ヴァイオリニスト、ヤープ・シュレーダーさんが95歳で逝去。古雅でありながらアグレッシヴな名手。 [クラシック音楽]

2020年2月。

早いもので今年も1か月半が過ぎますね。年始に、「ヒマな1年」を目指したワタクシですが、日を追うごと予想外の事案が次々と勃発、そんな呑気は言っとられん状況になりました。ブログ更新が滞るのも、うべなるかな。しかしなあ・・・ワタシには何の関係もない事案まで持ち込まれるコラテラル・ダメージ状態つうのが、イマイチ気に入らんなあ。。。

と小さくグチったところで、本題です。

かつて心をときめかせた偉大なアーチストの訃報に接すると、世界からひとつ灯が消えたようで、なんとも寂しい気持ちになるものです。クラシック音楽界では、ここ1年、ワタクシが愛する巨星が次々に鬼籍に入りました。

ピアニストのパウル・バドゥラ=スコダさんが昨年9月、来日直前にお亡くなりになったのは衝撃でした。享年91。

そして今(2020年2月)、多くのクラシック音楽ファンは指揮者マリス・ヤンソンスさん、歌手で指揮者のペーター・シュライアーさんを悼んでいることでしょう。それほどバッハ好きとは言えないワタクシでさえも、シュライヤーさんのエヴァンゲリストには惚れ惚れしましたから・・・。

さて、個人的に思い入れが強い名ヴァイオリニストのことを書きます。昨年12月31日に逝去されました。

ワタクシが「古楽器スタイルの演奏」を始めて知り、衝撃を受けたのが、この方のヴァイオリンから。1925年生まれのオランダの名手、

ヤープ・シュレーダーさん(享年95)です。

クリストファー・ホグウッドさん(故人)率いるエンシェント室内管のコンサートマスターとして、主に18世紀以前の楽曲に対し、作曲当時の楽器と調律、演奏法をつかってオーセンティック演奏を展開されていました。いっぽう、ソリスト、室内楽奏者としても大活躍されオワゾリール・レーベルに膨大な録音を残しております。私が保有するCDだけでも、実に70枚以上にシュレーダーさんが登場していますから、そりゃあ、私の思い入れも強くなるってもんですよ。

心に深く刻まれた名演奏といえば、まずはモーツアルトの室内楽曲ですね。

弦楽四重奏曲第17番K458「狩」、と、第19番K465「不協和音」のカップリングCD(1979年~1980年録音)は、いまだワタクシにとっての同曲ベストであります。ノン・ヴィブラート奏法でありながら、シュレーダーさんのヴァイオリンは、無機質とか素っ気なさ、といったネガティヴ要素はなく、全編、愉悦感、歌心、ニュアンスの奥深さに満ちており、たまらんのであります。いやあ30年間聴き続けても、これを聴くと震える。

ちなみに、自分のブログでも、過去、シュレーダーさんに関する記述がいくつかありました。自分でもよく覚えてなかったけど、やっぱりモーツアルトを挙げていますね(過去記事→ここ2019年9月15日)。

さて、数日前からシュレーダーさんのCDをいろいろ聴きかえしてみたところ、じーーんと心に染み入ったのは、モーツアルトよりも、こちらでした。

シューベルト ヴァイオリン・ソナタ集(1978年~1979年録音)、です。

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フォルテピアノで伴奏するのは、盟友クリストファー・ホグウッドさん。昨今のヴァイオリン・ソナタ演奏というと、ヴァイオリンと鍵盤がガチンコ・丁々発止のせめぎあいを展開するスリリング系が多いですが、このCDはオーソドックスに、鍵盤は控えめで、主役はやっぱりヴァイオリンだよね~という大前提が「安心感」につながります。

ここでのシュレーダーさんの音色は、ラーメンでいえば、魚出汁ベースのスッキリ系透明スープ、麺は細麺、昭和35年創業の名店の味わい・・・と、訳の分からん比喩を使いましたが、つまりは古雅、しかし!昔ながらのスープの味にあぐらをかかず、攻めるところは攻める、そんなアグレッシヴなラーメン屋ご主人の心意気も感じられます(この比喩、ややこしいので、もうやめよう)。

さて今週末は、ヤープ・シュレーダーさんがインマゼールさんと組んだベートーヴェン、ヴァイオリン・ソナタ全集(1988年録音、CD3枚)を、じっくり聴くことにしましょう。今から土曜日が楽しみだなあ。

改めて偉大なるヴァイオリニスト、ヤープ・シュレーダーさんのご冥福をお祈りいたします。

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