映画「怪物」。卓越した脚本と演出で、日本映画の底力を世界に見せつけた佳作。 [映画]

2023年8月。

かいぶつ、だ~れだ?つうわけで、劇場公開から2カ月、遅ればせながら拝見しました。カンヌ国際映画祭で2冠に輝く、是枝裕和監督の新作「怪物」であります。

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予告編から、小学生のイジメを題材にしたイヤ~な映画を想像しましたが、観てみると、内容はヘヴィーながら、脚本と演出の巧みさにより、予想ほどは気持ちは滅入らず、物語に引き込まれました。誤解を恐れずにいえば、優れたエンターテイメントに仕上げっていて、十分に楽しめましたね

地方の小学校のいじめ事件を、安藤サクラさん演じる子供の母親、永山瑛太さん演じる担任教師、そして当事者である子供の、それぞれから描く「多視点映画」というヤツですね。同じデキゴトを、違う立場から断片的にみるとこんなに認識がズレるんだ・・・と、そこが本作のミソ。展開上、多少の無理があっても、そんなのは「バンテージ・ポイント」や「ユージュアル・サスペクツ」に比べりゃタカが知れてますぜ、ダンナ・・・って、別の映画を持ち出して、話をややこしくするなよ! (※ 以下動画は「怪物」の予告編です)



坂元裕二さんの脚本(カンヌで脚本賞)は思わせぶりがなく、事実の積み重ね重視、「謎」は最終的にひととおり解決しますが、しかし、ラストは良い意味で「どちらともとれる」エンディングとなっております。いやあ、上手いなあ!

個人的ツボは、敵?の立場である母親と教師が、ふたりで行方不明になった子供たちを探しにいくシーン。彼らを反目しあったまま終わらせないとこが、すごく好きだ。「スリー・ビルボード」(2017年)で徹底的に憎しみ合っていたフランシス・マクドーマンド(女の子の母親)と、サム・ロックウエル(横暴な警官)が、ラストで共闘するでしょう、あそこでジーンときちゃったもんなあ、オレ・・・って、またまた違う映画の話で失礼。

是枝監督の演出は、脚本に寄り添った自制のきいたもので「深追い」しない節度がナイス。脂っこく無く、テンポが良いので、映画が無駄に重たくなりません。バランス感覚がスゴいですなあ。これを見ちゃうと、野村芳太郎監督の映画(「砂の器」「八ツ墓村」「鬼畜」etc)はもう観れんでしょ・・・って、同じ土俵で語るなよ。

しつこくてスイマセンが、仮にですよ、ラース・フォン・トリアーさんやミヒャエル・ハネケさんが「怪物」を監督したら、観客はドップリと落ち込み、1週間は寝たきり状態になるかも。ダーレン・アロノフスキーさんで、なんとか寝たきり3日か?・・・って、いったい何の話をしとるんじゃ、オレ。

というわけで、強引にまとめますと、映画「怪物」は素晴らしかった!感動しました。日本映画の底力、ここにあり、ですなあ。パチパチ(拍手の音)。

・・・おっと書くのを忘れるところだった。ツボにはまった役者さんのことを。その方は、コントユニット「東京03」の角田晃弘(かくたあきひろ)さん。ことなかれ主義の小心者の教頭先生を、バッチリと演じておられました。

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安藤サクラさん、田中裕子さん、永山瑛太さん、中村獅童さん、という実力派俳優のなかにあって、違和感なし、というか、独特の存在感を発揮していて、ちょい驚いてしまいました。

別の企業CMで、角田さんと瑛太さんが仲良く並んでおります。ああ、よかった、よかった・・・て何のこっちゃ。

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最後に、さきほどお名前が出たミヒャエル・ハネケ監督の、観たら死にたくなる必見作「ピアニスト」のポスターをくっつけて今日はお終いっ。おや、カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作なのね、ふーん。。。あ、待てよ、死にたくなる映画、ハネケ監督だと「ファニー・ゲーム」のほうが上かな・・・ああ、怖い怖い。

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