故チャールズ・マッケラスさん指揮「ショスタコーヴィチ交響曲5番」のCDが素晴らしい! [クラシック音楽]

2010年のクラシック界、オトマール・スイトナーさん、ルドルフ・バルシャイさん、そして、チャールズ・マッケラスさんという名指揮者が鬼籍に入りました。

脇道にそれますが「鬼籍に入る(きせきにいる)」と書いたら「戸籍?」と返されたことがあります、鬼籍に入るは「お亡くなりになる」という意味で・・・「そんな面倒な単語を使うなよ!」ってツッコミを受けそうですが、ご容赦を。。。

さて、3人の指揮者のうちマッケラスさんに絞って書きたいと思います。

チャールズ・マッケラスさんは1925年アメリカ生まれのオーストリア人。1940年代からイギリスで活躍し、ヤナーチェク(チェコの作曲家)の指揮で有名・・・うわあ、ややこしいぞ~~。ま、辞典的説明は置いといて、広いレパートリーの指揮者だったようです。

「ようです」と書いたのは、私個人はマッケラスさん=シューベルト、モーツアルトの指揮者というイメージが強いのです。彼が指揮したヤナーチェク「グラゴル・ミサ」のCD(CHANDOS)は持っていますが、ローカル色の強いマニアック曲だなあ・・・程度の認識であり、(有名らしい)オペラなど一度も聞いたことがありません。

マッケラスさんを語るなど、おこがましいのですがお許しを・・・なんだか今日は謝ってばかりやなあ。

マッケラスさんを聴いたのは「シューベルト交響曲10番」というちょっとキワモノCDが初めてでした。(90年代録音、スコットランド室内管弦楽団) 

マッケラス シューベルト10番.jpg

シューベルトの「最後」の交響曲はグレイト=9番(協会表記は8番)のはず。「10番なんてあったっけ?」といぶかしく思ったのですが、未完楽譜をベースにしたプレミア録音らしい。ちなみに当時の日本で、このCDが店頭になく、出張先のロンドンで購入しました。

内容が実に良いのですね~。名盤とまでは申しませんが、マニア向けだと考えれば十分すぎる好演奏。未完楽譜の録音って、雑なヤッツケ仕事が多いですが、マッケラスさんとオーケストラは愛情のこもったシューベルトらしい音色を聴かせてくれます。(また話は脇道に逸れますが、同主旨CDでは、ネーメ・ヤルヴィさん指揮「チャイコフスキー交響曲7番」もいい味出してますよ~)。

やるなあ~と感じ入り、当時テラークレーベルから出ていたモーツアルトやブラームスを聴いたのですが、そちらにはピンと来ず、私の中でマッケラスさんは微妙な位置付けの指揮者となっていました。

そして2010年。マッケラスさんのモーツアルト後期交響曲の新録音が登場したのです。29番、31番、32番、35番、36番、38番、39番、40番、41番で、CDは計4枚。オケは「シューベルト10番」と同じスコットランド室内管弦楽団です。SACDで音質も抜群(らしい)。

マッケラスモーツアルト.jpg

期待して購入しましたがずばりこれは良かった。一言でいえば、チャーミング!80歳を超えた巨匠の指揮とは信じがたい、軽やか、ユーモラス、ウキウキな。

しかし!ここからがいよいよ本題です・・・って、前置きが長いよ!

2010年に購入したクラシックCDの中で、激烈に感動した物件が、これなんです。

マッケラス ショスタコ5.jpg

マッケラスさんが、90年代に首席指揮者を務めていたロイヤルフィル(イギリス)を振った「ショスタコーヴィチ交響曲5番」です(通称「革命」)。録音は1998年。

いやあ、私は泣きましたよ、星飛雄馬のようにボーボーと。同曲CDはバーンスタイン/ニューヨークフィルの”世間評価的”名盤を含めて3枚持ってましたが、マッケラスさん指揮ロイヤルフィルこそが、私が求めていた同曲のベスト・オブ・ベストの演奏です!

この素晴らしさを説明できないのがもどかしいですが、強いて言えばショスタコにありがちな「政治色」からは全く無縁の、純音楽感動というのか。ロイヤルフィルらしからぬ(失礼)、どっしりと地に足がついた演奏。それでいて、重たくはなく、上品で愉悦に満ちているのでして。

たとえば最後の第4楽章の冒頭。嵐のように吹き荒れ、オケが咆哮しますが、バーンスタインタイプの早めにアップテンポする「興奮演奏」とは違って、マッケラスさんは30秒程度からは加速せず、あれ?テンポ変えずにこのまま進むのね、と思いきや、1分過ぎ「そこからか?」で加速を開始。ギアチェンジすると、後は変幻自在にまとめあげていく。第4楽章の冒頭数分間だけで、指揮者のセンスの素晴らしさを実感できますからねえーーー。

いやあ、この演奏は、ここ数年間に聴いたCDのなかでも格段に素晴らしかったです。クラシック音楽っていいなあ~と、しみじみ思っちゃいましたもんね。マッケラスさん、恐るべし!であります。

改めてチャールズ・マッケラスさんのご冥福をお祈りいたします。

最後にYouTubeで見つけた、マッケラスさん指揮のモーツアルトの名曲をどうぞ。これもまた、実に良いのですねえ~~。


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ピアノフォルテ

明けましておめでとうございます!

きゃ、ショスタコービッチ5番・・真剣に聴いたことないんですが、踊ったことあります。汗
戦争をテーマにした振り付けで・・もうださくて「この振り付け嫌いじゃ~!」と唸りながら踊った悲しい思い出の曲です。でも違う出会い方をしてたら気に入った曲になっていたかしら。・・
by ピアノフォルテ (2011-01-01 15:29) 

門前トラビス

To ピアノフォルテ様、nice&コメントありがとうございます!
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いしますです。

さて、ショスタコーヴィチの5番を「踊る」とは、スゴイご経験ですね~。テーマが「戦争」となると、第一楽章と第四楽章でしょうか。
記事にも書きましたが、ショスタコーヴィチの音楽(特に交響曲)は、戦争とか、政治とかの文脈で取り上げられることが多くて(事実、作曲家もそこを意識して書いているのでしょうけど)、これが音楽に良くない刷り込みを招いていると思うのです。

ということで、ピアノフォルテ様も、「踊り」の苦い思い出は忘れ、普通に「5番」を聴かれれば、今からでも曲のイメージが変わると思いますよ~。
つい踊りだしてしまう・・・ということはさすがにありませんよね!それもまた楽しいですけど・・・。
by 門前トラビス (2011-01-02 23:15) 

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