映画「MEG ザ・モンスター」。映画ポスターに備えるべき条件を勘違いしているのはだれだ? [絵画]
2018年10月。
地元市川市のシネコンで、映画「MEG ザ・モンスター」を拝見しました。
MEG、ときくと、北海道出身者のワタクシは「メグミルクかあ?」とライトなボケをかましますが、もちろん映画のMEGは違います。メグと読むけど、本来はメガ。100万年前に存在し、すでに絶滅した巨大モンスター鮫「メガロドン」でしたね。体長はホオジロザメの数倍(20~30m)、獲物はクジラ、つう、まさに化け物です。
そう、映画「MEG ザ・モンスター」は絶滅したはずの巨大ザメが海水浴場に突如現れ大暴れする動物パニック映画だっ!まいったかあ!・・・と全身に力が入ったのは、ワタクシが想像するに、日本のプロモーション会社だったと思う。
なぜそう思うか。
ポスターですよ。映画のポスター。日本バージョンはこんなデザインです。
お分かりいただけますか。
完全に「サメ」が主役。でっかい口をあけたメガロドンが、ノーテンキに海水浴を楽しむ女性客を、海の底から狙っている・・・なんとなくスティーヴン・スピルバーグ監督の名作「JAWS(ジョーズ)」のポスターの焼き直しですね。
しかしワタクシを含め、映画を観た方はお分かりのはず。この作品の主役は巨大サメではなく、
ジェイソン・ステイサムさん
なのであります。いまやアクション映画界で、もっとも信頼できるブランド俳優=ステイサムさん。多くの薄毛男性に勇気を与えたステイサムさん。言うなれば、メガロドンはステイサムさんを引き立てる道具に過ぎない、のであります。共演者の美人中国人女優リー・ビンビンさんさえ、引き立て役であります。ちなみにビンビンさんは失踪・脱税騒ぎの女優と、苗字が同じなだけで別人ですね(血縁関係がないので、W浅野、みたいなもん?)。
何を言いたいかつうと、先に掲げた日本の映画ポスターは、完全にコンセプトを間違っている、てえこと。
大口開けたサメのアップじゃ、テレビ東京が平日午後に放映しているB級パニック映画(たとえば「キングコブラ」とか)と変わらんじゃん。つうか、このポスターを観た人が、B級映画と「誤認」することが問題です。ネット時代ゆえ、観客は、ポスターなんぞより、予告編やインタヴューを観て行くか行かないかを判断するだろう・・・とは言うモノの、ポスターにも、なんらかの宣伝効果はあり、ゆえに「精度」と「訴求力」がなければ意味ないと思う。
じゃあどうするのよ、と問われれば、海外ポスター(以下)が良いお手本になると言おう。まずはこれ。
正しい。少なくとも、映画のテイストと一致している。主役は「人間」であり、コワモテのステイサムさんと美人のビンビンさんが並ぶことで、ビンビン良い感じが伝わってきますねえ・・・とダジャレをかましてどうする。
あるいはこちら。サメがメインですが「人間との闘い」をちゃんと打ち出している。少なくとも日本版ポスターのノホホン海水浴客バージョンとは違ったダイナミックな迫力があります。
欧米バージョンも「メガロドンと人間との闘い」を主題にしたポスター作りになっていますね。
結局のところ、日本は、動物が暴れる映画とくれば、内容など関係なく動物を前面にPRする。そんな「B級パニック映画のプロモーション」手法を、無思想に踏襲してるのでしょうねえ。なんだか情けないねえ。
いまだったら「ハリーとトント」のポスターは、画面いっぱい猫の顔でしょうかね・・・って、あれはパニック映画じゃねえよ(分かりづらいノリツッコミで失礼)。
ワタシは、素直に「MEG ザ・モンスター」は面白いな、1800円を出して観る価値があるな、と思いました。そこで知り合いに勧めたところ、映画好きほど「ああ、ポスターがB級ぽいよねえ」と冷めた印象(=私と同様)を持っているわけです。
日本のプロモーション会社とてそれなりリサーチやディスカッションはしたのでしょう。しかし、何をポイントに商品を売るのか、という肝心の点が、今回ばかりはズレた、と私は思う。良質な作品が、ダサい(?)ポスターの巻き添えになって、メガロドンとともに海底に沈まぬよう祈るばかりです。ちゃんちゃん。
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