愛知県豊田市で「クリムト展」を拝見したハナシ。 [絵画]

2019年10月。

某日、愛知県の豊田市美術館で「クリムト展」(7月23日~10月14日)を拝見いたしました。グスタフ・クリムト(1862~1918)は19世紀末から20世紀初頭にかけウィーンで活躍した画家・・・とエラソーに説明するまでもないですね。写実表現と、抽象化した装飾文様を、平面的に組合せた独特の画風で知られておりますね。とくに官能美あふれる女性像にはワタクシ、小学生のころからゾッコンなんであります。

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今回の「クリムト展」は東京(上野)会場をパスし、あえて次の巡回会場の愛知県で拝見しました。ちょっと目先を変えたいということで。そして雨の中、東京から新幹線+在来線でやってきました豊田市へと。初めて来たこの街、美術館はどこだろう・・・と悩む必要もなく、駅にはしっかり案内表示が出ておりますな。

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駅から歩くこと約20分(意外と遠いね)、この立派な建物が豊田市美術館だそう。ふうむ。

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おっと私は美術館のタテモノを見に来たわけではなかった。本題はクリムト展です。

ワタクシにしてはかなり長い1時間30分をかけ展示作品をじっくり拝見しました。ちなみに印象派展だと20分くらいで観終わっちゃうワタクシ、モネさん、ルノワールさん、すいません。

さてさて。画集で見慣れた名画の「実物」と対峙したとき、迫力と訴求力に、うおーーッと雄叫びが出そうになる画家と、「あ、ホンモノはこうゆう感じなのね・・・」で終わる画家がおるわけです。作品の良し悪しや、絵の大きさの問題でなく、画集(印刷)では表せないホンモノ・パワーというかな、そーゆープラス部分があるかないか、ですね。(正しく言うと、観る側が、それを感じとれるか、ですが。)

今回、拝見したクリムトさんの作品はどうだったか。いやあ、ホンモノを観てホント―に良かった!と心底、思いました。どの作品からも強烈なクリムト・オーラが発散されており、画集でみたあの絵この絵が、実はこんなに生々しくパワフル(&カラフル)だったのかと感激しきり。この感動、どうするのよ。新幹線運賃をかけて、愛知県までやって来た甲斐があったってもんですよ。

装飾性の強いクリムト絵画は「絵」というよりも、タペストリーやステンドグラスに近い、という印象を持ちました。ただし、それらと決定的に異なるのは、絢爛装飾のただなかで、綿密・繊細かつ具象的に描かれた箇所がツボになっていること。とくに女性のお顔は、目を釘付けにさせる魅力と吸引力を持ってるんです。

ポスターに使われた代表作「ユディトI」。とろんとした彼女の目。そのエロさ!こんな目で観られたら、いったいどうするよ、そこのオジサン!

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10代のころは「子門真人か!?」とアフロヘア(?)が気になった作品ですけど、ワタクシも50代半ばをすぎて、ヒロインの官能美をめでるに至ったのであります。嗚呼、大人になって良かったなあ。パチパチ。。。

楽しみにしていた壁画「ベートーヴェン・フリーズ」(同寸レプリカ)も圧巻でした。言われなければベートーヴェンの第9交響曲「合唱」がモチーフとは分からんですが、予備知識を抜きにしてもクリムトさんの筆力、発想力、イメージを具体化する能力に圧倒され、スゴイ!と感服です。高さ2メートル、幅34メートルの大パノラマをある個所はミッチリ描き込み、ある個所は「塗り忘れかあ?」つうくらい余白をたっぷりとって、その妙なバランスがまた心憎いです。なんと卓越したセンスであるか!

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展覧会の後半ハイライトは、目玉作品のひとつ「女の三世代」。幼児→成年→老年・・・と人間の宿命である「老い」をある意味分かりやすく描いておられますね。

背景や髪の装飾部分がクリムト芸風全開で嬉しくなりますね。しかし、ワタクシが食いつく最大ポイントは、なんたって人物描写、なかでも皮膚の色なんですね。バリバリ写実色ではないのに、むしろこれこそが人の肌だわ、と思える複雑・微妙な色あい。この色だけでも、実物作品を観る意味がある!と申し上げたい。

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まとめっぽい感想になりますが、クリムトさんの絵画に一貫していることは、描写力の確かさと、確信に満ちた画面構成だと感じました。

以下の2枚の人物画。同じ画家の作品とは思えないほど、雰囲気が異なりますが、共通するのは「ぶれない確信」と言いましょうか、この対象を描くならこれしかない!と言わんばかりの、One Shot, One Kill、一発必殺!という表現なんですね。奥が深いな~、いやはやクリムトさんは一筋縄ではいきません。

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結論。クリムト展、最高でしたあ~。2019年に拝見した展覧会の、個人ランキングで「キスリング展」に次いで、「クリムト展」を暫定2位としましょう(ここまで絶賛しておいて2位かよ、と言われそうですが・・・)。本日は以上!

<蛇足>

豊田市美術館から、駅に行く途中で、こんな看板を見つけました。店名「物豆奇」は、いったいなんと読むのやら。ネットで調べれば即座に分かるでしょうけど、あえて謎として残しております。はい。

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