イラッとする言い回し。無思想・迎合の日本語、ここに極まる・・・なんてね。 [雑感]

2023年8月。

会社を辞めてプータロー化し、家でテレビを観る時間が増えたせいでしょう、イラッとする言い回しに遭遇する機会も急増しました。直接被害を受けたわけじゃないので、どーでも良いといえばどーでも良いけど、ヘンクツジジイのワタクシ、ときおり、なんじゃ!そのふざけた日本語!とテレビに向かって文句を垂れてしまう。合掌。

そんなわけで本日は「私が嫌いな言い回し」のいくつかをピックアップしてみましょう。

ワカモノの癖(へき)か知らんけどけど、長い単語を短くするパターンはまだ分かる。たとえば、TVのヴァラエティ番組でタレント連中は「難しい」と言わず「ムズイ」という。以前からある「気持ち悪い」→「キモイ」など類似事例の枚挙にいとまなし。個人的には、その程度の長さの単語なら縮める必要もなかろうに・・・とは思うけどね。

問題なのはこの逆パターン。ふつうに言えばいいところを、余計な言葉をはさんで長くする、つまり、まどろっこしくするヤツですな。

典型は「〇〇のほう」という表現。東のほう、とか「方角」のことではなく、「チケットのほうを購入ください」「スパイスのほうをかけて」とかいうヤツ。それは要らんでしょう、イライラするう~。「チケットを購入ください」「スパイスをかけて」で意味は伝わるしシンプルで全然いいじゃん。それに「〇〇のほう」を連発すると、頭が悪そうに見えるので、会社の採用面接を控えた方々、くれぐれもご注意ください。では、次のネタのほうへ行ってみましょう。


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以前も書いた件です。「〇〇する」とフツウに言えばいいところを「〇〇してあげると気味の悪~い丁寧語をからめる輩。グラスにビールを注いであげる。魚に下味をつけてあげる・・・と、給料は上がってなくても、この分野はどこまでもあがりっぱなしですか。トホホホ。

次です。感情を強調するため、極端な言葉(単語)を持ち出すパターン、昔からありました。たとえば「死ぬほど〇〇」という言いかたは古く、50年前にはもうありました。死ぬほど頑張る、とか、死ぬほど緊張する、とかね。お前、そんなんでよく生きてられるナ~と呆れるけど、ま、その程度はまだマシでしょう。

昨今、不快になった表現は「爪痕を残す」です。台風や洪水などの災害により、甚大な被害が出たとき使う表現です。ところが最近のド阿呆(なタレント)は「私の歌で、芸能界に爪痕を残したい」など、とんでもない言いぐさをする。ココロに深く刻みこみたい、歴史に名を残したい、という気持ちが勢い余って「爪痕を残す」にまで暴走したのでしょうが、そりゃ、違和感を通り越し、不愉快の極みでしょう。

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たとえばです。プロポーズされた女性が、相手の男性に「私の事、どれくらい好き?」と聞いたとする(そんなヤツがいるか知らんけどハナシの都合了解ください)。そのとき、男性がこう返答したらどう思いますかね?

「うーん、そうだなあ、いますぐ押し倒してセックスしたいくらい好きだよ」。いや、いいんじゃないですか。なんて正直な男性、こんなオネスティを私は待っていたのよ~~と明るい決着になるわけもなく、死ねやお前、でこの恋愛は終わりでしょう。つまりね、言った本人に悪気はなくても、相手(or 周囲)を不快にするえげつない表現はダメってこと。ものごとは、万事ホドホドが大切、ってことです。

嫌いな言い回し、最後は「〇〇にこだわる」であります。使ってる人たちに(おそらく)深い考えはなく、スポーツ選手や料理人が使っているのを聞いて、無思想になぞってるだけでしょう。ここで問題なのは、ツッコミどころがパックリ口を開けてしまうことですね。

先般。あるプロスポーツの試合後ヒーローインタヴュー。次の試合への意気込みを問われた選手が、こう答えたのであります。

「次の試合は、勝ちにこだわります」・・・いやさあ~、じゃあアナタは今までの試合、いったい何にこだわっていたの?今日までは「負けてもいいや」と思って戦ってたの?次からやっと「勝つぞ!」と思うわけ?プロ選手なんだから、どの試合でも「勝ちにこだわる」ものじゃないの?そりゃあ、監督であれば、長いシーズンを戦う都合、捨て試合もやむなしかもしらんが、選手の分際で何言っとるのよ、とツッコミたくなりますな。

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そうじゃないんでしょ。勝ちにこだわる、とかヘンテコな言葉を使うからおかしくなるわけで、もっと素直にチャンと話せばよいの。たとえば「いまが上位進出への正念場だと思っています。自分の持ってる力100%を発揮できるよう、集中して一戦一戦を戦っていきます」・・・押し付けちゃいかんけど、こんなんでいいじゃん。少なくとも「勝ちにこだわる」よりはよっぽどマシだと思いますが。

