DIC川村記念美術館で、ピカソとキスリングに感動した日。 [施設、美術館、博物館]

2011年8月12日。ギラギラ太陽の照り付ける灼熱日であります。ふだん、我が家の脇でボール遊びをしている小学生たちも、さすがに35℃超の炎天下では無理のようですなあ・・・。

しかしボヤーと無為に過ごしていてはいかん!とワタクシは思い立ち、CDプレーヤーにかけていたエミルー・ハリスさんのカントリーソングを停止、千葉県佐倉市に向かって出立したのであります。

佐倉市にあるDIC川村記念美術館で「ゲージュツ作品を鑑賞しよう」つうモクロミです。

モクロミは良かったのですが、意外に遠い・・・私も千葉県在住ですが(市川市)京成線で40分かかって京成佐倉駅に到着。そこから無料送迎バスでさらに約30分の移動です。車窓から見えるのは、見渡す限りの田んぼ&田んぼ&田んぼであります。そして川村記念美術館は田園地帯のなかの広大な森(DIC株式会社の所有地)に、お城のように立っているのであります。うわ、すげえーー。

川村美術館2.jpg

すばらしい風景ですねえ。美術館の作品を見ずとも、この景色だけで行く価値がある!ちなみに人がほとんどいないのも嬉しいね。

川村美術館1.jpg

さて料金500円(安っ!)を払って、美術館所有作品の常設展を拝見いたします。展示室にはいったとたん、ごく当たり前のように、そこにレンブラントの作品。うは、すげえな。

・・・なんていちいち書いていたらきりがありません。展示作品の画家はどれもこれも超ビックネーム。モネ、ピサロ、ボナール、ブールデル、ルノワール、ジャガール、マチス、レジェ、ブラック、カンディンスキー、ルネ・マグリッド、エルンスト、アルプ、藤田・・・素晴らしいコレクションです。うーん、大日本インキさん(DIC株式会社の旧名)はお金持ちなんですなあ。

画風も時代もバラバラだけど、展示の仕方(並べ方)ゆえか統一感が感じられましたね~。

私が感動した作品は、ずばりキスリングの「姉妹」です。キスリング独特の静謐な画面に、女の子が二人並んで立っています。画面全体は重い色合い。その中におねえさんが幼い妹の肩に乗せた両手がくっきりと浮かんでいます。姉妹の表情は悲しみを漂わせたキスリング的無表情。深読みですが、姉妹の「これから」を暗示させる実に深い表現・・・。この絵だけで10分くらい見入ってしまいましたね(お客さんが少ないので、それもOKです)。

感動したもう一枚。3作品が展示されてたピカソのなかでも、ぐーーっときたのが「シルヴェット」であります。画集じゃあピンときませんけどホンモノの迫力は、実にまあ凄い(語彙貧困ですいません)。

ピカソの1954年の作品です。すでに「立体派」で名を成した後にもかかわらず、これはかなり「具象画」っぽいです。以下は受け売り情報でして、1950年代、ピカソさんはフランスでシルヴェットという20歳の美女と出会うわけですな。ピカソさんは彼女を気に入って、彼女をモデルに連作を描くのですね。それが題名まんま「シルヴェット」です。

シルヴェット.jpg

興味深いのはピカソさんが残した彼女の絵(デッサン含む)は、「具象」「抽象」「その中間」と複数の表現で描いていること。おお、技のデパート、いや単なるテクニック自慢かあ!?で、ここから笑える話ですが、スケベジジイのピカソさん、明らかに20歳の金髪ビジョの肉体を狙っているわけです(美術書にも書いてなくても、間違いない!)。画家特権を発動し「モデルなんだから裸になってくれや~、うひひ~」とビジョに懇願するも、あえなく撃沈。ジジイの発散するエロ・オーラがよほどヤバかったのでしょう、シルヴェット嬢の婚約者が危険を感じて、彼女がモデルをするときにはアトリエに立ち会っていたという・・・話を総合すると、

エロジジイ、破れたり!

シタゴゴロばりばりのジジイは、シルヴェット嬢とのベットインどころか、裸を見ることもかなわなかったとさ、チャンチャン・・・ですが、川村美術館所蔵の彼女はヌードです。これって首から下、裸部分はピカソじいさんの想像(妄想)なんですね。そういえば顔が丹念に描かれているわりに、裸の上半身はゾンザイにも見えます。

まあ、そうした逸話は別としても、本作「シルヴェット」の迫力は凄い。白と黒だけで胸像デッサンのように描いていますが、なにげなく線を重ねているようで、じいーっと見ると、その造形把握の技の凄さが感じられます。「美そのもの」にまっしぐら、ですね。「北斗の拳」のケンシロウなみの劇画タッチになったのも、ピカソじいさんのエロリビドーが画面に爆発したからでしょう

というわけで、風景良し、建物良し、展示作品良し・・・そして、お客さんが少なくて観やすい、いいことづくめのDIC川村記念美術館、ぜひ皆様もいかがですか?

川村美術館3.jpg

美術館前の池の、鴨?がお出迎えしてくれます。可愛い・・・。

川村美術館4.jpg

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