ジョン・ウイック  コンセクエンス」に登場する大阪のホテル(支配人役は真田広之さん)では、警備員にお相撲さんを雇ってたな(←こりゃ完全にコメディです)。・・・ま、どうでもいいかあ~と投げやりになったところで、本日は以上!

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映画「アンダーカレント」のラストシーンで号泣。さっそくご近所にあるロケ地「石乃湯」さんを詣でたハナシ。 [映画]

2023年11月。

無職プータローなのをよいことに平日日中は、映画館へいって新作映画を観まくってるワタクシ。好きが高じ先週は4本も観てしまいました。「イコライザー3」も「ドミノ」も「ザ・クリエーター/創造者」も良かったけど、サイコーだったのは「SISU 不死身の男」でしたな~。ツルハシ一本で、ナチスの小隊をせん滅しちゃう、ひとり殺戮部隊オジサンのカッコいいコト!無理とは思うけど、ぜひぜひ続編をお願いします!

おっと、今日はその映画の話ではなかった。

2週間前に観た邦画「アンダーカレント」であります。出演は、真木よう子さん、井浦新さん、江口のりこさん、リリー・フランキーさん、瑛太さん、ほか。

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実家の銭湯「月乃湯」を継いだかなえ(真木よう子さん)が主人公。夫(瑛太さん)が突然失踪して数か月がたち、途方にくれながらも休業していた銭湯を再開する決意をします。その彼女のもとに、住み込みで働きたいという謎の男、堀(井浦新さん)が現れて・・・というストーリー。

とにかく、脚本、演出、そして俳優さんたちが素晴らしく、映画後半、涙ぐみながらスクリーンに見入っていたワタクシ、ラストシーンで号泣してしまいました。人間とは人生とはなんと切ないものか、同時になんと希望に満ちていることか、といった感慨が理屈抜きでジンジン脳天に来てしまいました。終映後、最後列の席から館内をながめると、明らかに感動してる方が数名いるものの、私のような号泣のヒトはおりませんなんだ。う~む、歳のせいか涙腺が緩んでるな、オレ。てなわけで映画の予告編はこちら(↓)。


しつこく言わせていただくと、本作、主演の真木よう子さん、井浦新さんもあっぱれですが・・・

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ワタクシとしては、かなえから夫探しを依頼される探偵役のリリー・フランキーさんが凄いと思う。ドはまりです。なんという存在感であろう!同じリリーでも、リボルバー・リリーとは大違いじゃ!・・・って、その比較はおかしいけど。

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というわけで、10月に観たベスト・オブ・ベストの映画は「アンダーカレント」で決まり!であります。パチパチ。

さて以上が前置きです・・・って、例によって、前置き長っ!

本作の舞台となっている銭湯「月乃湯」ですが、なんと、この銭湯、ワタクシの自宅のご近所にあるのです。ほんとうの名前は「石乃湯」さん。すごいでしょう、ご近所にメインのロケ地があるなんて!(←今日はこの自慢をしたかったのでした)。

てなわけで某日。聖地巡礼ってことで、石乃湯さん界隈を散歩した次第。千葉県市川市国分2丁目、おお、これが映画にも登場した煙突じゃな。四辺を囲ってるとこが渋い。温泉マークが良いアクセントになっておりますな。

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狭いバス通りに看板が出ております。

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看板にしたがって左折すると、道路に「石乃湯入口」と書かれており「進入禁止」とも書かれている・・・入っていいのか悪いのか。いったいどうすれば?

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ま、細かいことは気にしないのが市川市民であります。こちらが営業開始前の石乃湯さんの正面。店前の植え込み、古いベンチが心和む風情を醸しております。

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次回は入浴する予定なので、営業時間や定休日をチェックします。ふむふむ、15時30分に営業開始ですか。楽しそうなイベントもあるようで・・・そっちは、まあいいか。

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こうして約10分間のロケ地のウオッチングはお終い。本作は他に、浦安の境川沿いの道や、瑞江のバス停などでロケが行われており、機会があればそちらにも行ってみるつもり。映画を楽しみ、映画のロケ地も楽しむ、ああ、なんたる幸せじゃ、今日は酒が美味そうだわい、と嬉しくなった1日でした。

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最後に。ジャズ好きの方が「アンダーカレント」ときけば、思い浮かぶのは、ビル・エヴァンス(ピアノ)とジム・ホール(ギター)による共作アルバム「Undercurrent」(1962年)でしょう。ワタクシ、エヴァンスのアルバムでは、名盤の誉れ高い「ワルツ・フォー・デヴィ―」「ポートレイト・イン・ジャズ」よりも、「Undercurrent」のほうが好きなんですなあ~。一番好きなのはスタン・ゲッツと共演した「ゲッツ&エヴァンス」だから第2位ではありますが。

アルバム「Undercurrent」のアートワーク(水中に仰向けにたゆたう女性)なんか、もうサイコーですね。

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いつものことながら、すっかり話が散らかって失礼しました~。よおし、今月は目黒シネマで「ジョン・カサヴェテス映画特集」を観るぞオ~と気合いをいれて本日は以上!

