ヘンデルの合奏協奏曲 作品3、をきっかけに極私的ヘンデル・ブームが到来した日。 [クラシック音楽]

2019年3月24日。

前回のヘヴィメタルから一転、本日は、クラシック音楽について書きます。

ワタクシが突如、ヘンデルの器楽曲に目覚めた!という顛末であります。ヘンデル(Handel)とは、18世紀に活躍した作曲家ゲオルグ・フリードリヒ・ヘンデル(1685~1759)のこと。ドイツ人ですが主にイギリスで活躍されたそう。「王宮の花火の音楽」「水上の音楽」「メサイア」などが有名で、そのほかにもオペラやオラトリオを多数残したビックネームです。ワタクシのイメージは「バロック音楽にしては大仰な作品を残したヒト」。その先入観ゆえか、ヘンデルさんの楽曲はピンとこない、つうか肌に合わんなあ、と思っていたのです。

そんな愚かな考えがガラッと変わったのは、本日、このCDを聴いたからです。

ヘンデル作曲、合奏協奏曲、作品3。ジーン・ラモンさん指揮(&ヴァイオリン)、ターフェルムジーク・バロック管弦楽団の演奏。録音は1993年。

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コンチェルト・グロッソ、を日本では合奏協奏曲と呼ぶようですが、「協奏曲」といってもチャイコフスキーやラフマニノフのそれのようにオーケストラをバックに、ソロ楽器(ピアノやヴァイオリン等)が主役となって大活躍する曲ではありません。バロック時代の協奏曲ですから、複数楽器のコンビネーションの妙を楽しむ、今でいう室内楽曲という感じです。

で、ヘンデルさんの作品3、の件です。嗚呼、なんと喜びに満ちた音楽なのだ!と感激した次第。明るく軽快に、この世の幸福を歌い上げるかのよう。バロック音楽は「地味で、説教くさく、どの曲も変わり映えしない」そんな偏見をぶっ飛ばすパワフル&アクティヴな演奏を前に、ワタクシは目からウロコが落ちるとともに、こんな素敵なディスクが今日まで自宅CD棚に死蔵されてたことにショックを受けたのであります。

よし、CD棚からヘンデルの器楽曲を発掘するぞ!と気合を入れて探索。行きついたのは故フランス・ブリュッヘンさんのリコーダー演奏(1960年代~1970年代)を収録した12枚組全集(Das Alte Werk)。そのなかの第9巻がヘンデル「リコーダー・ソナタ集」(1962年録音)でして、聴いてみると、血の通った闊達さが素晴らしい。共演がアンナー・ビルスマさん、グスタフ・レオンハルトさんですからハードロックで言えば「スーパーグループ」ではないか。

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かように、ヘンデル・ブームが、突然、訪れたように書きましたが、実はこの本が動機づけなのでした。

バッハ研究の大家、故 磯山雅先生の名著「バロック音楽 豊かなる生のドラマ」です。

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昨年、自宅の山積み段ボール箱を整理したら、この本が出てきました。20年以上前に購入したのでしょうけど、内容どころか買った事実すら忘れていたワタクシ。外観があまりにもキレイ(未読?)ゆえ処分せず、先週、出張先へ持参して読んでおったら、めちゃツボにはまったのでした。

磯山先生は、バロック音楽を地味どころか「強い感情表現を目指した」として論を展開しております。そして中盤に登場するのがヘンデル。器楽曲に関する記述に「えっ」と思ったのですね。

ヘンデルの「コンチェルト・グロッソ集(合奏協奏曲)作品6」を、バッハの「ブランデンブルク協奏曲」と並んで、バロック・コンチェルトの最高峰に位する、と言い切ってから、こう書いておられます。

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ひたすら内面を掘り下げようとするバッハと異なり、ヘンデルはのびのびと外側に広がろうとする発想をもっているが、そのおおらかさ、豊かさは、他のどの作曲家にも求められないものである(上記本より抜粋)。

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単純アタマの私は、磯山先生のこの言葉にすっかり感化され、宮崎県出張から帰るとすぐに、冒頭紹介したCD(作品3)を聴いたのでした。先生が「最高峰」とされる作品6は、ワタクシ、CDを保有しておらずPCからYouTubeで聴きました。良い音質でちゃんと聴きたいのでYouTubeは途中でやめ、銀座の山野楽器でCD購入しようとおもっちょります。

クラシック音楽好きを自称し、悦に入っていたワタクシですが、未知の素晴らしい楽曲が、世の中には、つうか自宅CD棚に潜んでいたことで、不勉強を恥じ入りました。てなわけで、ワタクシの極私的ヘンデル・ブーム、今後どのような展開を見せるでしょうか。「実演」を聴いてみたいなあ。でもバロック合奏協奏曲のコンサートなんて、どこかで、やっているもんでしょうか。

いずれにして、クラシック音楽って奥が深いですね。作曲家や時代に対し偏見をもたず、「まずは聴いてみる」ことが大切なんですなあ。反省をこめ、改めてそう思いました。ちゃんちゃん。

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Cecilia

ヘンデルの合奏協奏曲大好きです!!
特にOp6-No11の1楽章Andante larghetto e staccato。夏に聴くと爽やかな気分になります。
私が好きな演奏の一つをご紹介します。
Arte dei Suonatoriの演奏です。
聴いたことあると思いますがお勧めのOp3も聴いてみようと思います。

https://youtu.be/FsuW1kllyOc
by Cecilia (2023-02-23 05:43) 

門前トラビス

To Cecilia様、コメントありがとうございます。
コメントをいただいたので良い機会とばかりに、ヘンデル楽曲のCDをまとめて聴いてみました。
「王宮の花火の音楽」「水上の音楽」やオルガン協奏曲、定番の「メサイア」等等です。
合奏協奏曲Op-6はアンドルー・マンゼ指揮エンシェント室内管(1997年録音、Harmonia Mundi)の演奏で、全体に明るくスカッとしながら、緩徐楽章は嚙むほどじわ~と滋味あふれるスルメ的なテイストが良いなあ、と感じた次第。
アルテ・デイ・スオナトーリは、ヴィヴァルディのCDを持っています。ヘンデルも演奏していたのですね~。興味津々です。
by 門前トラビス (2023-03-07 15:41) 

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