などと、長々と駄言を述べたところで、まとめますと、よーするに「自分の言葉」を持っていない人たちは、簡単に他人の言いぐさに引っ張られるってこと。もちろん、言語は生き物であり変化するわけで、多くの人が用いれば共通認識として言葉に定着していきます。なので、これが良い、これが悪い、と一概に言えるものではない。

ただし、それを承知のうえで、気持ちの悪い言いかた、違和感のある言いかたには、年寄り連中がツッコミを入れていかないとイカン、つうことだね、と自分を正当化したところで今日はお終いっ。したっけ!(←北海道弁の「じゃあね」が出ました~)

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nimke

「嫌いな言い回し、最後は「〇〇にこだわる」であります。」

ご存知のように「こだわる」って、もともとは「瑣末なことを気にして、大局を見失う」とゆう超マイナスイメージを表現していて、「コダワリを捨てて自在な心持になりなさい」との言い方が本意であったところ、いつからか、「こだわる」との語感が強調した表現に捉え易いと思われたのか、特別に意義深い事柄、強いプラスイメージで用いられる通例となってしまったので、今ではことごとく安易に使われています。
先般、貴兄が取り上げた「ご褒美」表現もそうですが、誰かが強調のために安易に使い始めた「ヘンテコことば」は、コロナのように感染力が強いので、特にテレビなど大衆ウケ狙いな場では頻繁に使用され、その過激振りが自己増殖する傾向にありますね。たんなる無意味な「うけねらい」による暴走は、商業主義媒体の宿命なんでしょう。
私はバカバカしいのでこの数十年間、テレビは自宅に設置してませんが、ウエブやユーチューブでも同様な商業主義媒体であり、弊害は同様に蔓延っていて、なるべく利用し無いように、「片目、片耳をつぶる」かのように見てます。





by nimke (2023-08-21 07:44) 

 Acalanātha(アチャラナータ)

まさにその通り。
私も30代半ばあたりから年々、日本語の乱れが気になるようていました。それは自分が間違いなく年を取って来た、ということなのでしょう。
しかし世の中には年を取っても気にならない人もいるようなので、ただ単に老人化したと言うわけでもないのかな?

私が最もイラっとする言葉は「~させていただきます」です。
〇カの一つ覚えのように、あちこちでこの言葉のオンパレードです。若い人だけならともかく、言葉のプロであるはずのアナウンサーや政治家の”立派なおじさん”たちまでがよく使っています。(”立派なおじさん”とは、人物が立派と言う意味ではなく、おじさんとして立派に成長した=立派に成長しておじさんを名乗るにふさわしい、と言う意味です。日本国の総理大臣でさえ「~させていただきます」というのですから、日本崩壊も間近と感じずにはいられません。日本語もまともに使えないおじさんが総理大臣になる国なんですから。

そもそも「させていただく」とは、上の人から許可を得た場合に使う言葉。
或いは、強く言い切る場合、許可を得るまでもなく「こちとら勝手にやらせていただきます!」とイヤミで断言する場合。
それが猫も杓子もこれさえ使っていれば、敬語は百人力!とでもいわんばかりに乱用されています。

ある日突然「~させていただきます」大国になったように感じるのですが、一体どこで何が起こったのでしょうか?

関西弁の敬語表現に「~させてもろた」とか「~させていただけますやろか?」というのがあります。しかしそれはあくまでも関西弁という方言です。(江戸時代、商人が武士に対して使っていた言葉で、やはり武士との交渉の中で許可を得るために使っていた言葉とされます)
九州でも「~しんしゃった」「~されんしゃった」という敬語があります。後者の方がより上の人に使う敬語です。九州の場合、受動態を使う方がより丁寧な表現とされるようです。
この方言を標準語に当てはめ、まるで穴埋め問題のように何に対しても使い始めたからおかしなことになっているのですね。

随分前にある芸人が大御所の人の自宅に招かれ食事をご馳走になったことを話していましたが、その時に言ったのが「〇〇さんの自宅にお邪魔させていただいて、食事を食べさせていただきました!」でした。
「アンタ、その大御所に『はい、お口あ~んして!』と食べさせてもらったんかい!」と心の中でツッコみましたが、中森明菜でなくとも本当に ♪~イライラするわ~♪ です。

そんなこと思っていると、やはり同じ心境の方々も少なくないようでこのような本が出ていました。
『「させていただく」の使い方』(耳ざわり。なのに多様されるのはなぜ?)
この憂さの原因を知りたくて購入。さすが言葉の専門家。よく分析していますが、読み進めているうちに「いや、そこまで深く考えて使っている人はいないと思う」「単に、当てはめ問題よろしく、文章の最後を”させていただく”に置き換えているだけだと思う」という個人的な結論に至るのであります。なぜなら、そういう言葉を使う人に何か質問すると「考えてもいなかった」という回答が多いからです。

さて、上記にあります「ほーほー」と言う言葉ですが、これは25年くらい前に登場し一世風靡した言葉の1つですね。これを使う人を「ホーホー族」というそうです。今はほとんど見かけなくなりましたが、未だいましたか!?
発祥は北海道だそうです。
さらに「よろしかったでしょうか?」と言う言葉も同時期多発しましたね。これは未だに遭遇しますね。
すると「それはいいんですが、貴方の言葉がよろしくないですね!」と言いたくなります。
だいたい「よろしかった」という日本語は存在しませんしね。これも北海道発祥だそうです。

