今年は「死」をまじめに考えるぜ。正月から縁起でもない?とんでもございません。 [雑感]

2014年1月。

このテーマをとりあげると「縁起でもない・・・」と眉をしかめる人が多いですね。しかしワタクシ、このことは大変に重要、と思うのであります。正月にふさわしいネタとは言えませんが、あえて書きましょう。

ずばり「死」についてであります。

ロシュフーコーさん、というフランスの名言おじさん(昔のヒト)が名句を残しております。いわく、

  人間が正視できないもの。それは、太陽と、死である

古今東西の著名人の「死にざま」を死亡年齢ごとに列記した究極の名著「人間臨終図巻」(文庫本で全4巻)を遺した作家、山田風太郎先生にも奥の深い言葉があります。いわく、

  地上最大の当然事-他人の死。 地上最大の意外事-自分の死。

主観的な「自分の死」に関する言葉には、こうゆうのがありますね。

  死とは・・・モーツアルトが聴けなくなることだ (アインシュタイン)

  まだ、今ではないのに・・・(指揮者カラヤンの最期の言葉)

人間臨終図巻.jpg

ジョルジュ・バタイユさんの「死への欲求こそ生の原動力」といった極論は別として、死について語ると、結局、とりとめなくなり終わります。そりゃそうでしょう、本当の意味で「死んだことのあるひと」はいない、正しく言えば、死んだひとはすでにこの世に存在しないのでコメントも議論もできない。死を論じるのは常に生きてる人たちであり、生の側からみた観念としての死であり、「死そのもの」ではないのですから。「死を論じる」ことの絶対的矛盾は、命題そのものが内包しているわけです。

一方、すべてを凌駕する圧倒的「真実」は誰もが知るとおり、「どんな人間もいつかは必ず死ぬ」ということ。死を経験はできないけど、誰もが必ず最期に経験する・・・。

そして「誰一人として、自分がいつどのように死ぬかを知らない」こと(死の意外性)と、山田風太郎先生の受け売りですけど「悪人が苦しんで死ぬわけでも、善人がおだやかに死ぬわけでもない」(死の不条理性)という身もフタもない現実がそこに横たわっているんですね。

まさに、とりとめないハナシになっちゃいましたが(ほんとだねえ)、冒頭のロシュフーコーさんの名言のように正視できない自分の死、だとはいえ、いつかは遭遇(妙な表現ですが)するわけです。確率論から言えば「それ」に出会うのは今日かもしれません。大きな持病のない52歳の私は、たぶん今日は死なないだろうし、明日も死なないだろうけど、50年後は到底生きていないでしょう。その「間」のどこかで、死は約束されているわけです。

話がどんどん逸れますが、毎日のようにTVニュースで交通事故や火災、天災、犯罪、戦争が報道され、多くの死が報告されているのに、それを他人ごとだと客観視できるのはなぜか?なぜ、いつかは訪れる「自分の死」をそこに見出そうとしないのか?人間の脳がそのようにプログラムされているのか?・・・と考えるに、話は単純ではなく、未知のもの(死)への恐怖に加え、「自分が世界から消える」ことをイメージできないからでしょう。無になる=意識そのものが消失した状態なんて想像ができないんもんね。宗教のひとなら、死後は天国だの地獄だの、とおっしゃるでしょうけど、それは生きた側が描いた想像であって、悪いことをしたら地獄に落ちる、だから正しく生きようよ、という教訓の材料ですよ。死んだらどうせみな同じ、なんて言っちゃあ収拾つかなくなりますもんね・・・あれ、私は何の話をしてたんだっけ?

とりとめなさが加速してすいません。で、何を言いたいか、と申しますと。

数年前に50歳を越え、人生の半分は確実に消化した私であります。だから、自分の死、とそれなり向き合って、その時への「覚悟」をしよう、と思うわけです。死ぬまぎわに人生をおだやかに振り返ろうとは毛ほども思っておりません、最期は見苦しくっても構わない(カッコつけたってしょうがないしね)。しかし「死」や「死ぬこと」をまるで他人ゴトのように脇に置いときながら、いざ自分の番がきたときに「ありゃ?そんな馬鹿な!」とはなりたくない。

「自分は着実に死に向かっている」ことを正視して、ここではカッコつけちゃいますが、「だからこそ、今、何をするか」を考えながら生きよう、と前向き(?)に決意するのであります。ありゃま、無難なまとめに入っちゃいましたね。だって、収拾つかないんだもんなあ、このテーマ。

  死は恐ろしい。自分がなくなる、世界がなくなる、その「無」が恐ろしい。

  しかし一番恐ろしいのは、

  死をなんら意識しないまま、確実に死に向かっていることである。

これは私の名言であります(自分で「名言」っていうかよ、ふつう・・・)。

こんな話のあとで恐縮ですが、2014年、皆様も良いお年を!


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