ソナス・ファベール製のスピーカーが、大好きだという話。 [オーディオ、楽器]

2010年4月。

私はそれほどコアなオーディオマニアではありませんけど、クラシック、ロック、ジャズとジャンル選ばず音楽は大好きなので、オーディオにも、つい反応しちゃいます。ハイエンド製品たとえば1台200万円のプリ・アンプなどは全く食指が動きません。そんなバカ高いマシン、お金がもったいないもんね(って負け惜しみかっ!)。

アンプとプレーヤーにはこだわりが少なく、ベタですがDENONのプリ・メインアンプと、ユニバーサルプレーヤー(CD、SACD、DVD再生可能)、合計30万円程度を使っております。

私がちょっとだけこだわるのは「スピーカー」であります。電気信号を「音」に変える出口、音色を決定的に左右する最重要な要素ですからね。

社会人になった23年前から、ティアックの小型スピーカー、ダイアトーンの密閉型・・・と国内製スピーカーを数種類経て、約10年前から使っているのがイタリア ソナス・ファベール社のバスレフ・トールボーイ型スピーカー、Grand Piano Homeであります。価格は約45万円です。

sona1.jpg

このスピーカー、デザインと工作が抜群に良いのです。側面はピアノ・フィニッシュ(ピアノと同じ表面仕上げ)で、正面と背面が革張りです。電気製品というよりは工芸作品。さすがイタリアのクラフトワーク!正直、購入動機のひとつは、この見た目のカッコ良さ、渋さでした。

4点スパイクで自立します。スパイク受けの下には振動防止用に、静岡県の石材屋さんにサイズ指定してカット&研磨いただいた特注の黒御影石ベースを置いています(すごく重いっす!)。これまた見事な艶と形状、われながら気に入っています。

sona2.jpg

さて音の話の前に「スピーカーはどうあるべきか?」という、オーディオ好きも意見の分かれるテーマを考えてみましょう。

「オーディオで重要なのは、生(なま)の音にどこまで近づけるか」と、おっしゃる方がいますが、私は全く同意できません。クラシックコンサートに行っても、ホールの違い、座席位置等によって「生の音」が違って聞こえるわけです。

さらに言えば、たとえば、ヴァイオリン協奏曲などはソロ楽器の音量が小さいのでソロがオケに負ける、という現場的かつ切実な問題があり、それを録音技術でバランス補正しているのです。つまり、レコードやCD、DVDというものは「生の音の加工品」であり、宿命的に原音とは異なっているわけですね。

もちろん、そうは言うもののCDを製作する方々は、録音ソースに色付けが少ない(=オーディオの癖がつかない)フラット特性のモニター用オーディオを使うでしょう。音楽評論家の方も、情報量に過不足のない再生機器を使っていることでしょう。彼らが、特定の音色を強調するマシンより、「より原音に近い再生音」を出すマシンを求めることは、職業上、理解できるのです。

一方、私は音楽関係者ではありません。単なる音楽リスナーです。「原音」「生音」に妄執するよりは、音楽を自分の好きな音色で再生してくれるオーディオがほしいわけです結果、たどりついた答えが現在のソナス・ファベール社のスピーカーなのです。1本300万円もする高級スピーカーを得意とするソナス・ファベールの他製品に比べれば、私のスピーカーは超・安価です。が、ソナスの伝統はしっかりと感じます。

欠点から書きますが、このスピーカーは音にパンチやエッジはありません。反応がにぶく、ゆるめの音になりますのでハードロックを聴くと、なんというかヘナヘナ、なんですね。

ところがどっこい、クラシック音楽特に、弦楽器と声楽(人間の声)は絶品です音楽の国イタリア製ゆえか、日本製では得られないタイプの美音なんです。ヴァイオリンやチェロの、つややかさな音と、息づかいにクラクラします。そして「人間の声」の生々しさといったら・・・エッジがきかないことが幸いし、長く聞いても疲れず、何時間でも音楽世界に浸る事ができるのです。

万人の好みを満足させる「万能スピーカー」など存在しません。ですから求める音(音色)をハッキリさせて、その音を出してくれる製品を選ぶことが、リスナーの重要ポイントだと思うのです。

当方の偏見もありましょうが、国産スピーカーの多くは、可もなく不可もないフラット&ニュートラル特性の製品が多いと感じます(全製品、試聴したわけではありませんが)。私はヨーロッパメーカーの癖アリアリの製品に、むしろ大きな魅力を感じるのです。「好きな音楽を、好きな音色」で聴く道具になりうるのであり、オーディオ趣味の醍醐味!とさえ思う次第です。

