勝手にテレマン祭り。演奏に欲しいのは渋さより「色気」でしょう。 [クラシック音楽]

2022年8月末。

早朝散歩のため朝5時に家の外に出たら「お!涼しいじゃん!」と思わず声が出ました。猛暑だった夏も、ついに勢いが尽きましたな。そりゃそうだ、もうすぐ9月なんですから。ふうう・・・。

という時候ネタと全く無関係なクラシック音楽のハナシであります。シゴト、家事、雑事を午前中に終わらせ、午後は音楽、映画、本、そして、酒つうマッタリ生活のワタクシ、最近、マイブーム(←死語すか?)なのが、テレマンさんの楽曲なのであります。

と書いても、テレマン?誰それ?つう方が多いでしょう。油絵具を溶く溶剤?それはテレピン!映画「プロフェシー」の?って、モスマン(蛾人間)なんていまどき誰も知らんよ。おっと話をややこしくしてスイマセン。

テレマンさんのフルネームは、ゲオルグ・フィリップ・テレマン。1681年生まれのドイツの作曲家です。大バッハと同時期に活躍し、当時は大変有名だったそうです。現在はバッハ様の威光が強すぎるせいか、知名度イマイチでしょう。で、彼の何が凄いかと言うと作曲数。86年の生涯で残した楽曲なんと約4000曲と言われており、他の多作な作曲家の数倍という驚異的物量なんであります。

まあ、そうしたプロフィールは置いといて、ここ20年ほどテレマン楽曲が華麗なる復活を遂げ、録音が多く出回るようになったつう嬉しい話。4000曲もの在庫(?)があるので素材には事欠かないすもんね。ははは。

で、何を言いたいか、つうと、マニアック作曲家の作品を聴いてる自分を自慢する欲求もありつつ、実は、素直にテレマンさんは良いなあ、と感じ入ってるという事。世間がおおいに持ち上げる大バッハさんは、音楽的にはスゴイのかもしれないけど、宗教色が強いつうか、硬いというか、真面目というか、ゆえに聴いていてスカッと楽しくはなれない(あくまで個人の感想)。

反論として、スカッと楽しむならロマン派の楽曲でも聴け、いや、そもそもクラシック音楽じゃなくJ-POPでも聴けや、つう話になるけど、そこまで宗旨替えする気もない。てなわけで、テレマンさんなんですなあ。彼の楽曲は器楽曲、室内楽曲、協奏曲、声楽曲といろいろあって、なかには悲し気な曲もありますけど、押しなべて「根が明るい」んです。そして「活きが良い」のであります。よーするにワクワク楽しい、のであります。

ただし。

ここからが問題ですが(と勝手に問題提起)、演奏がいかんのである。

テレマンさんの「根の明るさ」を活かせてない、つうか、演奏が地味・真面目すぎて、ワクワク感が前面に出てこないのである。それがテレマンだよ、とエライ人は言うかもしれないが、ワタクシの好みとは違うのです。

知ったような顔でいうと、こうした渋い系演奏には背景がありまして、テレマンさんの、20世紀の復活を牽引したのは主に古楽器(ピリオド楽器)奏者たちだったこと。ここから、ワタクシの保有CDに絡めて話を進めます。

フランス・ブリュッヘンさん、ヤープ・シュレイダーさん、アンナ―・ビルスマさん、レオンハルトさんという古楽ビックネームによる「パリ四重奏曲集」は、1960年代前半の録音。お、テレマンって意外にいいじゃん!という気づき的な意義はありますが、今の耳で聞くと乾いたサクサク感がどうもねえ~と、プチ物足りない。

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次はこれまた古楽のパイオニア、故・ホグウッドさん指揮エンシェント管による「二重・三重協奏曲集」。1981年録音で、素晴らしいテレマン体験をさせてくれますが、ここでも乾いた地味感が玉に瑕(個人的感想)。

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日本が世界に誇るフラウト・トラヴェルソ(横笛)奏者の有田正広さんによる「様々な楽器のための協奏曲集」。1994年録音と新しく、ここにきて「艶」のようなものがまぶされてきた感じ。ただ、有田さんが上手すぎて、テレマンを聴くというより、有田さんの笛を聴く感、なきにしもあらず。。。

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1997年録音の「ヴィオラ・ダ・ガンバのための室内楽曲集」は、ワタクシが絶大な賛辞を惜しまないチェロのクリスファー・コワンさんが率いる、アンサンブル・バロック・リモージュの演奏。今は無き珍楽器(失礼)のヴィオラ・ダ・ガンバが主役ということもあり先祖返りしたかのような地味っぷり。いや、演奏自体は良いんですけどね、雰囲気つうかなんつうかねえ・・・お分かり?

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器楽曲、カンタータなどもありますが割愛し、ではいよいよ本題にいきましょう(って前置き、長っ!)。ワタクシが、満足できるテレマン演奏は、ずばりこちらのCDでございます。

ターフェルムジーク(食卓の音楽)全曲」、堂々のCD4枚組。18世紀カメラータによる1992~93年録音です。

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なんたってCDのレーベル(製作元)が良いですよ。ドイツのMD&G(エム・デー・ウント・ゲーと読む)、CPOと並ぶマニア好み録音を連発する、男気のあふれたレーベルなのです。ま、それは良いとして、演奏が実に素晴らしいのであります。

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録音の特徴は、各パート、ひとりで弾くというスタイルになります。乱暴な言い方をすればオーケストラで、第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、が各1名だけ、みたいな。結果「室内楽」のように響き、個人の音色が自由に闊達に出せて、演奏がまとまるメリットがある反面、音の厚みが減ってしまうので、採用判断は微妙なところでしょう。

でも、このCDのツボは演奏形態ではなく、音色に色気があること、なんですね。古楽器ではありますがパサついた感じはなく、なんともいえぬ艶と奥行きがあって、これだよ、これ!とワタクシは快哉をあげる次第。演奏メンバーにはヴァイオリニスト、名手の山縣さゆりさんもいらして日本人として、ちょっと誇らしいぜ。

「ターフェルムジーク」はテレマン楽曲のなかでも有名なので、それなりの数、録音が出てますが、ワタクシは3種類しか持っておらず比較検討まではできません。でも18世紀カメラータ(故・ブリュッヘンさんが率いていた、18世紀オーケストラのメンバーで構成)のこの録音さえあれば「ターフェルムジーク」に関しては大満足・打ち止めでございます。他の演奏は要りません(きっぱり)。

そういや、ヴィバルディさんの楽曲(とくに「四季」)はチャレンジ対象にしやすいのか、ナイジェル・ケネディさんのブットビ演奏が出たり(話が古いね)、ファビオ・ビオンディさんがヴァイオリンの音色に色気をぶちこんだり、と、ある意味やりたい放題なのに、テレマン楽曲演奏はまだ「保守」の域を出てない感じがします。

そこで暴言と知りつつ、ワタクシの提案は、テレマン楽曲を古楽器ではなく、バリバリのモダン楽器(モダン・オーケストラ)で演奏してはどうか?というもの。

18世紀音楽だから、いまさらモダン楽器じゃあね・・・というのは、逆の思い込みに思えます。どでかい音でガンガン鳴らしたら「テレマン、すんげえじゃん!」とブーム到来かもしれませんぜえ!と、音楽業界関係者さんへ無責任な提案をしたところで今日はお終いっ!チャオー。

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