クラシック音楽 現役作曲家の鑑?セーゲルスタムおじさんの交響曲街道まっしぐら!! [クラシック音楽]

2011年3月。

マニアックなクラシック音楽ネタでございます。とはいえ、読んで損はございません!(きっぱり)。こんなぶっ飛びおじさんがいるのか!と目からウロコ間違いなしでしょうから。

世の中には勤勉というかワーカホリックというか「仕事をしてないと気が済まない」病的な御仁がいるものです。こうした方々の「仕事欲」はその方が、物を作る職種にあるとき、偉大なる(異常な?)創造物を生み出します。

クラシック音楽業界ではどうでしょう。世界を飛び回る人気指揮者、演奏家たちの分単位スケジュールを知ると、「よくまあ、体が持つよなあ」と関心します。しかし、まだまだ甘いっ!

本日、ご紹介するレイフ・セーゲルスタムおじさんの、常軌を逸した創造力、あふれるエナジーを前にしたら、そんなん、どうってこたあないのだ。

セーゲルスタム写真.jpg

脇道にそれますがクラシック音楽のなかで「交響曲」はオペラに次いでヘヴィーな創作物です。おいそれと作れません(たぶん)。たとえば古典派、ロマン派以降の作曲家が残した交響曲は、各人、10曲未満です。番号付きだとベートーヴェン=9曲、シューベルト=8曲、チャイコフスキー=6曲、ブラームス=4曲、マーラー=9曲、ブルックナー=9曲・・・まあ、せいぜいこんなもの。

多作を誇るハイドンでさえ交響曲は104曲。宮廷音楽家のルーチンワークでこの数です。モーツアルトの40数曲も、依頼に応じて作ったものと聞けば腑に落ちます。

さて本日ご紹介するレイフ・セーゲルスタムおじさん(1944年生まれ)は、作曲家であり指揮者であり(読売日響の客演指揮者でもある)音楽大学の指揮科教授というマルチなお方です。

このおじさんが作曲した交響曲、現時点でなんと、250曲!

ハイドンの2倍以上かよ!?どんなハイペースで作曲してるんだ?答えは1年間に約20曲、つまり、1か月に1曲以上という驚異的ペースです。最近、曲の長さが短くなりつつありますが、それでも1曲20~30分という尺があります。さらにビックリは、依頼されてないのに、ご本人の自由意思(趣味?)で量産してるってこと。

世界中のオーケストラに指揮者として客演し、大学で教鞭をとり、ただでさえ忙しいはずなのに、合間を縫って(?)1年に交響曲20曲をコンスタントに生みだす作曲モンスター・・・いや、風貌からすると、作曲サンタクロースか?とほほほ。

セーゲルスタムさんの作品への評価は未確認ですがCDでも発売されています。それなり評価(とセールス)はあるのでしょう。ONDINEレーベルからリリースされた最新録音(2011年2月発売)がこれであります。 

セーゲルスタム1.jpg

レイフ・セーゲルスタム作曲、交響曲81番(2002年)、162番(2006年)、181番(2007年)のカップリング。うはあ、すんごいデッカイ番号だ、それだけでインパクト十分です。音楽を聴く前に、おなかがいっぱいになりますな。

曲のタイトルがまたスゴイ。実に即物的。交響曲81番のタイトルは「After Eighty・・・」つまり「80の後」。おいおいっ!81は、80の後に決まっとろうが!このぉ~ばかちんがぁ~と、武田鉄矢さんのノリで九州弁でツッコミましょう。

162番は「Doubling the number for Bergen!」、「ベルゲンのための番号(作品の?)の2倍」。うーん、ベルゲンのための番号って81だったのね?この、たくらんけがぁ~と、こんどは北海道弁でツッコミ。

181番はさらに突き抜けています。「Names itself when played・・・」配給会社の和訳はわけ分からんので、私なりに解釈しますと「演奏されたとき、おのずと題名が現れる」。タイトル放棄ってこと?ほんじゃあ無理にタイトルつけずに、交響曲181番のままでいいんちゃうか?なんやねんの、これ?と関西弁でツッコミましょう。

創作活動(作品タイトル含む)も風貌もユニークなサンタさんなのが分かりましたか?・・・って、オレはセーゲルスタムおじさんの広報担当かっ!おっと、曲の内容はどうかって?乱暴にくくれば「比較的、聴きやすい現代音楽」ってとこでしょう。無調っぽさもありつつ、メロディや起伏もそれなりで、2曲続けて聴く気にはなりませんが、数をかせぐためのやっつけ仕事ではありません。シェーンベルクやシュニトケを知ってしまった耳には心地よく聞こえるくらいです。まあ、お薦めはしませんけど・・・。

