こりゃ凄い。「ブルックナー交響曲9番」4楽章版のCD登場。なんとサイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルときた。 [クラシック音楽]

2012年5月。

本日は音楽のハナシであります。最近のワタクシ、ハードロック/ヘヴィメタル・モードにどっぷりで、朝から晩まで(は言いすぎですが)轟音ミュージックをiPodで聴き続け興奮状態。なにせ、SLASHはソロアルバム第2弾を出すわ、ACCEPTは新シンガーとの復活第2弾を発表するわ、フロントマンを交通事故で失ったGOTTHARDが悲しみを乗り越え新作発表!と、聴かずにいられない注目ディスクが、次々登場しちゃうんですからね。

KREATORの13作目のアルバム(5月30日発売)にも食指が動きまくっております。ボーナスDVDはいらんから、もっと値段を安くしてほしいなあ、日本コロンビアさん。

とりあえず、ジャズやクラシックは脇に置いて・・・と思ってたら、うわ、こんなCDが発売されちゃあ買わずにはいられないしょや!(←故郷の北海道弁にて)。

サイモン・ラトルさん指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による、ブルックナーの交響曲9番、であります。

らとるブル9.jpg

録音も多い超有名曲ですけど、本CDがスゴイのは第4楽章が入っているという点です。え?交響曲って4楽章あるんでしょ?何が珍しいのよ?と思う方もいるでしょう。

ブルックナーの交響曲9番は作曲家の死により、第3楽章で終わった「未完曲」なんです。当然、録音や公演は3楽章までしか演奏されません。シューベルトに有名な交響曲7番(旧8番)「未完成」(2楽章のみ)がありますが、あれと同じですね。

で、ブルックナーの交響曲9番は、未完成とはいえ第1~第3楽章で楽曲として十分に成立しており、尺(長さ)も60分あります。ですから初めから「3楽章で完結した曲」であるかのように、未完版が演奏されてきました。最終楽章(第3楽章)には劇的盛り上がりはなく、はかなさを漂わせる渋いエンディングですが、これはこれでアリ・・・というか、聴きなれていた私は、未完バージョンで大満足だったんであります。

一方、今回登場したベルリン・フィルのCDは、どこぞの音楽家の手による「第4楽章」をしっかり録音したわけです。なんだ第4楽章はニセモンか、つう指摘もありましょう。それはそうですが、やみくもにでっち上げたわけでなくブルックナーが残したアイディアスケッチを元に”作曲されるはずだった第4楽章”を復元した「補筆完成版」ってことですね。

考えてみりゃあ、モーツアルトの「レクイエム」だって後半は弟子のジュスマイヤーが補筆(作曲)したものだし、バルトークのヴィオラ協奏曲だって作曲家以外の手が入ってます。マーラーの交響曲10番なんて曲全体が補筆だし、私の保有するCDを眺めても、シューベルトの交響曲10番、チャイコフスキーの交響曲7番、ベートーヴェンの交響曲10番・・・なーんて得体の知れない補筆完成版が多々あるわけです(かなりのキワモノですな)。

では本題です。ブルックナー交響曲9番、補筆4楽章版はどうなのか?

まずはこの大胆な試みを世界最高のオーケストラ ベルリン・フィルが、世界最高の指揮者サイモン・ラトルさんと録音したこと自体に意義があります。名もないオーケストラが耳目を集めたい下心から発売したキワモノではなく「音楽的必然をもって世に問うたチャレンジ」と思えますからね(事実そうなんですが)。

能書きは良いとして、肝心の演奏がスベってたりしてね?と、多少、意地悪な気持ちでCDを聴きはじめた私ですが、いやはや、びっくり仰天しましたねえ。

すごく良い、のであります。

補筆されていないオリジナルの第1~第3楽章部分。さすがは才人ラトルさんです。ベルリン・フィルを見事にまとめあげ、テンポ変化といい強弱のメリハリといい優等生的できばえ。嫌な引っ掛かりが皆無で、むしろ、ちょっと仕掛けがほしい、と思うほどの王道っぷり。この曲は、というかブルックナーの交響曲すべてが、第一楽章の最初の全強奏(開始2分過ぎ)で全体の出来・不出来がわかるといっても過言ではありませんが、もちろんベルリン・フィルは余裕しゃくしゃくでクリア!であります。

管楽器の演奏技術が抜群で、小技・大技の妙技にほれぼれです。弦楽器はもっと「歌って」ほしいけど、全体バランスから考えた順当なアプローチかな~~と納得。というわけで、60分弱の聴きなれた「第1~第3楽章」部分が終わり、いよいよ初耳である補筆完成された第4楽章が始まります。うーん、楽しみじゃ。。。

ああ、やっぱり最終楽章はこうゆう「攻撃的な音楽」じゃなきゃね!と妙に腑に落ちました。補筆完成した音楽家はすんごい力量ですな、ブルックナーの残したスケッチ(アイディア)の量はわかりませんが、この第4楽章には全然違和感がないんです。もう、誰がなんといおうと、ブルックナーまんまであります。

とってつけた感じが無い、どころか、ブルックナーらしさ全開に心底、ワクワクドキドキです。予想通り(?)ラスト2分間には、第一楽章第一主題が回帰し、カタルシスのなかで大団円を迎えて、堂々と曲が締めくくられます。これまで第3楽章でしんみり(?)終わっていた交響曲9番が、完全に生まれ変わった瞬間でありますなあ。感動的ですわね~。自宅オーディオルームにもかかわらず、フィナーレとともにパチパチ!と、スピーカーに向かって大拍手をしちゃったおバカな私であります。

未完成楽曲の「補筆完成版」のなかでは、マーラー交響曲10番に続く大快挙ではないでしょうか。第4楽章のみならず全体が素晴らしいし、細かい点ですが、82分にまで肥大した大曲をCD2枚に分けず、1枚に収録したコトも評価できます。チャレンジ精神だけの注目盤でなく、最高級の演奏!決定盤!だと大評価しちゃいましょう!

これは良いCDでしたね~~と言いつつ、しばらくクラシック音楽を離れて、ハードロック/パワーメタル曲のヘヴィー・ローテーションへと戻っていく私であります、あははは。ま、音楽はみんな素晴らしいってことですね!・・・って、そんなまとめかよ。ちゃんちゃん。


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