清原啓子 没後35年 銅版画展(at 佐倉市美術館)を拝見しました。 [絵画]
2022年11月。
千葉県で開催中の「没後35年 清原啓子 銅版画展」(会期:11月1日~12月18日)を拝見いたしました。ひじょうに楽しみにしていた展覧会であります。
清原啓子さんは銅版画家、いわゆるエッチング技法の作家さんです。1987年に31歳という若さで心不全により急逝されました。生前より異才として注目され、没後35年の今は、天才と称されるほどに評価は上がり続けております。
ふ~ん、そうゆう版画家が日本にいたんだあ、つう薄い反応の方には、一度で良いから彼女の作品を(できれば実物を)観て欲しいものです。
超絶技巧でみっちり彫り込まれた幻想的な異形モチーフの数々。ヒエロニムス・ボッスの異世界を、デューラーの質感で、そこに現代のデザイン性を加えたかのよう・・・と、こんな表現では何も説明できていませんがね。作品を観ていると、版画のなかに吸い込まれそうな眩暈(めまい)を覚えます。
おっと話を先走ってはいけません。某日昼前、市川市の自宅からクルマで一般道を走ること約2時間。会場の佐倉市立美術館に到着しました。レンガと石づくりの外観がノスタルジックな味わいを醸しております。
入り口をはいると吹き抜けのロビーがあって、うほお、カッコいい!と思う次第。
美術館の建物のハナシは以上で、いよいよ清原啓子さんの銅版画であります。
平日お昼、会場にはお客さんは3名しかおりません。じっくり観たい放題の最高のシチュエーションじゃ。受付で貸していただいたルーペを片手に、作品をひとつひとつ愛でていきます。31年の生涯に清原さんが残した版画はわずか30点ほどだそう。どれもがヘヴィー級の圧でこちらに迫って来るわけで、すげえ、すげえ、とアホのように唸ってしまうワタクシ。
恐るべき想像力、創造力、が画面からあふれ出しております。
1枚の版画をつくるために、膨大な労力と時間を費やしたことは想像に難くない。私のようなシロウトは、そのことだけで関心しちゃいます。
脳内宇宙を可視化する技量と精神力・集中力にひれ伏すしかありません。清原啓子さんの描く無限宇宙、迷宮からの永遠の問いかけに、しびれっぱなしの展覧会であります。これを感動と呼ばずになんと呼ぶのじゃあ!
完成版画24点、素描16点、20枚の銅原板などを観きって、満足感と同時にへとへとになりました。午後1時、展覧会の図録集を1500円で購入し、心地よい疲労とともに美術館から撤収いたしました。
帰路の途中、印旛沼脇の公園(印西市)で休憩します。公園のシンボル、親子の象さん(の実寸模型)とともに自撮り。ところで、なぜここに象がいるんだろ?ま、いいか。本日は以上!
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