NHK-BS 「玉木宏の音楽サスペンス紀行」(録画)を拝見し、ショスタコービッチ交響曲7番を再聴した日。 [クラシック音楽]

2019年1月27日。

1週間前にひいた風邪がこじれにこじれ、一昨日から全く声が出なくなりました。病院で「インフルエンザではない」と診断され安心したものの、咳は続くわ、くらくらするわ、で週末は外出せず大人しく自宅療養であります。

処方されたクスリの威力でしょうか、日中に爆睡してしまい、反動で夜になると目がさえてくる。ダルい体を動かす元気もないのでソファで毛布にくるまりながら、年始に録画した未見のTV番組をチェックしはじめました。

いくつか観た番組のうち「うーむ、やるな!」と思ったのが、1月2日放送のNHKドキュメンタリー。タイトルは、

「玉木宏 音楽サスペンス紀行  ショスタコーヴィチ 死の街を照らした交響曲第7番」であります。

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ショスタコービッチ(1906年~1975年)は、ソ連時代を生きた20世紀を代表する作曲家ですね。スターリンによる言論・文化統制、第二次大戦のファシズムの脅威、など時代に翻弄されながら、15の交響曲をはじめ、弦楽四重奏曲、ピアノ協奏曲、ヴァイオリン協奏曲、オペラまで残した天才であります。

NHKのドキュメンタリーは、俳優玉木宏さんのナビゲートのもと、現地ロケに再現ドラマを交えながら進行します。第二次大戦下、レニングラードに侵攻するドイツ軍に屈するまじと、レニングラード出身のショスタコービッチが国民を鼓舞すべく、ソ連の勝利を予言する「交響曲第7番」(タイトル「レニングラード」)を誕生させる様が描かれます。そこから展開がドラマっぽくなるけど、ドイツ軍に包囲された飢餓状況のレニングラードで、この曲が演奏されるまでの紆余曲折が描かれ、これが感動的なんですねえ~。

さらには楽譜がマイクロフィルムとなってアメリカに運ばれ、アメリカでもナチス・ドイツ打倒のシンボルとして、大々的に交響曲第7番が祭り上げられる様は、出来すぎたフィクションのようですが、うーん、これが音楽の力かあ、と感心した次第。

すっかり120分間の「音楽サスペンス」にのめりこんだワタクシ、番組を観終わるとオーディオ部屋へ移動です。15年以上も聴いていない、ショスタコービッチ交響曲第7番「レニングラード」のCD3枚を、棚から引っ張り出しました。こうゆう動機付けでもないと、食指の動かない曲ですので、ここぞ!といっきに3枚を聴きとおしました。

まずはレナード・バーンスタインさん指揮シカゴ交響楽団によるグラムフォン盤。20年ぶりくらいにシカゴ響と共演して話題になったディスクです。バーンスタインさんは、ベルリン・フィルとのマーラー9番の録音が「一期一会」と注目されますが、こっち(シカゴ響)だって組合せ的にはレアですよねえ・・・ま、その話は良いか。演奏ですが、名演の誉れ高い5番(ニューヨークフィル)を残したレニーさんだけあって、7番にも予想通り「パッション」が注入されております。いつでも熱いですねえ、この方は。

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次のディスク。録音魔こと、ネーメ・ヤルヴィさんが指揮するスコッテッシュ・ナショナル管の演奏です。バーンスタインさんとは逆方向で、サッパリした演奏です。ショスタコービッチさんが一風呂浴び、スッキリしちゃった感じ。でも、それゆえに聴きやすいのは確かだし、これはこれでアリかと思います。ヤルヴィさんは、生前のショスタコさんとも交友があり、音楽について話もされているでしょうから、もしかすると、このタイプの演奏が、作曲家の意向に沿っているのかもしれませんね・・・。

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最後の1枚。マリス・ヤンソンスさんが、本家本元のレニングラード・フィルを指揮したEMI盤です。個人的には、このディスクこそ、非の打ちどころのない名演と思うのであります。情をこめすぎず(コッテリ過ぎず)、かといって冷淡でもなく、情・知のバランスが絶妙!と言いたい。ヤンソンスさんは、数年前にロイヤル・コンセルトヘボウ管とこの曲を再録しておりますが、そちらも聴いてみたくなりました。

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というわけで、NHKに刺激されて、異なる指揮者・オーケストラとはいえ、同じ曲を3連発聴いた珍しい一夜となりました。

で、ちょっとビックリしたのは上記3枚のCDの「録音年」なんです。今回気づいたのですが、どれも、1988年録音なのですね。全くの偶然。ふうむ、と妙にその点がツボにはまったワタクシでした。ところで、1988年って何かあったっけな?ショスタコービッチ・ブームでも起きてたんだっけ・・・と、30年前の遠い記憶をまさぐっても、なんにも思い出せないワタクシでありました。トホホー。

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