札幌で、「アントン・チェーホフの遺産 ≪サハリン島≫2017」展を拝見したハナシ。 [本]

北海道出張のさいに、札幌である展覧会を拝見しました。2017年9月9日~11月19日、中島公園内の北海道文学館で開催中の

「アントン・チェーホフの遺産 ≪サハリン島≫2017」展、であります。

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ロシアの文豪アントン・チェーホフさん(1860年~1904年)については、当ブログで何度か取り上げております。そう、ワタクシは、チェーホフさん(の小説)にぞっこんで、そのことをご存じの友人Aさん(札幌在住)が、このイベントを私に教えてくれた次第。これが北海道文学館です。

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ポスターから分かりづらいですけど、この展覧会はチェーホフさんが1890年に敢行したサハリン紀行にフォーカスした企画です。北海道出身のワタクシは、サハリン島と聞けば「ああ、樺太ね。」とピンときますが、きょとんの方もいると思うので地図をつけておきます。北海道の北にあるロシア領の巨大な島のことですね。

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チェーホフさんは、24歳でモスクワ大学の医学部を卒業して医師となり、28歳には小説を評価されて最年少でプーシキン賞を受賞する、エリートかつ俊英なのでした。

その彼が、なんの動機か、30歳でモスクワから1万kmも離れたサハリンへと向かったんですね。当時はシベリア鉄道もなく、流刑地サハリンは、文字通り「地の果て」だった。約3か月の苦難の移動をへて、目的地へ到着したチェーホフさんは、各地のレポートだけでなく、1万件の住民調査という執念の仕事を成し遂げています。

医師で文学者の彼が、なぜそこまでの情熱をサハリンへ傾けたのか・・・疑問は展覧会で判明するどころか、過酷な現地状況を示す展示物をみるほど、深まっていくのでした。

チェーホフさんが訪れた街の、当時の様子と、現在の写真の比較展示は見応えがありました。さらにサハリンに関わりのあるロシア芸術家の作品や、日本の作家のサハリン関連本も紹介されていて、イベント企画スタッフの努力とご苦労に敬服しました。

そういえばワタクシ、チェーホフ好きを自称していながら、著書「サハリン島」は未読でした。チェーホフさんとルポルタージュの組合せが、私の中でしっくり結びつかなかった故ですが、今からでも読まねばなるまい!

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最後にひとつ。他人のミスをみつけ、鬼の首でもとったような言動は嫌いですが、本展覧会の展示の「間違い」について書きます。

展示室の壁にかかったチェーホフさんの「サハリン島」の原稿(複写)が、上下さかさまに掛けられていたのです。これは正しい向きのその原稿。

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間違いに気づいた理由は、文章をしっかり読んだからではなく、一行目の数字「1890」です。それが、さかさまだったから。この箇所ですね。

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もちろん、このことは係員の方に伝えて、すぐに正しい向きに掛け直していただきました。私が会場に行ったのは、イベント初日でもあり、たいしたハナシじゃないかもしれません。でも、展示は、もうちょっと注意深くやってほしい、と思う次第です。シロウトの私でさえ、気づくようなミスは、いけませんね。

こんなことを書くのは、最近、展覧会やコンサートの会場で、あまりにずさんな展示や表示を多く見るからです。たとえば、今年前半、八王子の富士美術館の某展覧会では、アートショップで、恐ろしいことに、画家の名前を取り違えていたのです。多少でも美術が好きなら、間違えようもないキスリング作品に、違う画家名をぶらさげていた!このときも、即座に指摘して修正してもらいました。

エラソーになりますけど、お金をとるイベントなら、展示するひともプロとしてしっかり仕事をしてほしいと思います。

・・・と、せっかくの良いイベントへの記事が、最後にネガティヴ苦言になってスイマセンーーー。ちゃんちゃん。

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