突然の風邪に撃沈・・・翌日の関西出張がイイ感じにツラかった話。 [日常]

某日。朝起きると、昨日までなんの予兆もなかったのに、体が熱っぽく、頭がくらくら~の状態だったのであります。

こうゆうときは熱い朝風呂でスッキリするのが一番さ・・・と深く考えもせず、湯船につかったところ、激烈に体調が悪化。這うように、風呂場から出て布団に戻り「うぐぐぐぐ・・・」ともだえ苦しんだのでした。どこかで「風邪のタネ」をもらったようですが思い当たらない。風邪でゲホゲホしている人は見かけますが、流行というほどでもなし。

その日は使い物にならず、巨大ゴミと化したワタクシ、家の者のつくる食事を摂取して市販風邪薬を飲む以外は、終日ぐったりと寝込んでおりました・・・とほほ。

問題はその翌日です。関西で朝10時から打合せなのです。私が開催案内を出した会議ゆえ、なんとしても体調回復し、早朝6時東京発の新幹線に乗って西へ向かわねば!時間逆算すると、自宅を出るのは朝4:40。ふだんなら、どうってことないけど、このグダグダ体調で可能なのか?

・・・と、危惧しましたが、あははは、長~くサラリーマンやっていると不思議なものですね、精神力か気合か、翌朝は、全快とまでいかないですが、立って歩けるほど回復し、なんとか東京駅 朝6時発博多行き「のぞみ1号」に乗車したのであります。

神戸くも1.jpg

車中の移動時間(2時間40分)を、うつらうつら、と過ごします。結局、それほど風邪は良くなってないみたい・・・うーん、ツライ。名古屋の手前くらいでしょうか、車窓から外を眺めると薄暗い空に「縞目模様の雲」が広がっていました。

神戸くも4.jpg

これって、ウロコ雲でしたっけ?あまりに見事なヒダヒダっぷりと立体感に感激し、デジカメを取り出して撮影した次第。

神戸くも2.jpg

しかし、不穏というか、不安な気持ち、ウツウツ気分にさせる雲です。

神戸くも3.jpg

ノーテンキな私が、雲を眺めた程度でネガティブな気持ちになったのは、体調不良だけではありません。そのとき読んでいた本の影響もあるんです(きっと)。

澱み.jpg09年にノーベル文学賞を受賞したルーマニアの女流作家ヘルタ・ミュラーさん(1952年生まれ、母国語はドイツ語)の短編集「澱み」です。1984年に出版された本で、邦訳は2010年に出ました。

田舎の日常風景を描いていながら、カフカ的不条理、シュールさがじわりとにじんでいる作風です。絶望的ではないのですが、淡々と書かれているだけに、しだいにボディブロウのように腹にくる不安感や閉塞感は「体調が悪いときに読むと、ますます体調が悪くなる」ものでしたね。

以下、小説「澱み」より抜粋・・・・

「私もときどき不安を覚える。でも、それは不安に対する不安で、不安そのものじゃない。」

回りくどいイヤなことを言いますねえ。また別な箇所では、

「道路の先に太陽が沈んでいく、夜という大きな袋、出口を縫い合わされた袋が村に覆いかぶさってくる。

黒い部屋の消された灯りに火がともされる。

不安もやってきて、それがある限りは、私の身に何かが起きることはないだろう。そう自分に言い聞かせはするものの、自分でもそんなことを本気で信じているわけではない。

それは不安自体ではない、それは不安に対する不安、不安の忘却に対する不安、不安の不安に対する不安なのだ。」

おいおい、どれだけ「不安」を連発するんだよ!とツッコミたくなりますが、この小説全体を読むと感じますね、ぐにゃぐにゃした、とらえどころのない不安を。まさに「不安の不安に対する不安・・・」です。

田舎の古い家屋の床板が腐る話。湿地で祖父が蛇の首をはねる話。毛虫を踏みつぶす話・・・。

小説はやがて「比喩」の渦に巻き込まれ、夢のように混沌としていき、

「そして睫毛の下に残るのはただ真っ黒な眠りばかりだ。」

という一文で突然終わります。うーーーん、なんともコメント困難。

全然、楽しくない本ですがツボにはまりましたねえ。冒頭の短編「弔辞」は、デヴィッド・リンチ監督の映画のような悪夢的イメージが秀逸であり、映画好きの私を狂喜させる作品でしたし・・・・。

って、何を書こうとしていたか、自分でもよく分からないブログ記事になりました。要するに「風邪と、雲のおかげで、ヘルタ・ミュラーさんの小説が身にしみた、そんな関西出張」。うーん、この表現もなんだかシュールだわ。ちゃんちゃん。


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