学会発表の「ここがダメ!」と年寄りの私は喝を入れたいのであります。 [雑感]

2022年9月。

目くじら立てるハナシでもないですが、本日は「学会発表のここがダメだ!」つうエラソーなお題を設定してみました。多くの方に馴染みがない(ゆえに、なんの関心も湧かない)ネタではありましょう。まあ、学会という狭いカテゴリに限らず、日本人の「発表」「プレゼン」全般に通じる問題点とご理解いただきたく。

先週、ワタクシは電気関係の某学会で関西にいきました。2日間、さまざまな方の発表(プレゼン)を聴き、自分も1件発表しました。自分が優れていて、他がダメ、というつもりは毛頭ありませんけど、他の方の発表に「ああ、もったいないなあ」と思うこと、しばしばでした。なぜそう思ったか?

プレゼンがイマイチなんですね。結果、内容の素晴らしさが、聴衆にすーっと伝わらないんです。声が極端に小さいとか、緊張でしどろもどろになる発表者もいますが、それは各自の訓練で鍛えるとして、私が指摘したいの「言い回し」と「スライド(パワポ)」です。

今回の学会、発表者に与えられたプレゼン時間は15分間です。15分は長いようで短い。時間を有効に活用せねばなりません。ところが、相変わらず余計な謙譲語を連発して時間を浪費するアホが後を絶ちません。

ワタクシとて鬼ではないので、発表者がプレゼン冒頭に「◯◯について発表させていただきます」と言う程度は全然アリと思います。問題はそのあとですよ。発表のいたるところで、

「実験させていただきました」「グラフについて説明させていただきます」「結果をまとめさせていただきます」とクドクド「いただきます」連発をするわけです。私の言いたいことはお判りでしょう。そんなところでへりくだってどうすんの?つう話。「実験しました」「説明します」「まとめます」で良いだろ、ってこと。

15分間もこんなプレゼンを聞かされたらイライラしますよ、ホント。言葉尻の化粧で、丁寧アピールしてどうすんの、ってこと。百歩譲って、発表者が20代の学生ならまだしも、40歳をとうに過ぎたオジサン面で「いただきます」って言われると、安い日本酒でもいただいてろ、とツッコミたくなりますね。

で、今回の学会では、もっと気になる言い回しに遭遇しました。

コンビニ店員のマニュアル会話じゃないが「◯◯のほう」という言い方。「図のほうを説明します」「送信機のほうを取り付けます」「現場のほうの状況です」・・・聞いてるうちに、フォー!!とレーザーラモンHGばりに叫びたくなりましたね。なぜ、「図を説明します」「送信機を取り付けます」「現場の状況です」と素直に言わないのか?これが「ほう(法)の精神」ですか・・・って、このボケはイマイチだね。

勢いついでに言えば、発表の質疑応答。質問者が、質問する前に「興味深い発表、ありがとうございました」と儀礼的に言い、答える発表者は「ご質問、ありがとうございます」と儀礼的に返す。あのくだりも全く意味ねえなあ、と思う。

だってそうでしょう。繰り返しますが時間は限られているんです。質疑応答は発表1件あたり3分とか5分とか決められておるわけだ。となれば余計な儀礼マクラコトバなど吹っ飛ばし、さっさと質問せいよ、さっさと回答せいよ、と思う次第。

もっと問題なのは、これは発表者の罪ではないけど、質問者がまとめて複数の質問をする横暴ですね。質問者は、原則、質問をひとつに絞るべきと思う。せいぜいが、ふたつですよ。質疑応答時間は限られており、ひとりで3つも質問したら、その回答だけで時間切れになってしまう。他に質問したい人がいても出来ないわけです。そりゃあワガママの極み、と言えましょう。

こーゆー身勝手なフルマイを、品がない、という。アルゼンチンの作家、ホルヘ・ルイス・ボルヘスさんは「講義とは、講師と聴衆の共同作業である」という名言を残しましたが、そーしたことを日本人はもっと考えるべきでしょう。さらには、質問があまりにも下手で、何を聞きたいかさっぱり分からん、という「質問以前」という極悪ケースも散見され、まるで動物園だ、とマイナス感動が止まりません。

さて、最後はプレゼン時にスクリーンに投影するスライドに関する文句。いまどきは、ほとんどがパワーポイントを使って作られます。このパワポなるソフト、機能充実はけっこうですが、それが災いしてかえって見づらい、つうマイナス事例も多いのです。

まず、基本の基本だと思うんだけど、文字は見えるサイズ(大きさ)にすべきです。文字が小さくて見えないパワポって多いんですよ。PCで作っているときは良いでしょうが、スクリーンに投影されたら話は違ってきます。会場の後ろのひとは見えません。「見せる」ではなく「見える」ことが重要なんです。邪推すれば、資料さえ作ればよい、見えなかろうが知った事か、つう不親切もっといえば傲慢を、そこに読み取っちゃう私です。

もう一点。同色系の背景と文字を重ねると、読みづらいのは当たり前の理屈です。青地に白文字を書けば、もはや色盲検査です。そんなパワポが多すぎますね。そもそも背景(下地)に色なんて必要ないだろと私は思う。私のつくったサンプルをご覧ください。センスは別として「見やすいかどうか」に着目してね。

青地に白・黄の文字で書いたパワポがこれ。ほら、見づらいでしょ?

