ギュスターヴ・モロー展を、パナソニック汐留ミュージアム、で拝見したハナシ。 [絵画]

2019年5月。

少し前のハナシになりますが、新橋駅近くにあるパナソニック汐留ミュージアムで、

ギュスターヴ・モロー展 (2019年4月6日~6月23日)を拝見しました。

モロー02.jpg
19~20世紀のヨーロッパ絵画というと、日本人のかなり多くがモネやルノワールを代表とする印象派を好むように思います。あの絵のどこが良いのか、私にはサッパリわからない。シスレーやピサロといった例外を除けば、ワタクシには、ただのぼやけた絵としか思えず、どうしても食いつけないのです。セザンヌやゴッホといった世間的ビックネームについても、すいません、いったい、どこをどう見ると感動できるのか全然分からんのです・・・。

てなわけで、この時代の白眉といえば、なんたってモローさんの幻想的な作品でしょうが!と声を大きくしたい。

以前も当ブログに書いた気がしますけど、ワタクシ、モローさんの絵画を、腹の底から深~く愛しているのであります(妙な表現ですな)。ヴラマンクさん、スーティンさん、キスリングさんの絵も大好きですが、モローさんは別格だあ!と申し上げたい。

そんなファイヴァリット・アーチストの展覧会とくれば、観ないわけにはいかんぜえ!というわけで、京橋の職場を出たワタクシは、銀座を徒歩縦断し20分。巨大ビル4階にある、パナソニック汐留ミュージアムに到着であります。

1000円の料金を払って、いざ展覧会会場へ!

いやあ、言葉にできませんでしたね、この感動。展示作品数はけっして多くないですが、なにせ一点一点の「濃厚さ」「インパクト」がスゴイのです。「サロメと宿命の女たち」という展覧会のサブタイトルが示す通り、モローさん作品のメイン・モチーフである妖艶な女性たちが、これでもか、つうくらいに登場します。

無表情の美女たちの醸す緊迫感。どすんと腹に響くような画面からの放出エネルギー・・・唯一無二の世界観を前に、ワタクシごときが、何を語ることがあるでしょうか・・・無力感。

展示作品のなかでワタクシの選ぶベスト・オブ・ベストは、定番チョイスながらやっぱりこれです。王女サロメと、ヨハネの首が対面するシーンを描いた名作「出現」であります。

モロー01.jpg
この絵画の前で、ワタクシ、10分以上、立ち尽くしてしまいました。画面に呑みこまれそうなくらい吸引力をビンビン発散しております。建物の柱や壁に、見事な線描が施されていますけど、この線って、モローさんが、最晩年に加筆したものだそうです。描いて20年経った作品に対して、素晴らしい仕上げをしたものですねえ。

ところで、「サロメ」と言えば、カール・ベーム指揮ウィーン・フィルによる、リヒャルト・シュトラウス作曲のオペラ「サロメ」の映像(1974年)を思い出します。サロメを演じるのはテレサ・ストラータスさんです。彼女以外のサロメは考えられない!と思うほどバッチリはまっております。ヘロデ王の前で、7つのヴェールの踊り、を披露するサロメの、エロチックなことよ!踊った代償として、彼女はヘロデ王に、預言者ヨハネの首を要求するわけです・・・まあ、なんちゅうエグイ話を書くのだね、オスカー・ワイルドさん。

話は戻ります。ストラータス演じるサロメがいかに素晴らしくても、ウィーン・フィルがどんなに良い音楽を奏でようと、

モローさんが「出現」で描いたサロメにはかなわない!

のであります。これぞ絵画の力。絵画にしかなしえない力、であります。

ついついこの絵のハナシが長くなりました(好きなんだからしょうがない)。むろん、他の作品にも満足いっぱいでした。嗚呼、なんと良い一日でありましょう。

さて、この流れを保ちつつ、次は、上野で開催中の「クリムト展」に行くとしますか。楽しみであります。本日は以上です!

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