ル スコアール管弦楽団 第42回演奏会。ストラヴィンスキーとニールセンを、見事に演奏しきった力量と気合に感動です。 [クラシック音楽]
昨日(2017年7月1日)、墨田区の、すみだトリフォニーホールでアマチュアオーケストラのコンサートを拝見しました。
都内を拠点とするル スコアール管弦楽団の演奏会です。年2回ペースで、今回が42回目の演奏会だけあって堂々たるものでした。「アマチュア」の語から想像する域を超えたハイレベルな演奏を聴かせてくださいました。
いやあ、話がクドクて申し訳ないですが、各メンバーの演奏技術は本当に素晴らしいです。お世辞ではなくプロ・オーケストラの演奏と言われても、そうだよね!と思うほど。弦楽器は、鳴りといいメリハリといい文句のつけようがないし、アマ・オケの弱みといえる管楽器や打楽器も完璧と言ってよいです。
強いて難をいえば、音楽以外の本職を持つ皆様が、時間制約のなかで練習するためか、「合わせ」つまり楽器間のバランスがどうしても難しいですね。オケが強奏するなかで、どのラインを活かすか、となると、さすがに本職の職業音楽家に強みがありますものね。
ところで今回の演奏会。選曲がすごかったです。
前半は、ストラヴィンスキーのファイヤーバード=「火の鳥」全曲版。「ペトルーシュカ」「春の祭典」とともに彼の3大バレエ音楽の一角をなす代表作であり、かつ、20世紀以降に発表されたオーケストラ音楽のうちでも最大級の問題作といえます。私は、CDでは何種類か演奏を聴いてますが、実演は今回が初めてでした。
結論を言いますと、いやあ~感動しました~。「火の鳥」ってこんなに良い曲だっけ?と目からウロコ。
バレエ実演無しの「音楽のみ」ゆえ、50分の長丁場だと途中でダレるのでは?と懸念しましたが、とんでもございません。ル スコアール管弦楽団は、あるときは色彩豊か、あるときは激情をほとばしらせながら、弛緩のカケラもなくフィナーレへと流れこみます。これぞ「火の鳥」の名演。拍手拍手!
それにしても、なんつう奇妙キテレツな音楽だろう。。。昨今のクラシック音楽ファンは、こうゆう楽曲もベートーヴェンやモーツアルトと同じジャンル(=クラシック音楽)としてフツーに聴くのでしょうか。クラシック音楽を50年ちかく聴いてるオールド・リスナーの私は、若い頃の刷り込みゆえか、いまだ刺激的(率直に言えばヘンテコ)な音楽に聴こえます。ストラヴィンスキーやバルトークの音楽は大好きですけど、繰り返して聴く類ではなく数年に1度、たま~に聴くのが良いなあ、と個人的に思う次第ですな、はい。
おっと話が、脇へ逸れてしまいましたね。
ル スコアール管弦楽団、第42回演奏会の後半プログラムにいきましょう。うはあああ~おひょおお~(←興奮しすぎ?)ありがとうございます。選曲した方には感謝してもしきれません。ワタクシの大好きなこの曲だから、です。
ニールセン 交響曲第4番「不滅」であります。
デンマークの作曲家ニールセンが残した交響曲は全部で6曲あり、ワタクシにとってのTOP1が「第3番」、それに次ぐフェイバリットが「第4番『不滅』」であります。1位2位をつけたものの、どちらも私の偏愛曲です。
ル スコア―ル管弦楽団は、秀逸な管楽器軍団が、あの嵐のような冒頭の全強奏をガオーッとばかりに響かせるわけです。次に、いったいアナタは何者ですか!つうくらいのスゴワザのティンパニ奏者さん(女性)がバチをふるうわけです。続けて乱高下するジェットコースターばりのメロディを、合奏バッチリの弦がガシガシ弾き切るわけですから、こっちとしてはスカーッと「溜飲が下がる」。この日本語は、こんなときにこそ使う言葉であります。
当曲の最大の見せ所(聴かせどころ)といえば最終楽章でしょう。ステージに向かって左奥のティンパニと、右奥のティンパニ2名による「掛け合い連打」です。このパフォーマンスには、他奏者(弦、管)は分が悪い。フリージャズじゃあ、つうくらいの連打、いや乱打にクラシック音楽以外のジャンルならば観客総立ちで、ヤンヤヤンヤ盛り上がる場面でございます。
このノリを例えるならば、バディ・リッチとマックス・ローチのドラムスガチ対決か、アルバム「Drum Night at Birdland」のアート・ブレーキ―、エルヴィン・ジョーンズ、フィリー・リー・ジョーンズ、あと一人(名前忘れた)のドラム合戦!あるいはハードロック界の千手観音(←私が勝手に命名)こと故コージー・パウエルさんのスーパープレイ!はたまた超絶テクニシャンの神保彰さんか!?
