アンドレ・プレヴィンのジャズ・ピアノを堪能。クラシックとの聴き比べも良いかも? [ジャズ、ロック、ポップス]

音楽CD業界が不振だそうです。インタネットでの音楽配信の影響でしょうか。どのジャンルも新録CDの絶対数は減りました。ただし、過去録音の復刻ではCD業界もなかなか頑張っているんです。応援せねば!

今日は、ジャズ、映画音楽、クラシック、の異ジャンルをクロスオーバーして活躍する天才アーチスト、アンドレ・プレヴィンさんについて書きます。1929年生まれですから、もう80歳かあ!

彼が1957年に吹き込んだ、ジャズ・アルバム「パル・ジョーイ」が、1100円の廉価CDで復刻され、ちょっと最近のお気に入りなんですね。

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その前に、アンドレ・プレヴィンさんとはどのような人か?を説明しましょう。クラシック音楽ファンなら、ウイーン・フィル、ロンドン交響楽団など名門オーケストラを指揮する世界的マエストロというイメージでしょう。2009年9月からは、NHK交響楽団の首席客演指揮者に就任するそうで、80歳とはいえまだまだ現役です。

一方、映画ファンは、映画音楽家としてのキャリアを思い出すでしょう。驚くべきことに、彼はアカデミー賞を4回も受賞しているのです。『恋の手ほどき』(58年)を皮切りに、『ポーギーとベス』(59年)、『あなただけ今晩は』(63年)、そして、オードリー・ヘップバーン主演『マイ・フェア・レディ』(64年)と、計4個のオスカー獲得!なんとも、凄いキャリアではありませんか!?

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で、今日はプレヴィンさんのもう一つの顔である「ジャズ・ピアニスト」に注目です。

1950年代半ばから彼のジャズ・リーダー作は、ミュージカルのジャズ編曲モノが有名です。「マイ・フェア・レディー」「ウエスト・サイド・ストーリー」などなど。

プレヴィンさんの弾くピアノの特徴は、確かな技術に裏打ちされたイキイキした「軽さ」。それが、ミュージカルの明るく、ドリーミーで、前向きなテイストにバッチリ合致するのですねえ。(ワタクシ、どっぷり暗く重いタイプのジャズ・ピアノって、苦手なんですよ・・バド・パウエル。セロニアス・モンク。うーん、思い出しただけで気が滅入る。。)

今年6月19日発売のアルバム「パル・ジョーイ」(1957年)は、「マイ・フェア・レディー」でタッグを組みヒットを放ったジェリー・マン(ドラムス)との再コラボです。ジャズ・トリオは「3人のバランスが重要だ」と言いますが、本作の場合、ハッキリ言ってプレヴィンさんのピアノは走り気味です必死に合わせにいく(ように思える)ドラム、ベースですが、ヒヤヒヤするどころか、そんなプレイに活気があって、むしろ微笑ましい。さすがです。

それにしても、この才気あふれるジャズ・プレイは一聴の価値があります!僭越ながら、クラシック音楽でしか彼を知らない皆様には、お勧めですね。

ところでクラシック演奏家としての、プレヴィンさんの名演も紹介したくなりました。私の大推薦ディスクは「ブラームス ピアノ三重奏曲1番」です。彼の弾くピアノにムローヴァのヴァイオリン、シフのチェロが絡む絶品。90年代のデジタル録音ゆえ音質も素晴らしい。ゆったりした「歌心」にあふれるピアノが、ブラームスの泣きメロにピッタリなんですよ併録のベートーヴェン「大公」トリオも良いですが、お勧めは断然、ブラームスです!

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ジャズ・トリオでの「パル・ジョーイ」。

クラシック・トリオでの「ブラームス」。

どちらもアンドレ・プレヴィン御大の偉大さを認識するCDでございました!


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ふくずみ

門前様から見ると、おい、そこかよ?と突っ込まれそうですが、アンドレ・プレヴィンというお名前から最初に思い浮かぶのは、「アンネ・ゾフィー・ムターの(元)夫」ということです。
ムターさんのファンだった私は、彼らの結婚(10年くらい前?)に、「あんなジジイと結婚かよ!」と怒りを覚えました。もっとも、数年前の離婚のときには、興味が失せていましたが。

あのお歳で、N響の首席客演ですか。
指揮者には定年が無い、とはいえ、マタチッチ、ベームといい、NHK交響楽団の「お年寄り好き」にも困ったものですね?

プレヴィンのジャズ系録音は聴いたことがありませんが、チャンスがあれば聴いてみたいです。
by ふくずみ (2009-08-09 08:42) 

門前トラビス

To ふくずみ様、コメントありがとうございます。ハイ、ご期待どおり、突っ込みとして「おい、そこかよ?」と言わせていただきますね。
アンネ・ゾフィー・ムターさんは、私は同じ歳ということもあり、美人だし、昔から好きだったのですが、アンドレ・プレヴィンさんとご結婚、と知った時は、まじにビヨーン(この擬音変?)と驚いてしまいました。

だって、年齢差30歳以上!すでに相手はご老人!(失礼)
で、離婚されたと聞いた時は、うーん良かった(何が良かったのか分からんが)、と思ったものです。

うひゃー、N響のマタチッチ時代!ありましたねえ。
私は最近までの、アシュケナージさんが頑張っていたと思うのですが、どうもN響側としてはお気に召さないようで、契約更新されませんでしたよね。
小澤征爾のボイコット事件(古いな~)から、N響はどうも「気位の高い」集団に思えます。
中堅指揮者ではコントロールできないのかもしれませんね。
私の友人は、「日本のオーケストラの中では、やっぱりN響が一番良い」というのですが、たまたまかもしれませんが、私はN響のコンサートに行って、いい思い出が全くありません。一度は、耐えられずに前半で帰りました。

おっと、プレヴィンのジャズアルバムのお話でしたね。
まあ定番ではありますが、「マイ・フェア・レディー」から入るのが良いかと思います。
ただし注意が必要なのは、このアルバムの演奏者は「シェリー・マン&ヒズ・フレンズ」になっていて、アンドレ・プレヴィンは「友人」扱いになっています、つまり彼の名のリーダー作ではありません。
まあ、このあたりがジャズの面倒なところですね。
by 門前トラビス (2009-08-14 10:58) 

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