ちなみに、ヘナヘナでなくロックを聴きたいとき私はどうするか?といえば別システムを使います。タンノイのミニ・スピーカーとスーパーウーファーで価格的にはソナス・ファベールの1/20ですが、ロックは爽快にギンギンに鳴らしてくれますよ。そう、一概に値段が高ければ良いというわけでもない・・・これが、オーディオの奥の深さですなあ。

さて我が家のスピーカーもそろそろ10年目。オーディオ雑誌を眺めると、不況の中、意外に新製品が出ている様子。ついつい、心が動き始める今日この頃であります。どうしようかねえ・・・。悩みは深いです。

sona3.jpg

nice!(1)  コメント(12)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 1

コメント 12

ふくずみ

こんにちは。
私もオーディオ好きで、門前様と同じく、国内製品を10年使って
海外製に買い変えました。
スピーカーはイギリスのハーベスです。
門前様のおっしゃるように、日本のスピーカーは良くも悪くも
くせがないですよね。
音楽ではなく、音そのものを聞くなら国内製でよいでしょうけど。
by ふくずみ (2010-04-12 12:33) 

門前トラビス

To ふくずみ様、コメントありがとうございます。
ハーベスのスピーカーとは素晴らしいですね!
工芸的には、あっけない作りですが、音が良いですよね~~。

そうなんですよね。日本のスピーカーって、(今は知らないけど昔は)メリハリある「音」なんだけど、だから、音楽が魅力的に響くか、というとそうではないんですよね~~。
特性がフラット、といっても、日本製のスピーカーは、私にはハイ上がりに聞こえちゃうんです。

そんな先入観の払拭のためにも、たまには、オーディオショップで、自分の好きな(聴きなれた)CDを持参して、1日いろいろなスピーカーを聴き比べてみたいものですね。
by 門前トラビス (2010-04-12 22:27) 

青兄

スピーカーの新規購入をお考えですか? いいですね、オーディオにしろ何にしろ、新しい物を買う前に色々と調査・検討している時が楽しみの一つのピークですよね。

一昨年に私もスピーカーを買い替えた時は散々試聴しに行きました。オーディオは聞いてみなければ絶対に分かりません、特にスピーカーは。もちろん、アンプやケーブルなどの相性もあるかも知れませんが、少なくとも聴き比べるとそれぞれの特徴が分かりますよね。それで決めるしかありません。

門前トラビスさんのスピーカーを聞いて、買い替えを決心した様なものですから、今度は是非とも一緒に聴き比べに行きたいですね。

私は最後までモニター・オーディオにするか、ソナス・ファベールにするか、はたまたFOSTER のトールボーイにするか、迷いに迷って、最後はやはり今まで聞いていた耳慣れたモニター・オーディオにしてしまいました。難しいですよね、それぞれ良さがありますから、一つに決めるのは。でもその迷いがまた楽しい。

現在はスピーカーケーブルを新しくしたい。しかし、さすがにケーブルは試聴できないので、さらに難しい。昔大失敗したこともあり、踏み切るのに誰かに背中を押して欲しい、と言う感じです。

いつでも門前トラビスさんの背中を押すお手伝いはしますので、その際は遠慮なくご連絡下さい。
by 青兄 (2010-04-13 09:54) 

門前トラビス

To 青兄様、コメントありがとうございます。
さすがはオーディオマニアの青兄様。やはり、「そちら」に走ってたか!と腑に落ちる、スピーカーケーブルへの傾倒っぷりが、さわやかですね。
かくゆう私も一時期、スピーカーケーブルにはまりましたが、その時に使っていたスピーカーが、記事にも書いた、ダイヤトーンの密閉型でして、すんごいハイ上がりゆえ、某社のケーブルに変えたとたん、ただでさえキンキン、シャリシャリが、さらに強調され、1週間で元に戻した経験があります。

しかし、微妙な問題ですよね~。
スピーカーの特性と、ケーブルの特性は合わせたほうが良いのか?
はたまた、スピーカーに不足しているものを、ケーブルで補うような「相補」なチョイスをするべきか?
結論は、組み合わせた結果としての「音」でしょうけど、青兄様の書かれているように、スピーカーケーブルの場合、試聴できないのはイタイですよね~~。
私が今使っているケーブルは、1mで2000円くらいのそれほど高くないものですが、ソナスとの相性はバッチリのようです。

話は前後しますが、スピーカーの買い替えは、ソナスよりも、寝室のタンノイの小型を優先しようかなとも思います。
その際には、部屋の模様替えも考えていて、スピーカーを壁につけたいので、バスレフポートが背面にあるタイプではなく、前面についていて、かつ、壁取付け用のフック穴があるとなお良いかな?と・・・・こうなると、小型スピーカーでも選択肢がぐんと減ってしまう。
うーーーん、悩ましいですねえ。