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映画「リボルバー・リリー」。とんだ金(かね)ドブ映画だけど、綾瀬はるかさんと長谷川博己さんは何も悪くありません! [映画]

2023年9月。

もうすぐ公開終了となる映画「リボルバー・リリー」をシネコンで拝見しました。1920年代の帝都・東京を舞台に、女性諜報員、百合(綾瀬はるか)と、帝国陸軍との壮絶な闘いを描くレトロモダンな映画、だそうです。

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映画に対する印象・感想は観たヒトそれぞれの自由でありますから、「最高だったあ!」「綾瀬はるかさん、すてきぃ~」「豊川悦司さん、しぶ~い」「阿部サダヲさん、お肌つるつる~」などポジティヴなご意見を否定するものではございません。

ございません、がズバリ、本作は、(かね)ドブ映画(金をドブに捨てたような、虚しい気持ちになる映画)の典型と言ってよいでしょう。ここでいう金(かね)とは、観客が支払う、ひとり千云百円のチケット代のみならず、映画の製作費も指します。21世紀も20年以上経った今どき、よくもまあ、こんなク〇駄作を作れたものだと、ある意味、感動してしまいました。まあ、これがあるから映画はやめられないのですがね。

何十年もかけて多くの映画人や演者が築いてきた邦画のプレゼンス。それを台無しにする暴挙に、すがすがしさすら感じます。出演者、スタッフ、製作会社、配給会社、観客、その誰ひとりとして幸せにならない映画・・・ああ、人生とはなんとツラいものだろう。

主人公・百合がハンドガン(S&Wのリボルバー)一丁で、それもドレス姿で、小火器で武装した帝国陸軍の軍勢に立ち向かう(そして勝つ!)バカげた設定はまだ我慢できる。「ガントレット」か!つう無茶苦茶な正面突破も許しましょう。鍵を握る少年(陸軍から狙われている)を守るため、百合が損得抜きに命を張る「グロリア」の二番煎じも良しとしましょう。

問題なのは、非現実的な絵空事と承知のうえで、観客をスクリーンにのめりこませる説得力がないこと。なぜか?脚本と演出が酷すぎるからです。あまりに安っぽく、小学校の学芸会レベルだから、です。

「エイリアン」「ターミネーター」「プレデター」を引合いに出すまでもなく、敵が強いからこそ、観客は主人公に感情移入し、ドキドキ感が増すわけです。それがどうでしょう、百合と仲間たちの前に、撃ってくださいな、と言わんばかりに飛び出してくるアホな兵士たち。インベーダーゲームかよ!(古っ!)。軍隊どころか、今日初めて銃をもったのか!つう烏合の衆。簡単なトリックに引っかかってあらぬ方向へ向かうボケぶりには苦笑を通り越して爆笑しちゃいます。

いや、それだって良いのです。「コマンド―」や「エクスペンダブルズ」で主人公に次々と撃ち殺される組織の構成員たち。そんなバカバカしいシーンでも腹が立たないのは、ド派手でメリハリの効いた演出ゆえ、なのですよ。「リボルバー・リリー」の安っぽ~~~い撃ちあいゴッコとはレベルが違う(予算が違う?)からです。

いやホント、いっそのこと、映画を観ているオレを撃ち殺してください!リリー!と叫びたくなったのは私だけでしょうか。

しかし、こんなク〇映画といえども、これだけは強く申し上げておきたい。

出演者は何も悪くない!です。

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綾瀬はるかさん、長谷川博己さんをはじめ、演者の皆さんは役割をきっちり果たしています。ボケ脚本、バカ演出(監督)であろうと、引き受けたからにはモチベーションを奮い立たせシゴト(演技)をまっとうする。そのお姿は、凛々しく素晴らしい。そんな俳優さんたちのキャリアにキズをつけた点で、製作側の罪は重いわけです。

ところで本作が映画界にあたえた唯一の貢献がありますね。それは「この程度の脚本ならオレでも書けるわ」とか「こんな演出で良いならオレも映画監督になろう」と、映画界へ飛び込むハードルを著しく下げた、というコト。勘違いとしても、多くの人材が映画業界へ集まって来るなら、本作にも存在意義があるってことです。

いうなれば、ザ・クラッシュやラモーンズを聴いて、おれたちもバンドやろうぜ!と盛り上がる若者みたいなもんですなあ。でもね、もしかしたら、そこから優れた才能が花開くかもしれない。

