スクリャービン「ピアノソナタ全集」。アムランさんの演奏も良いけど、CDジャケットの絵が最高! [絵画]

2019年2月。

なんとな~く今月はクラシック音楽の気分(←妙な表現ですな)。2月11日に、クルレンティスさん指揮ムジカエテルナの来日コンサートを聴いた影響でしょうか・・・。などと、軽い前置きをしつつ、今日のお題です。またぞろロシアの作曲家、スクリャービン(1872~1915)であります。

1月22日に交響曲について取り上げました(記事は→ここ)。本日は大看板の「ピアノソナタ」です。某日、CD棚から引っ張り出したのは、1995年録音のこの2枚組CD。

カナダ人ピアニスト、マルク=アンドレ・アムランさんが弾く、スクリャービン「ピアノソナタ全集」です。

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アムランさんといえば思い浮かぶタームは「超絶技巧」。どんな難曲でも軽々と弾きこなす(ゆえに難しさがリスナーには分からない)という屈指のヴィルトゥオーゾであります。

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そういえば、いま旬の超絶技巧ピアニスト「ピアノ・モンスター」と称される中国出身ユジャ・ワンさんも、リサイタルでスクリャービンのソナタを取り上げてましたっけ。

アムランさんの弾く全集は、番号付きピアノソナタ10曲のほか、幻想曲、幻想ソナタを含む全12曲が収録されています。曲は、律儀に番号順に並んでるので、スクリャービンさんの作風変化を感じ取ることができます。演奏はさすがアムランさんで、技巧完璧は当然として、変に「幻想味」に溺れないスカッ!としたテイストがたまりません。陰影、メリハリがあるので曲自体が茫洋としていても(失礼)、良い意味ですーっと聴きとおせます。久しぶりに聴いたディスクですけど、ああ、オレって、昔、いい買い物してたんだあ、と自分を誉めちゃう。はは、自画自賛。

ところで、ソナタ7番には「白ミサ」、ソナタ9番には「黒ミサ」という、エコエコアザラク的な副題がついてます。このCD、海外盤で裏の曲目表記がフランス語なんです。購入当時、ワタクシ「Messe Blanche」を「黒ミサ」だと思いっきり勘違いしてました。Blanche、は、英語のBlackではなく、白(White)のほうでした。空白のことをブランクというから分かりそうなもんですが、はは、情けないわ。Messe Blanche=白ミサ、で、ちなみに、黒ミサは「Messe Noire」。暗黒街の二人。黒猫ノワール。あ、ハナシが逸れた。

さてさてアムランさんの演奏を堪能したところで、違う方向へと話を進めます。今度は「絵画」について。

CDジャケットの絵を観て、ああ!あれか!と気づいた方、アナタはワタクシの友です(迷惑か)。

1900年前後に活動したイタリア人画家、ガエターノ・プレヴィアーティーの名作「Day awakens the Night」(夜を目覚めさせる光)であります。

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正直、ワタクシが20年前、このCDを買った理由は、内容以前にこの「絵」なのでした。この絵をジャケにしてるなら、演奏もスゴイに違いない!という確信ゆえの、いわゆるジャケ買いCD。

日本人はなにかにつけ、モネだ、ルノワールだ、セザンヌだ、ゴッホだ、と印象派中心にさえずるが、ワタクシ、まったく興味無し。「光」を画布に描こうと苦戦したのは、なにも印象派画家の専売ではない。

スーラやシニャックの作品の凍りついたような点描画法とは異なり、プレヴィアーティーさんの「線描」画法(美術史的には「分割主義」)には生命が宿っております。この流麗な表現、素晴らしいじゃないか!

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あと、日本人は主題がファンタジック系(神話、宗教)になると、とたんに、フン、と鼻でせせら笑い、それらを一段低く見る傾向があるが、本当に、自分の目で観て、自分の頭で考え、「オレはこれが好きだ!」と言っているのか?とツッコミたくなる場面が多々あります。(まあ、ルネサンスと印象派くらいしか絵を知らない、という「無知」ゆえかもしれないが・・・)。

私が思うに印象派画家は「はかない、今、という一瞬をとらえる」ことを主眼におき、象徴主義(とそれに類する)画家は「一枚の絵に、思想、永遠、を閉じ込めようとした」と考えている由。私は、後者の思想を愛する者ですので、プレヴィアーティーさんの作品にはゾッコンなのであります。

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うーん、今日は絵画マニアックなハナシになってしまった。

まあ、いいかあ。毎日、自宅トイレで「ジョン・マーティン画集」「モンス・デジデリオ画集」「クービン版画集」「ウイリアム・ブレイク画集」を眺め、幸せ気分に浸るワタクシ。天邪鬼を気取るわけじゃないけど、60年近くも生きていれば、自分の好きなもの、好きなことのベクトルは、世間評価とは関係なく、しっかりと固まっているのであります。これが立派なオトナ(老人?)ってもんですぜ。おっと自慢が入った。

ハナシの蒸し返しですが、プレヴィアーティーさんの冒頭の絵、よくよく見ると、目覚めつつある「夜」(裸身の女性)の羽のてっぺんに、山菜の「わらび」みたいなもんが出っ張っております。

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ん?これは?もしかして、わらびではなく、

ゼンマイ、でしょうか・・・って、あくまで山菜かよ。ここでボケてどうする。本日は以上。

パカー!(←ロシア語の「じゃあね」が出ました)

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