熱狂怒涛のコンサート。テオドール・クルレンツィス&ムジカエテルナの東京公演。コパチンスカヤさんも大活躍! [クラシック音楽]

2019年2月11日(祝日)。

本日はクラシック音楽ネタです。さきほど(4時間前に)拝見したコンサートについて、であります。

テオドール・クルレンツィスさん指揮ムジカエテルナの初の来日公演2日目、オール・チャイコフスキー・プログラムです。いやあ、予想はしていたけど、すごかったです、ホント(←なんちゅう語彙の貧困だ)。

良し悪し以前に、あまりのエキセントリックな演奏にクラシック音楽というより、これはロックだ!と確信しましたね。熱い「ロック魂」のたぎりを感じ深~く感激したワタクシであります。

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などと、訳のわからん形容をしてもしょうがないですね。

本日(2月11日)の、すみだトリフォニーホール(錦糸町)でのステージ。前半はソリストに美人ヴァイオリニスト、パトリティア・コパチンスカヤさんを迎えてチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」。20分の休憩後、後半は同じくチャイコフスキーの「交響曲第4番」であります。

ちなみにアンコールは、コパチンスカヤさんが3曲(ミヨー、リゲティ+1曲)、オケが1曲(ただし20分の長尺)だったのでコンサート全体が約3時間というロシア系オケといえども大盤振る舞い・大サービスでございます。

ちなみに、コパチンスカヤさんは陽気でひょうきんなキャラ全開で「もっと音楽聴きたいか~」てなノリで客をあおるところなんざベテラン・ロックバンドのフロントマン並みであります。あんたはフレディ・マーキュリーかっ!?ジューダス・プリーストも見習ってほしいぞ(って、なんのハナシじゃ)。

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ちなみに(って、どうも「ちなみ」が多いな、今日は)、オーケストラの締めのアンコール曲は、明後日(2月13日)のコンサートのメインプログラムのうち、まるまる1曲、幻想序曲「ロミオとジュリエット」であり、クルレンツィスさん、サービス精神旺盛過ぎだわ・・・。

さて、クラシック音楽のオーケストラといえば、ベルリン・フィルでしょ、ウィーンフィルでしょ、と思っている保守的・老人的・化石的なリスナーさんは、クルレンツィスって誰?ムジカエテルナって何?みたいに「???」になるかと思います。かくいうワタシも似たようなもんで、つい数年前まで存在すら知りませんでした。2004年にシベリアで設立された、まだ若いオケですから知らんのも無理はなかった。

ワタクシが「えっ?」と彼らに食いついたのはこのCDから、であります。

クルレンツィスさん&ムジカエテルナが、コパチンスカヤさんと組んで録音したチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。まさに本日のステージプログラムと同じ曲、同じメンツであります。

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この演奏があまりにブッとんでて仰天したのが事の始まり。当時(2016年)の困惑と感激を、ワタクシ、ブログにアップしておりました。本日の実演に対する感想は、CDと基本、同じでしたので興味のある方は2016年5月7日の記事を参照ください(↓)。


過去記事の転用で、感想を書く手間をネグったワタクシ、さあてあとは何を書こうかなあ、と考えたところ。

CDでは絶対に分からない、現場でしか体感できなかったことを書きます。

それはヴァイオリニストのコパンチンスカヤさんを含め、指揮者、オーケストラメンバーの一体感つうか、家族感がバリバリだったこと。演奏が終わったあと、ふつう協奏曲のソリスト(今回であればコパチンスカヤさん)は拍手に応え行儀よくお辞儀、袖に戻って、またステージ中央に戻ってお辞儀をし・・・という所作を繰り返すだけです。しかしコパさんは、オケメンバーの中に分け入るとフルートの女性にハグ。次にクラリネット・パートのにいさんの手を引いて正面へ引っ張り出し、そこでアンコール曲のクラリネットとのデュオ。・・・とまあ、オケメンバーとの仲良し感にあふれており、その間、ステージ上の、やんや、やんや、な盛り上がりが自然でほのぼのしているのであります。

いっぽう、交響曲第4番の演奏後。指揮者が活躍したパートメンバーに対し観客の注目と拍手を促すのはごくフツーですが、クルレンティスさんはそれだけではありません。自ら各パートメンバーのもとへ出向いて握手し、さらにメンバーと肩を組んでお辞儀までしちゃいます。記念撮影会かっ!演奏が成功した嬉しさを、仲間たちと分かち合いたい、多少の時間ロスが何だあ!つう愛と決意が感じられます。ややもすると、指揮者とオケの間には支配~被支配の空気が漂ってるもんですが、ムジカエテルナにそんな雰囲気、全くございませんね。全員がファミリーです、これは。

まさしくロックバンドのノリではないか!

クルレンツィスさん、あんたはデフ・レパードのジョー・エリオットかっ!

いや、風貌からすると、

X・ジャパンの、Yoshikiかっ!

と、ジャンル違いなツッコミで失礼しました。

ハナシが長くなったので、そろそろまとめます。あれだけの一体感と強い信頼があればこそ、彼らの特質である完璧シンクロしたアーティキュレーションとフレージング、自然な息遣いが具現できたと言えましょう。どんな演奏も人によって好き嫌いはありますから、ムジカエテルナのパフォーマンスが普遍的な「良」「正」とは思いません。

しかし、目標(=やりたい音楽演奏)を明確にヴィジョンにし、過去のクラシック演奏(の慣習)をなぞるのではなく、誰にもできない自分たちの音楽を作ろうという気概、その実現へ向けてつぎ込んだであろう膨大なエネルギー(ディスカッションと練習)に敬服せざるをえません。

こうした、エネルギッシュかつアグレッシブかつ戦略的な人たちが出てきちゃうと、既存オーケストラのステージは「昔の名前で出ています」「昔の名曲に頼ってます」的に寂しく聴こえちゃうから怖い。くどいけど、何千回、何万回と繰り返し演奏されてきたクラシック音楽だからこそ、「新しい何か」を見出さねば意味がない!という決意を、本日、錦糸町で体感させていただきました。

クルレンツィスさん、ムジカエテルナの皆さん、コパチンスカヤさん、エクセントリックだけではない素晴らしい演奏を、ありがとうございましたあ!

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