映画「哀れなるものたち」。エマねえさんのアカデミー主演女優賞は確実じゃん、と微妙な興醒め感が漂いますな。 [映画]

2024年2月。

先月末から公開中の映画「哀れなるものたち」(原題「Poor Things」)を市内のシネコンで拝見しました。

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この手のスーパー・エキセントリックな作品へコメントするのは難儀ですが、取り上げてしまったからには何かを書かねばならん、つう義務感にのっとって感想まがいをチョイと書きましょう。

映画の概要は配給元(サーチライト)のHPより転記します、フフ手抜きじゃ:「天才外科医によって蘇った若き女性ベラは、未知なる世界を知るため、大陸横断の冒険に出る。時代の偏見から解き放たれ、平等と解放を知ったベラは驚くべき成長を遂げる。天才監督ヨルゴス・ランティモス&エマ・ストーンほか、超豪華キャストが未体験の驚きで世界を満たす最新作」・・・だそうです。はい。

配給元が言う「未体験の驚き」はビミョーですが、物語の展開、ゴシック調のセットや衣装、不可思議なCG、演者のオーバーアクション等等、非標準のかなりぶっ飛んだファンタジー(?)なのは間違いありません。観終わって絶句しちゃう感じすね。とはいえ、新しさに目をみはるつうよりは、既視感でいっぱいだったとも言えます。

たとえば、幼児なみの知能のベラ(エマ・ストーン)が冒険旅をとおして進化・成長していく様は、ずばりオードリー・ヘプバーン主演の名作「マイ・フェア・レディー」(1964年)じゃん、と思った次第。違いといえば、イザベラ(ヘプバーン)が、言葉と礼儀の習得を通じて、自我や自由に目覚めるのに対して、「哀れなるものたち」のベラは、セックスを通じて世界と自分を見出していく、という点でしょう。

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ゆえに本作には、過剰に多くのセックスシーンが登場するんですね。そこまでセックスさせんでいいやろ、と中盤からは食傷気味ですな。一人で観た私は良いとして、映画館にカップルで行った方々の気まずさたるや、いかばかりであろうか・・・嗚呼、合掌。

既視感に話を戻すと、ベラを創った外科医ゴッドウィン(ウィレム・デフォーさんが怪演!)が、ベラを見守り、ときにワガママを諌めるシーンは、アン・バンクロフト主演「奇跡の人」を思い出しました。そして、そもそも死体をキリハリして蘇生させる、といえば「フランケンシュタイン」まんま、ですもんね。

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さらにマニアックの深みに入りますと、成人の体+幼児の脳の合体を実験的に観察する様は、隠れ名作「コントロール」(2004年)に通じるものを感じます。凶悪殺人鬼の死刑囚を、投薬で脳を制御し更生させる実験をテーマにしたサスペンスで、医者役はなんと「哀れなるものたち」と同じウィレム・デフォーさんだ!(←だから連想したとも言えるけどね)。

長々と書きましたけど、観た人がいろんな見方が出来る、いろんな感想を持てる映画って、素晴らしいと思いますよ。こんなヘンテコな(失礼)ブットビ映画を作り上げたプロデューサー、監督さん、脚本家さん、俳優さんたちには敬意を表します。ありがとうございました~~。

そうそう映画を観終わって、あ~、つまんないなあ~と思ったことが一つあります。

何かつうと、2024年のアカデミー主演女優賞はエマ・ストーンさんで決まりじゃん、というコト。来月(3月)11日の発表を待つまでもなく、ベラを演じた彼女の受賞は間違いないっしょや(←なぜか北海道弁)。全編出ずっぱりで、演技というよりも憑依というべき圧巻パフォーマンス。オールヌードのセックスシーンもなんのその、トム・クルーズさんなどとは違った意味で、思いっきり「体を張って」るわけです。これだけ頑張ったんだからアカデミー主演女優賞くらいあげていいじゃん、と外野の私は思ってしまう。

いっぽう、外科医ゴッドウィンを演じたウィレム・デフォーさんには、アカデミー助演男優賞を差し上げたいけど、ノミネートもされてないのねえ、残念。

そうなると、アカデミー賞は、主演女優賞=エマ・ストーンさん、助演男優賞=ライアン・ゴズリングさん(「バービー」)の「ラ・ラ・ランド」カップルで決まりかあ?ああ、つまんないな~と言いつつ、3月11日の授賞式がチョイ楽しみになっているワタクシなんであります。本日は以上!

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