勢いついでに、セーゲルスタムさんの他のCDも紹介しておきますね。

BISレーベルから出ている交響曲13番と、ピアノ協奏曲3番のカップリング。ちなみに、おじさん、ピアノ協奏曲は4曲以上、ヴァイオリン協奏曲は30曲以上も作っておられ、コンチェルト作曲家としても多作なのでした。 

セーゲルスタム2.jpg

交響曲11番と、14番のカップリングCDもあります。 

セーゲルスタム3.jpg

勢いついでに、セーゲルスタムさんが指揮者として録音したCD(こちらの方が数は多い)もご紹介しましょう。現在は廃盤のようですが、CHANDOSレーベルから発売の「マーラー交響曲全集」。指揮者としてもしっかりご活躍されております。 

セーゲルスタム指揮マーラー交響曲全集.jpg

北欧指揮者としてキャリアに欠かせない「シベリウス交響曲全集」はいうに及びませんが、マニアック狙い(?)のアナタには「スクリャービン交響曲全集」をお薦めしましょう、って、いらないよ。 

セーゲルスタム4.jpg

ハナシは戻ってセーゲルスタムおじさんの交響曲量産街道。どこまで続くのか大いに楽しみです。現時点で250番まで確認できていますが、それも数カ月前の情報です。つまり、今、この瞬間に、交響曲271番、タイトル「Before 272・・・」が生みだされているかもしれません。

大台=交響曲300番への到達、おおいに期待しておりますよ、レイフおじさんっ!


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Cecilia

写真を見ただけで面白そうなおじさんだと思います。
ONDINEもBISもChandosもすべてNMLで聴けますので聴いてみようっと・・・。
by Cecilia (2011-03-20 11:15) 

門前トラビス

To Cecilia様、nice&コメントありがとうございます。
ハリー・ポッターの映画に、セーゲルスタムさんそっくりのキャラが登場していますが、たしかに、マンガ的というか、微笑ましい容姿の方ですよね。
NMLだと、全曲試聴できるCDもけっこうありますので、セーゲルスタムおじさんの美意識をご堪能下さい。
それにしても、よく作りますよね~、交響曲を。
記事には書きませんでしたが、弦楽四重奏曲も30曲くらいは作っていたはずです。
こうなると、ホント、わけが分かりません。
ツッコミを入れながら、数曲を聞く程度がちょうど良いようです。
by 門前トラビス (2011-03-20 21:17) 

Cecilia

私は手始めに声楽作品を聴きました。
やっぱり声楽作品が気になりますので・・・。
http://ml.naxos.jp/album/BIS-CD-39
う~、ヘビーな作品です。
門前トラビスさんはお好きかも。
聴いて癒されるという作品ではないし、とても歌いたくなるような作品というわけではないですが、はまると病みつきになりそうですね。
こういう作品はマーラーの歌曲などを得意とする人に向いていると思います。(マーラーは歌ってみたいのですが・・・。)

今NMLを見ていてフレディ・ケンプの新しいCDに思わず注目してしまった私・・・。
http://ml.naxos.jp/album/BIS-SACD-1810
by Cecilia (2011-03-25 09:32) 

門前トラビス

To Cecilia様、nice&コメントありがとうございます。
セーゲルスタムさんも、ひょうきんな容貌に似合わず、ダークでシリアスな作品を作るお方なのでありまして・・・。
多くの現代作曲家と同様、食いつきづらいですが、聴き慣れるとそうでもありません。

フレディ・ケンプは、バッハの「ゴルトベルク」など最近のステージ・レパートリーを見ても、いよいよ円熟期に入ったなあ、という好印象を持っています。
年齢的には中堅といっても、まだお若いピアニストですから、どんどん意欲的な録音を続けてほしいものですね!
by 門前トラビス (2011-03-25 23:20) 

しのぴぃ

こんにちは☆
先週末、演奏会でセイゲルスタムさんの指揮と245番を(これは指揮者なし)で聴いてきました。
セイゲルスタムさんをもっと知りたいなぁ・・と思い、
ウィキの下の記事をクリックしたら見慣れたグリーンの背景が・・。トラビスさんでした^^

245番、固定観念なく自由に楽しみました。
それにしても、245番が最後ではないとは!
指揮は椅子に腰掛けて、歩くときはゆっくりゆっくりですが、ものすごいパワーを秘めた方なのですね。
また機会を見つけては生で聴きたいものです。
by しのぴぃ (2013-02-05 06:08) 

門前トラビス

To しのぴぃ様、コメントありがとうございます。
おお、セイゲルスタムさんの実演とはすごいではないですか!交響曲245番、やはりこの数字の大きさにはインパクトがありますね。
在京オケの客演もされていたので、私もぜひセイゲルスタムさんの実演に接したいと思います。
うーん、新たな目標ができました!
by 門前トラビス (2013-02-09 22:44) 

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