では次回は、美女軍団も誘って、みなとみらいのオーディオショップに集合ですかね?・・・・なぜ、美女軍団?まあ良いでしょう。
by 門前トラビス (2010-04-17 07:26) 

ぽんさん

おっしゃる通り 私も同意見です
by ぽんさん (2011-04-05 14:34) 

門前トラビス

To ぽんさん、コメントありがとうございました!
by 門前トラビス (2011-04-07 06:23) 

ウニモグ

このSP、今ヤフオクに出ていて興味が湧き、いろいろネット検索しましたが、たしかにあまりヒットはしませんね。ホームシアターがブームということでソナスも
とりあえず出してみましたという商品なのでしょう。
このSPのいいところはバスレフではないので置き場所の制約が無い、壁にピッタリ置ける、というかピッタリ置いて低域を増強させようという目論見だと見ました。
興味が湧いても音が聴けないのでなかなか入札まで至らないんですよね。
エレクタアマトールなら所有しているんですが。
このあとソナスはドローンコーンを止めてしまったので、あまり評判にはならなかったのかな~?とは思っています。
by ウニモグ (2012-11-16 23:03) 

門前トラビス

To ウニモグ様、コメントありがとうございます。
いま、このSPでシフさんの弾くシューベルトのソナタD625を聴いております。音にエッジは少なく、まろっとした美音・・・土曜の曇った朝にはぴったりであります。
実は購入したとき(ずいぶん昔ですが)、出費額を上積み(倍増)してエレクタ・アマトールにするか?とも思ったのですが、ウニモグさんの書かれているとおり、Grand Piano Homeの床に直置きできる+価格が手ごろ、という魅力にあっけなく負けたわけであります。
エレクタ・アマトールをお持ちでしたら、どうしても比較してしまうでしょうから、このSPの購入はお奨めしません。聴きやすさ云々ではなく、残念ながら、エレクタの「音質」は格段に素晴らしいので・・・。エレクタの良さを再認識するだけ、という結果になると予想いたしますです。
by 門前トラビス (2012-11-17 10:51) 

おじさま

全く同意見です。

私もスピーカーにしかお金はかけません。アンプ変えてもほとんど音は変わりません。

オーディオの目的が、生の音を再生することというのは嘘です。おっしゃる通り、CDのように、現実のオーケストラとソロバイオリンがバランスよく綺麗になるわけがないのです。

私の持っているのは sonus faber grand piano domusという次のモデルです。 多分同じような音の傾向だと思います。

同じような考え方の方がいて嬉しく思って記入しました(笑)
by おじさま (2016-12-23 22:34) 

門前トラビス

To おじさま様、コメントありがとうございます。
ごもっともなご意見で、当方も意を強くしました。
JBLやハーベスといった独特の音色とバランスをもったスピーカーを聴くと、「原音に忠実」をうたい文句にする特に日本製品には食指が動かなくなりますね。
ところで、都内の家電量販店で、ひさしぶりに「いまどき」のスピーカーの視聴をしました。
ずいぶん海外製が増えた、という印象です。
いくつかの製品を聴いてみたところ、海外製スピーカーもずいぶんフラットな特性になったような気がします。クリアでエッジが立っているのです。
量販店なので、日本人好みの音質のものをそろえているのかもしれません。
日本製は相変わらずという感じですね。
日本の大手飲料メーカのビールが一様に「キレとコク」を特徴とするように、日本製スピーカーは相変わらず「クリアとフラット」が主眼のようです。
いやなら海外製を買えばよいだけのことではありますが、デザインも含めて、突き抜けたような製品がメイド・イン・ジャパンから出てほしいなあ、とも思いました。
by 門前トラビス (2016-12-24 04:37) 

Pチャン

 貴兄の記事に触発されて、Grand Piano Homeの中古を入手しました。真似てスパイク受けを置く石を手に入れようと思っています。スパイク受けは
石の上に直置きですか?それともスパイク受けが収まるような穴を穿っているのですか?ご教示下さい。 40年ぶりのオーディオ初心者です。
by Pチャン (2021-03-13 22:13) 

門前トラビス

To Pチャン様、コメントありがとうございます。
ご質問の件、スパイク受けは石のうえに「直置き」しています。スパイク箇所だけ、石を加工・細工するのはシロウト目にみても難しいですし、石表面のレベル(平面)がきれいに出ているので、直置きで全然問題ない、というか直置きのほうが良い、と考えている次第です。
ただし、2011年の東北大震災のときは、スパイクごとスピーカーが石台から滑り落ちましたので、水平方向の固定という点では、若干の問題はありますね。。。
by 門前トラビス (2021-03-28 16:15) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0