・・・つうくらいの劇的ノリと興奮のなか、ニールセン「不滅」は幕を閉じたのでありました。パチパチ。。。
嗚呼、なんという良い曲。そして見事な演奏。気づけばホホを伝わる涙。ダウランド「流れよ、わが涙」・・・ちょっと今、思いついた連想。本論と関係なくってすいません。
ラ スコアール管弦楽団の皆さま、迫力あるステージをありがとうございました。そしてお疲れ様でした!
【蛇足】
CDマニアのワタクシが愛するストラヴィンスキー「火の鳥」のディスクはこれです。ジャケット写真は、ロシアの名指揮者ゲルギエフさんですが、浮浪者っぽい面相ゆえ、風景イラストに変えたほうが良かったと思います。このCDの演奏は、キッチリしすぎておらず、野性味と美しさが絶妙に同居している点で、とにかく飽きさせない。良い意味で「面白い」演奏です。カップリング曲がスクリャービンの交響曲という点もポイント高しだ!
次に、ニールセン「交響曲第4番『不滅』」。定番としては、ブロムシュテットさん指揮サンフランシスコ交響楽団によるクールビューティな演奏ですけど、あえて別モノをチョイスしました。勢いあまってスゴイことになっっちゃてるディスクです。晩年のコリン・デイビスさんがロンドン交響楽団を指揮したライブ盤。またぞろ演奏と関係ないツッコミで恐縮ですが、これまたメカニックなジャケット・デザインには難を感じます。内容とあまりにも不一致だもん。CD製作にかかわる方々は、もうちょっとアートワークに、こだわってほしいもんですなあ。うぐぐ。。。
はじめまして。
この回は、あいにく都合が悪くて聴きに行けませんでした。19日の第43回演奏会のマーラー3番も素晴らしかったですが、行かれましたか?
by 修理人 (2017-11-22 15:10)
To 修理人様、コメントありがとうございます。
当オーケストラによる11月19日の「マーラー交響曲3番」のステージも拝聴いたしました。
いやあ、良いコンサートでした!
その件も記事にアップしましたので、お時間ありましたら、以下、のぞいてくださいまし。
http://monzen-t.blog.so-net.ne.jp/2017-11-22
by 門前トラビス (2017-11-24 05:19)
こんにちは。記事を拝見しました。
本当に素晴らしい演奏でしたね~!
次回のチャイコフスキー4番も楽しみです。
by 修理人 (2017-11-24 11:06)
To 修理人様、コメントありがとうございます。
おお、次回(44回)のプログラムは、チャイコの4番ですか!
それはおおいに期待できますね。終楽章のどんちゃん騒ぎで盛り上がりたいです。
by 門前トラビス (2017-11-28 21:09)
サンフランシスコ交響楽団が来シーズンの曲目・日程を発表....
http://www.sfsymphony.org/SanFranciscoSymphony/media/Library/PDFs/18-19/142093_Subscription-Brochure-Rev2-Web-spreads-LR.pdf
by サンフランシスコ人 (2018-03-07 03:10)
To サンフランシスコ人様、コメントありがとうございます。
サンフランシスコ響というと、どうもブロムシュテットさんの音楽監督時代(Deccaに録音を残していたころ)のイメージが強いワタクシですが、ずいぶん今は様変わりしているようですね・・・これも時代ですね。。。
by 門前トラビス (2018-03-11 08:02)