映画「PERFECT DAYS」。役所広司さんの名演技と、監督の視線の優しさに号泣であります。 [映画]

2024年1月。

歳のせいか、もともとゆるい涙腺がいっそうゆるくなり、音楽を聴きながら、あるいは映画を観ながらポロポロと涙を流すことが増えたワタクシ。一昨日はポロポロどころか、ドバドバ泣いちゃいました。いわゆる号泣です。近所の映画館でこの作品を観たから、であります。

「PERFECT DAYS」(2023年)。主演は役所広司さん。監督・脚本はヴィム・ヴェンダースさん。

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ヴィム・ヴェンダース監督といえば、ワタクシが最も愛する映画「パリ テキサス」(1984年)撮った名匠であります。ナスターシャ・キンスキーさんが美しかった!ライ・クーダーさんの音楽の、琵琶法師?つうスライドギターのビヨヨ~ン音色が渋かった・・・おっと今日は「パリ テキサス」のハナシではなかった、失礼。

「PERFECT DAYS」は、役所広司さん演じるトイレ清掃員、平山の日常を、東京都心を舞台に淡々と描いた物語。ボロアパート(都内でよく見つけたもんだなあ、と感心)にひとりで住み、規則正しく、物欲なく、人を傷つけない、そんな彼の、今に満ち足りた様、植物や木漏れ日にむける優しい視線・・・こうしたものが、じわああっとココロに染みるのであります。

2023年のカンヌ国際映画祭で、役所広司さんが最優秀男優賞の栄誉に輝いたのも当然と言えるでしょう。

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で、役所さんもすごいけど、やっぱりヴィム・ヴェンダース監督なんだな~~。主人公、平山の優しさは、とりもなおさずヴェンダース監督が世界をみる視線の優しさですよね。即物的でなく説明的でなく、行間に漂う空気を感じる作風。観る側に解釈をゆだねるスタイルゆえ、おそらく30年後も50年後も上映され、観客を魅了し続ける名作となるでしょう。

これまで無数に作られて定型化された感すらある映像作品において、こんな見事な逸品が、21世紀にも生まれえるのか!とワタクシは「映画の可能性」だけで目に涙が浮かぶのであります(←ちょっとキザな言いかたでした)。

起伏がない、という批判もあるようですが、そもそも人生、そんな劇的なもんじゃないでしょう?淡々と流れる日々のなかに、悲しみや懊悩がチラッと顔を出すってもんです。

映画中盤、平山の姪ニコがあらわれ、ニコの母(=平山の妹)があらわれ、このあたりでワタクシの涙は徐々に増加傾向。そして夜のボロアパート前、役所さんと妹役の麻生祐未さんとのシーンで、涙ドバーですよ。

次に、平山の休日いきつけの小料理屋、そこのママを石川さゆりさんが演じていて、店内で「朝日のあたる家」(日本語歌詞)を演歌っぽく歌うシーン。ここでしみじみ~~とさせておいて、最後に登場するのが三浦友和さん。夜の隅田川を前に、役所さんと三浦さんが会話するシーン、もはや号泣のワタクシであります。

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月並みな言いかたですが、ホント、良い映画だったなあ~

あのシーン、このシーンと、何度も思い出して幸せな気持ちになれる。役所広司さん、ヴェンダース監督、ありがとうございました!あと、居酒屋店長役の甲本雅裕さん、いい味出してましたね(←個人的にツボでした)。

ヴェンダース作品これまではワタクシのベスト3は、1位「パリ テキサス」、2位「都会のアリス」、3位「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」、次点に「ベルリン 天使の詩」「さすらい」「アメリカの友人」・・・となっておりましたが、本作を拝見し、上位順位に変動が生じました。ずばり、

1位「パリ テキサス」(←ここは不動)、2位「PERFECT DAYS」となりましたあ!って、順位付けなんてなんの意味もないんだけどね。あははは。

あと、どーでもいい事ですが、ワタクシ「朝日のあたる家」はアニマルズよりも、ジョーディで聴きたいです。フォークナーの「野生の棕櫚」は悲惨な物語で、ハーディの「テス」も同様に悲惨ですが映画「テス」の主人公を演じたナスターシャ・キンスキーさんが美しくて・・・って、結局それを言いたかったんかい!ちゃんちゃん。

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