そうだ、こうなったら全国の映画館で「漂流教室」「北京原人 WHO ARE YOU」(どちらもZ級の駄作)をリバイバル上映しましょうや・・・って、それやると、映画なんて二度と観たくない!つうヒトが増えるだけで、それこそ誰も幸せにならんね。ちゃんちゃん。

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ウイリアム・フリードキン監督が死去。報道したテレ朝スタッフは、映画をちゃんと観ているのか?と怒りをおぼえた件。 [映画]

2023年8月。

ネットでニュースを眺めていたら、ハッとする記事がありました。

アメリカの映画監督、ウイリアム・フリードキンさんが、87歳で逝去されたとの事。フリードキン監督といえば、1973年の大ヒット映画「エクソシスト」の監督であり、「フレンチ・コネクション」ではアカデミー監督賞を受賞した、一応は、名匠であります。「一応は」つうマクラコトバを付けた理由は、映画史に残る前出2作を残した一方で、恐るべき駄作も作っておられ、そのデカすぎる振れ幅ゆえに、山本リンダさんでなくても「困っちゃう~わ~」つう気持ちになるから、でした。はい。

それにしても「エクソシスト」は素晴らしい映画でした。悪魔に憑かれたリーガン(リンダ・ブレアさんが熱演!)の、首180度クルリン、空中浮遊、緑色のゲロをブファー、医者の股間をグイッ、スパイダーウオーク・・・など刺激の強いシーンが注目されがちですが、映画の肝は、むしろ人間たちの心理的葛藤や、信仰心のもろさ、人間の弱さ、なんですよね。

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その後、粗製乱造された単なる怖がらせ映画と一線を画した、何度観てもしびれる名作なのです。なんたって老練なエクソシスト(悪魔祓い)であるメリン神父を演じたのが、ベルイマン映画の常連マックス・フォン・シドーさんですよ!そこに、マイク・オールドフィールドさんのテーマ曲「チューブラーベルズ」の病みつきメロディが流れたら、も~う辛抱たまらんでしょう!・・・と話がマニアックになって失礼。

ところで、訃報を報道したテレ朝のニュース(以下)について、です。私は、ひじょうに気に入らない、のです。

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アナウンサーが、フリードキン監督をこう紹介しているからです。

=====ニュースからの抜粋========

フリードキン監督は「フレンチ・コネクション」や「エクソシスト」でアカデミー賞を受賞し、ホラー映画の巨匠として知られ、7日、ロサンゼルスで亡くなりました。

====== 抜粋終わり =======

私が気に入らない点をお判りでしょうか。まず、フリードキンさんがアカデミー監督賞を受賞したのは「フレンチ・コネクション」(1971年)だけです。「エクソシスト」はノミネートはしたものの受賞はしていません(受賞したのは脚色賞と録音賞)。つまりテレ朝のいう「・・・エクソシストでアカデミー賞を受賞し」は間違いです。なぜだか知らんのですが、この誤解、昔から散見されますね。ジョージ・ロイ・ヒル監督の立場はどうなるのだ!と強く申し上げたい。

さらに、テレ朝ニュースによれば「フリードキン監督は、ホラー映画の巨匠として知られ」ているそうですが、誰がそんなこと言ったんでしょう?ホラー映画と呼べるフリードキン作品は「エクソシスト」「ガーディアン」「バグ」くらいでしょう(エクソシストはホラーというより、オカルトと言われるが)。

デビッド・クローネンバーグさん、ジョン・カーペンターさん、サム・ライミさん、清水崇さんを、ホラー映画の巨匠と呼ぶなら納得しますが、フリードキンさんに、その肩書きはあり得んでしょう。

ニュース原稿を書いた方、ちゃんと映画を観てるんでしょうか?観ていないなら、なぜ識者への確認をしないのでしょう?

昔のひとだし外国人だし、イイカゲンで良いじゃろ、つう甘い考えが見え見えじゃないか。受け売りの情報を垂れ流しただけの、この体たらく。嗚呼、情けないわあ・・・と書くほどに虚しくなるので、テレ朝の批判は以上。

さて前出の、フリードキン監督「ガーディアン 森は泣いている」(1990年)について一言。これがもう、とんでもない駄作なんであります。大林宣彦さんが監督してもここまでは酷くはならんやろ、という超絶レベル。ワタクシは公開時、札幌で拝見し、映画の内容もさることながら、広~い館内に観客が私一人だけだったことに深~くマイナス感動した次第でした。はい。

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いろいろ書きましたけど、名作「エクソシスト」「フレンチ・コネクション」だけでなく、「恐怖の報酬」「クルージング」「ブリンクス」など、個人的に思い入れのある映画を残してくださったフリードキン監督。ご冥福をお祈りいたします。本日は以上!

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