宮沢賢治さんの「銀河鉄道の夜」「セロ弾きのゴーシュ」「風の又三郎」を再読。 [本]

札幌に住む友人Aさんが「これ、読んでみて。」と、一冊の本を貸してくれたのです。

Aさんが過去に貸してくれた本はパトリック・ジュースキントの「香水」「コントラバス」をはじめ、ワタクシのツボにはまるのが常であります。その点で、ワタクシは彼女をおおいに信頼しているのです。さて今回、Aさんからお借りした本とは。

「宮沢賢治コレクションⅠ」。え?宮沢賢治?

銀河鉄道02.jpg

なぜ今、宮沢賢治・・・。雨にもマケズ風にもマケズ。いえ、あっという間に負けている私ですけど。

本の発行日は2016年12月。お、昨年の新刊ではないか。さすが筑摩書房さん、宮沢文学をいまでもしっかりフォローするのねえ、と、よく分からん感心をしちゃうのです。

「コレクションⅠ」と銘打つからには今後、「Ⅱ」「Ⅲ」が発刊されるのでしょう。で、「Ⅰ」には、のっけから有名どころの「銀河鉄道の夜」「セロ弾きのゴーシュ」「風の又三郎」が惜しげもなく収録されているのです。

懐かしいなあ。読んだのは小学校のとき、正確に1973年。44年前(!)だ。

それほど宮沢賢治を愛していない(=世間が言うほど良いとも思っていない)ワタクシですけど、Aさんのお勧めということで読み始めました。

「風の又三郎」。そうそう、こんな話だったなあ。都会からやってきた転校生と、田舎の子供たちのふれあい。ふむふむ。(あまり食いつけない)

そして「銀河鉄道の夜」です。日本国民なら、存在は必ず知っている名作(と言われている)。でも、私は全然、覚えてませんでした。どんな話だっけ?SFファンタジーだっけ?

まあいいや、と読み進んでいくと。。。ううっ、うぐぐう。こ、これは・・・。最後の一行を読み終わったワタクシ、頭がジーンとなり、ぽろぽろ涙を流してしまいました。

銀河鉄道の夜、ってこうゆう話だったんだ。童話口調で書かれているけど子供が読んでわかるのか。いや、分かる子供もいるのだろう。でもジョバンニ(主人公)と旅をするカンパネルラや少女の言動は、大人だからこそ胸に刺さるのではないか。子供は「しあわせとは何か」なんて考えるのでしょうか(少なくとも、作品に登場する人物たちのように)。44年前のワタクシには全く分かっていなかったです。55歳の今のワタクシだからこそ「銀河鉄道の夜」で語られる言葉や行いを、ああ、そうかあ、と共感できるわけです。

燈台守のこの言葉。 「なにがしあわせかわからないです。ほんとうにどんなつらいことでもそれがただしいみちを進む中でのできごとなら峠の上りも下りもみんなほんとうの幸福に近づく一あしずつですから。」・・・うーん、泣ける。

そしてハリウッド映画の宣伝文句みたいだけど、衝撃のラスト、この破壊力はなんなのだ。ファンタジックな美しい物語を貫いていた太い芯が「自己犠牲」であり「博愛」と分かり、ポロポロと涙が出ちゃうわけです。いやあ、どっかの国の大統領に読ませたいねえ、まったく。

おっと、銀河鉄道への感想が長くなりました。しかし、この本のなかで私の大好きな作品は、なんたって「セロ弾きのゴーシュ」です。小学生の時に読んだ記憶とまさに同じでした。オーケストラ団員でいつも指揮者から怒られるヘタッピなセロ(チェロ)弾きのゴーシュ。彼が、夜中に家で練習していると、いろんな動物たちがやってくる・・・とまあ絵本にピッタリの題材だけど、なんともいえない良い感じ。良い味。これって、なんなんだろう。

コンサートが大成功した夜に、ゴーシュが空に向かってつぶやく最後の言葉。ワタクシ、またもポロポロ、涙を流してしまいました。この話じゃ泣かないだろ!と言われたって、かまうもんか。

銀河鉄道01.jpg

結論。

宮沢賢治さんは良い。あまりに有名、あまりに世間で高評価、あまりに東北観光の色が感じられ・・・で、なんとな~く天邪鬼的に再読してなかったけど、本当に素晴らしいと思いました。

やはりAさんの貸してくださる本はツボを外しません。ありがとうございました!


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