定期健康診断でひっかかりました。そういや「死」について考えるべき年齢だよね、つうハナシ。 [雑感]

2023年7月。

先月、新浦安の病院で年1回の定期健康診断を受けました。61歳ともなると、結果がオールA!という健康優良児(←死語か?)的な着地はありえず、血圧高め、中性脂肪多め、γGPTが高め、など複数のケチがつくのであります。はははは。

過去40年間の不規則生活、飲酒の日々を考えれば、「あんた、来週死ぬよ」と言われないだけマシとも言えますがね。「人間の後半生は、前半生の習慣によって決まる」というセリフがドストエフスキーの小説にありましたけど、まさにそれだ、と申し上げたい。病院近くの公園から海を眺め、文学青年になった気分。ププ。

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で、今回の診断結果で、あれ?と思ったこと。これまで数値が悪かった肝臓や腎臓は、大幅に状態が改善していました。経済的理由により飲酒量が減ったためかな?とシロウト推測。

一方で、いままで一度もひっかかったことがない「胸部X線」検査でダメ出しが出ました。両肺に影(白いモヤみたいなやつ)が出ているとのこと。写真をみても、私にはよう分からんかったけど、プロが言うからそうなんでしょうな、とスバヤク納得。

詳しく調べたほうが良いとセンセイがおっしゃるので、1週間後、胸部CT検査をやって、さらに1週間後に所見を聞くべく病院を再訪しました。

さて、世間のヒトは「縁起でもない」というかもしれませんが、映画でよくあるでしょう。診察室で、主人公がドクターから「残念ながら、アナタの余命は数か月です」って言われるシーン。「ラスト・コンサート」(古っ!)や最近リメイクされた黒澤明監督の「生きる」とか。ほかにも「オール・マイ・ライフ」「最高の人生の見つけ方」「グッバイ・リチャード」等等。変化球オチとしては、カレン・ギランさん主演「デュアル」のように不治の病が無治療で完治したり(おいおい!)、ケビン・コスナーさん主演「ラストミッション」に至っては、謎の治療で余命数カ月が健康体(?)に!・・・おいおいおい!

・・・おっと、映画ネタはキリがないのでやめましょう。肝心なのは自分の肺です。CT検査に関する、美人のお医者さんの所見は「咳が続く、呼吸が苦しい、といった具体的症状がなければ、様子見ですね。来年またCT検査を受けて下さいね」というソフトなもので、余命宣告はありませんでした。

そのお言葉に対し、ケビン・コスナーが「ラストミッション」で受けた治療をお願いします、とボケてもしょうがないし(ボケが通じないだろうし)、治療話を持ち掛けたアンバー・ハードは、ジョニー・ディップとの訴訟で大敗したし・・・って、なんのこっちゃ。

ま、結局のところ、オオごとにはならず健康診断の件は収束であります。

こーゆーデキゴトがあると、健康というか、「死」について考えちゃいますね。人生100年時代などとどこかのアホがほざこうと、年齢と無関係に、人間はいつ死んでもおかしくありません。死ぬ理由は、病気に限らず、不測の事故だってあるわけです。クルマに轢かれる、散歩中に側溝にはまる、酔って階段から落ちる、風で飛んできた建設資材に直撃される、etc。

皮肉な箴言家、ロシュフコーさんは「太陽と死は直視できない」とおっしゃってますが、いやいや、この歳になったら「死」を直視しないほうがどうかしている、と思います。人それぞれでしょうけど、私は、死にたいとも思わないけど、永遠に生きたくもありません。そりゃあ明日死ぬのはイヤだけどね。一番避けたのは、生きてるうちに痛い目にあうことで、治療と称し、注射や薬でひーひー言わされるのだけは勘弁いただきたい。

そもそも、死が怖い理由のひとつは、死後の「無の状態」が想像できないからでしょう。でもね、乱暴にくくると(当人にとっては)「眠りが続くだけ」じゃないかな。だから、死そのものが怖い、というよりは、これまでの人生とお別れするのがチョイと寂しい、という気持ち。まあ、人それぞれ、人生に抱えているものが違うわけですから、考えも多様でヨロシイでしょう。ははは。

ところで、博覧強記のアルゼンチンの作家、ホルヘ・ルイス・ボルヘスさん(1899~1986)の詩集「闇を讃えて」に、ツボにはまった詩がありました。前半を抜粋して今日は終りましょう。詩に描かれている人物は兵士で、明日死ぬかもしれない極限状況、ノホホンと平時を生きる私と重ねるのもナンですがご容赦を・・・。

  

ホルヘ・ルイス・ボルヘス、斎藤幸男訳

「マヌエル・フロレスのミロンガ」(1966年)より

 

マヌエル・フロレスは死ぬはずさ。

当たり前のことだもの----

死ぬのは誰もが拒めぬ

習慣なのだから。

  

明日は銃弾に見舞われて、

銃弾は忘却を残してゆく。

物知りマーリンが言っていた---

死ぬのは生まれたからだとね。

 

それでも、おれには悲しい、

人生におさらばするのは。

こんなに馴染んだ

恋しくて、ほっとする人生だもの。

 

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