英国の女性ジャズシンガー ポリー・ギボンズのニューアルバム「BANG、BANG」 [ジャズ、ロック、ポップス]

最近のお気に入り、新作ジャズCDを取り上げます~。

2006年にBBCジャズ・アワード新人賞を獲得した、イギリス期待の女性ジャズシンガー、ポリー・ギボンズ(Polly Gibbons)さん(27歳)の新作です。アルバムタイトルは「BANG,BANG」。7月21日発売です。

スタンダートの名曲あり、サイモンとガーファンクル「明日に架ける橋」のカバーあり、と、ジャズファンでなくとも楽しめる(はずの)素敵な内容ですよ。

ポリーギボンズCD.jpg

私がポリーさんを気に入っている理由は、ずばり、独特(というか特殊)な声と、熱い歌いっぷりなのであります。

CDを聴いて、20代半ばの白人女性シンガーが歌っていると誰が想像できましょう?誤解を恐れずにいえば、思いっきりおばちゃん声なのです。声が若くない。ハスキー+年季が入っているのであります・・・と、そこばかり強調するのもなんですが。

前アルバム収録曲をYouTubeで発見したので、彼女の歌を聴いてください。

 

どうです?とても20代とは思えんでしょう!すでにベテランの風格ですよね。この貫禄と(良い意味での)安定感が魅力なんですよ~。ねえさんに一生ついていきます!と全面降伏したくなるくらいです。

素晴らしいのは声だけではありません。

熱くソウルフルな歌いっぷりは、ブラックミュージックを彷彿とさせる迫力。ややもすると「つぶやきシロー」になりがちな欧米ジャズボーカル界に新風を吹き込む存在、それがポリー・ギボンズさんだと確信するワタクシです。

メロディ・ガルドーをお好きな方、ポリーちゃんのほうが健康的すよぉ~。ふふふ

もともと私って「ハスキーな、おばちゃん声の歌手」が大好きで、ポリーさんの歌声から最初に連想したのは故アビー・リンカーン。聴き進むうちキャロル・スローン(大好き!)に近いなあ・・・と感じましたね。まあ、あくまでも私の主観ですけど。

ポリーさん、音をのばしたときの微妙なビブラート(演歌でいえば「こぶし」)が雰囲気満点なんですよ。かすれ声シンガーって、スラーが途切れがちですが(もんたよしのり?)、ポリーさんは、"声でごまかすことなく”、しっかり歌い切りますもんね、そこが好き。

ポリーギボンズ.jpg

ジャズって、エラソーで訳分からん演奏、多いじゃないですか?原曲が形骸化するくらいデフォルメしちゃったり、原曲で盛り上がるサビ部分を、下メロでスカしてみたり。イライラ~ってすることが、けっこう多いですよ。一方、ポリー・ギボンズさんはジャズ・アレンジはしてるけど、デフォルメは最小で、基本、素直~にメロディを歌いあげるんですよ。「明日に架ける橋」なんて、後半、めちゃ盛り上がりますからねえ。

やっぱり彼女のルーツは、ジャズよりも、ソウルやR&Bに近いんでしょう。勢いがあって、すんごい聴きやすいんです(その点も、キャロル・スローンに似ている!)。

ジャズなんて・・・と距離を置いちゃう皆様、ポリー・ギボンズさんの「魂の歌声」を聴いて、ルーチンワークばかりではない現在のジャズの「熱さ」にも触れてみてくださいねっ。

さて、次回は、クラシック音楽ネタです。大手レーベルDECCAが一押しの女性ヴァイオリニスト、ユリア・フィッシャーさん!彼女がコンサートで行った大快挙とは?そのときのDVDが、そろそろ発売です~~。


nice!(0)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 4

F30

こんにちは。
ご紹介のアルバム、サイトで試聴いたしましたが、おっしゃるとおり20代の方とは思えませんね。
サイトの試聴だと曲のはじめの部分だけで、後半の盛上りが分からず残念です。
アビー・リンカーンという方は、つい先日、亡くなっていたのですね。
by F30 (2010-08-24 07:31) 

門前トラビス

To F30様、コメントありがとうございます。
そうなんです。ご指摘のとおり、アビー・リンカーンさんは、10日ほど前の今月14日に亡くなりました。享年80歳。
ポリー・ギボンズの記事を書いた時点では、そのことを全く知らず、なんとなく「故」アビー・リンカーンと書いたのです。まさか、1週間くらい前にお亡くなりになっていたとは・・・・。
スタン・ゲッツとの共演作(15年以上前)が最後のアルバムだと思い込み、10年以上前にお亡くなりになったと勘違いしてました。
確かめずにイイカゲンに記事を書いてはいけないな・・・と、反省しております。
by 門前トラビス (2010-08-26 01:11) 

ブン

ポリーのセカンド、良い評価を頂き、本当に嬉しい限りです。
わたくし彼女のコープロデューサーです。。。
今回のアルバムもローマで録音しましたが、前回(ファースト)の雰囲気を留めつつ、もう少しリズムにも変化をつけ、バラエティーを加えるといった趣意でしたが、実は彼女の相棒ピアノのティム・ラップソーンが参加できず、
代わりに今イタリアの若手注目株、クラウディオ・フィリッピーニが前面参加及びアレンジを担当しました。彼はいわゆる、現在進行形の神童で、
イタリアンジャズの重要な担い手の一人となる逸材と思われます。
ポリーもこの時期(2008年)、若き故なる変換期でもあり、
あわやレコーディングキャンセル?とまでの状況でしたが
実際、始まるとフルパワーでこなし切ってしまいました。
マイフェイバリットのホーンセクション以外、殆どファースト/セカンドテイクでした。でもご指摘のとおり、彼女の声は、いったいなんなんでしょうか?
最初にデモを聴いた瞬間に'ウォー、ライブで'ウーォオーオー状態でした。
毎年の様に、若手歌手がデビューしてますが、実際ライブだと‘ガクッツと
なる人達も少なくはありません。近年はエディットでかなりの事が出来ますので、面白いところです。。。何やら長くなってすみません。。
またご連絡させていただきますね。
これからも宜しくお願いします!!
ブオナ・ジョルナータ(良い一日を)

ブン

by ブン (2010-09-17 06:28) 

門前トラビス

To ブン様、いただいたコメント、こちらのブログにも掲載させていただきました~~。
これからも、ポリーさんを熱く応援させていただきますので、良い情報ありましたら、また教えてください。
ポリーさんだけでなく、ピアノの、クラウディオ・フィリッピーニさんにも注目したいと思います。

これからも、素晴らしいジャズアルバムの制作、楽しみにしています。
今後ともよろしくです!
by 門前トラビス (2010-09-19 06:55) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0