メトロポリタン美術館展(at 国立新美術館)は、ジェローム作品に一点集中!でありました。 [絵画]

2022年6月。

先週終了した「メトロポリタン美術館展」(at 国立新美術館)について遅ればせながら書きます。一人の画家の展覧会(個展)ではなく、複数画家の、それも15世紀から20世紀までという長期にわたる作品展示となると、観る方が的を絞れない、そんな恨みがありますね。

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今回、ニューヨークから日本へやってきた絵画は約60点。ここで見逃したら、今後出会えないと思われる逸品がドドーンと展示されておりました。クラナハ、ホルバイン、カラヴァッジョ、エル・グレコ、レンブラント、ラ・トゥール、ライスダール、クールベ、フェルメール、ゴヤ・・・と華々しい名前が並ぶさまは、まさに圧巻でした。(あえて印象派以降の画家名は書きません。)

しかし。

ワタクシが美術館に足を囲んだ理由、それは、たった1枚の絵を観るためでした。ズバリ、

フランスの画家、ジェローム「ピグマリオンとガラテア」(1890年頃)であります。ドーン!

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この絵に対するワタクシの偏愛については、2017年12月に当ブログで熱く語りました(当時の記事は→ここ)。ベタな言い方ですが、ワタクシこの作品が大好きなのです。

神話を題材にした、19世紀の写実的な絵画なんて時代遅れでバカバカしい・・・つう単純な阿呆が、日本にはわんさかおって、彼らが好きな画家は、ダ・ビンチ、フェルメール、ゴッホ、モネ、ルノワール、ピカソ、シャガール・・・と判で押したような定番ビックネーム。何を好こうと個人の勝手ではあるが、ワタクシに言わせれば、その発想こそ迎合・紋切りだと思う(作品を好きな方、失礼、と一応、謝罪)。

ここに掲げたジェローム作品の圧倒的・超人的な筆力を観てみろや!と急に声が大きくなりました、すいません。

描かれた元ネタ神話の説明が必要ですね。ピグマリオン(絵の右にいる彫刻家、もとはキプロス王)は自分で彫り上げた象牙の女性像に恋をしてしまいます(絵の中央にいる像です)。美の女神ヴィーナスの計らいにより、ピグマリオンが彫像にキスをすると、なんと生命をもった人間の女性へ変身した・・・というハナシ。

ジェロームは彫像が生身の女性に変わる、まさにその瞬間を描いたわけです。上半身は人間、下半身はまだ象牙、つまり、中森明菜さんの歌う「1/2(にぶんのいち)の神話」つう事です(ちょっと違うか)。もう一度、絵をご覧ください。リアルな人肌、象牙の質感、背中からお尻にかけてのグラデーションがスゴイのです。さらに弓なりに身をそらせたピグマリオンと、右斜めに体を傾ける女性の抱擁構図が、なんとも情熱的でドラマチックではありませんか!うーむ、あっぱれ!

私は展示会場にはいるや、ダッシュでこの絵へ向かいました。他入場者が来るまで、10分以上、たっぷりと本作を愛でたのです。いやあ、もう感動ですよ、感動!画集では味わえないホンモノのマチエール。画布に吸い込まれそうな吸引力。恐れ入りました。

好きなものは好きなんじゃ、つう当たり前のことを再認識できて、この場で堂々と言えるたあ、私はなんたる幸せ者であろう。

というわけで、メトロポリタン美術館展の件、ジェローム「ピグマリオンとガラテア」で話は終わってしまうんだけど、実は、こりゃあ良い!と感激した作品はほかに2点ありました。

ベラスケスの「男性の肖像」(1635年頃)。絵から放出されるパワーに絶句。

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そして、シスレーの「ヴィルヌーヴ=ラ=ガレンヌの橋」(1872年)。なんたる爽快さ、であろう。絶妙な筆致と配色のバランス・・・辛抱たまりませんなあ。

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絵画愛を語るとキリがないので、そろそろ終わりましょう。お、そういえば、ワタクシ、今回、国立新美術館へ行くとき、はじめて千代田線の乃木坂駅を使いました。なぜか、これまでは日比谷線の六本木駅を使って、そのたびに「失敗したぜ、次回こそ美術館に直結の乃木坂駅から行く!」と反省+決意していた由。

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どうでも良い最寄り地下鉄駅ネタになったところで、今回はお終いっ!!チャオー。

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