NGPPT01.jpg
同内容を、背景色に対し目立つ色の文字にしたのがこれ。明らかに見やすくなったでしょ?

NGPPT02.jpg
とまあ、こんな当たり前のこと、に気づかないのか、ガン無視してるのか、バカにしているのか、色盲検査的パワポ資料が、世間に横行しているのであります。

このことから分かるのは、何が大切かを他人の判断にゆだねるのではなく、自分の頭で考えるという事が、いかに難しいか、つうハナシですよ。エラソーに言うと、個人の世界観・人生観に通底するものであり、突き詰めれば哲学の有無だと思うのであります。

ああ、すっきりしたなあ、本日は以上っす!ちゃんちゃんちゃん。

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コメント 4

LargeKzOh

 同感多々・・・です。
 パワポでは、
  原則3色以上使うな
と戒めていました。
 自分は
  背景色=黒or黒に限りなく近い濃紺
であれば
  文字色=白か黄色
としていました。
 但し中央省庁お役人相手の時は素直にその反対としていました。
 文字は好みは別にして
  ボールド・ゴシック
  5~7行止まり(せめて10行以内)/ページ
を原則としていました。
 パワポは、一見して即、強調ポイントが解る図柄が望まれます。 二枚目パワポのニャンがかわいらしいのもそのおかげですね。


by LargeKzOh (2022-09-08 11:07) 

nimke

ご指摘の通りです。気持ちワリイですな。
ついでに「コチラ〇〇になります」っとゆー言い方も、「そーなりますか」っとツッコミたくなります。あと、語尾を持ち上げて、相手に無理やり賛同を迫るような言い方も、「自分の判断を押し付けてくるような不快感」を覚えます。これは、中堅の学者にもしばしば見られる表現で、学生時代に身に着けた表現法を修正してくれる場が無いままに、中堅まで登ってしまったわけで、わが国全般に、大人としての修業の場が失なわれてしまったということなんでしょうね。トラビスはん「哲学の問題」と言われますが、自らを鍛える場が社会全体失われた結果と思います。

by nimke (2022-09-08 13:52) 

門前トラビス

To nimke様、コメントありがとうございます。
そうですね、会話に関し、おそらく「根っこ」になる部分の正しさを教えられる機会が無かったのでしょう。なので、その時々の流行りコトバ、流行りの言い回しに流され、違和感も疑問も持たずに使うヘンテコなオトナになった・・・そんな人が多い感じはありますね。
かくいうワタクシも知り合いがおかしな言い回しをしたとき、即時に「それ、変ですよ」とまで指摘ができない寂しさがあります。
ところで、年寄りに多い(と勝手に思う)良くない言い回しは、会話のはじめに余計な文言がくっつくことでしょうか?本人は「えーと」の言い換えのつもりかもしれませんが、気になります。
一番嫌いだったのは、話を始める前に「なんでもいいんだけどさあ」をくっつけるヒト。なんでもいいなら、しゃべるなよ、と言いたくなります。
些末なところでは、「だけど」「でも」という否定接頭語を付けるヤツ。よくあるのは「なんか」という語をいちいち挿入するヤツ(これは若者に多いのかな)。
「◯◯的に」つうのも連発されると気味悪いですよね。「わたし的に」は論外だし。
「そう、そう、そう」とか「はい、はい、はい」と繰り返すのも相手を小ばかにしているようでイカンですねえ。。。と、例題を挙げると際限がなくなりますね。失礼しました。
by 門前トラビス (2022-09-24 05:26) 

門前トラビス

To LargeKzOh様、コメントありがとうございます。
ご指摘どおり、パワポでも他ツール資料でも、使う色やフォントを限定したほうが見やすくなりますね。現代アートのようにド派手かつ、多色使いをされると眼も頭も痛くなります。
ただプレゼン相手によっては「わざと見づらく分かりづらく作る」確信犯的な技もアリですね。まあ、いまどきの(←ジジイ発言が出ました)若手・中堅が、そんな創意・工夫できる頭を持っているとも思えませんが。。。合掌。
ちなみにプレゼン内容に関わらず、私の場合は飼い猫の画像は必須なんであります。これなくして資料無し。ありがとうございました。
by 門前トラビス (2022-09-24 06:45) 

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