「〇〇こだわる」など、こだわると言う言葉がこれもやはり一斉に使われていた時期がありましたね。
しかしそもそもこだわるという言葉はいい意味では使わないもの。
「いつまでもそんなことにこだわるなよ」など、こだわることはネガティブな意味合いを持った言葉でほとんど良い意味では使わなかったのに、本来の意味を分かった人が敢えて強調の意味合いで逆説的に使ったら、何の考えもない人たちが、それが正しい意味だと勘違いして使いだした言葉の1つですね。
「料理人のこだわり」など、記者やコピーライターが使った言葉が発祥。
あと、これと同じように「強調・逆説」を意味して使われた「全然」と言う言葉。
「全然、美味しくない!」が普通ですが、「全然、美味しい!」という表現。
これは「全然…」の後に少し間を置いて、聞いている側が「え?美味しくないの?」と言葉を先読みしたところに、「美味しい!」と言うことで不安から一気に持ち上げるというフェイント方法。
それが今では「全然おいしい」「全然いい」と間違った使われ方をしています。
こういう言葉を使っている人たちが、とても深く考えて使っているとは思えません。やはり当てはめ問題のように、単に形容詞に全然をつけて最上級化しているだけでしょう。
本当にイラっとします。

ザっと本棚に目をやると、おかしな日本語に関する本がこれだけありました。(もっと隠れているかもですが)
『不適切な日本語』『日本語教室』『日本語の乱れ』『「サバを読む」の「サバ」の正体』…
どれも面白いのですが、『日本語教室』は井上やすしさんが書いた本で、東大生に抗議した内容が本にされたもので面白いです。

日本人がモノづくりや匠技など世界のトップレベルな理由、それはなんと言語にあったのだそうです。
しかし今の日本はモノづくりも何もかもが急下降。これも語彙力のなさに関係しているとしたら、本当に日本の行く末に関係することだと思います。

政治家は、何より経済重視で突っ走ろうと思うならば、もっと深く考えねばならないのです。目先の金を追うだけでなく、日本国民の根本を考えねばならない。
例えば語彙力の低下、言語の問題を解決せねば日本を支えるあらゆる方面での国力は衰退する一方なのだから。
結局、全ては繋がっている…

追記:
あ!
それから「~あげる」で思い出しましたが、植物に水を上げる、と言う人が多いですね。あれは、植物に水をやる、ですね。

「ビールをついであげる」は、何とも恩着せがましく聞こえますね。「ビールついで上げたんだから、〇〇買ってぇ~」なんてことにならないように気を付けた方がよさそうです。(笑)

「魚に下味をつけてあげる」は、誰に言ってるんでしょうか?
魚さんにってことでしょうか?
魚さんに語り掛けながら料理しているんでしょうか?
怖いですねぇ~。サイコスリラーですね…

by Acalanātha(アチャラナータ) (2023-08-22 12:11) 

門前トラビス

To アチャラナータ様、コメントありがとうございます。
生まれてきては泡のように消える「今どきの言いかた」は、それを使うことで先を行ってる、と勘違いするタレントやらネットの人達やらで大賑わいですね。
そんなとこに食いついてもしょうがねえだろ、と思うもののそれが「大衆」というもの・・・って、社会学者かよオレ。
世間では使わないけど、私だけが使ってる言葉として、バッゲス(Bad Guess)があります。「悪い推察」=激しく的外れな予測・推察のこと、あるいは、そうゆう傾向のあるヤツ、をこう呼んでおります。
あとは「鬼首(おにくび)野郎」。文字通りですが、「他人の落ち度を、鬼の首でもとったかのように責め立て、自己アピールするバカ」のことであります。
こうしてネーミングすると、他人を眺めるのが楽しくなりますね。世間で流行りはしないでしょうけど。あ、いまどきは「バズる」つうんでしたっけ。ま、いいか。
by 門前トラビス (2023-09-02 05:03) 

門前トラビス

To nimke様、コメントありがとうございます。
以前も記事で書いたかもしれませんが、TVで、タレントや芸人(←この区別もよう分からんけど)が食レポしたときの第一声、まず間違いなく、「めちゃくちゃ美味い!」「メチャウマ!」なんですよね。
「めちゃくちゃ」という形容詞、そこまで乱発するかあと呆れちゃいます。この単語も元々は否定的な意味あいが強く、たとえば「人生をめちゃくちゃにされた」みたいに使う気がします。
「こわだる」「爪痕」と同様、否定語→肯定語への転用が「感度の高いひと」に「刺さる」んでしょうか。
ただせっかくなら、刺さるのは包丁かナイフが良いでしょう。思い切って左胸にズブリ。めちゃくちゃ痛っ!まじこれ?チョベリバじゃん。って、この言いかた、ナウくない?ゲッツ!ガチョーン!・・・って、完全にアホですわな、これじゃあ。
by 門前トラビス (2023-09-02 05:16) 

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