サン＝サーンスのクラリネット曲。ミヨーのヴァイオリン曲。素晴らしい音楽、ありがとうございます。

一昨日、昨日は委員会仕事で名古屋へ出張でした。丸二日、会議室に閉じこもっていたためか、どなたかの風邪をもらったようで、今朝から体調絶悪なのであります。無理して会社に行こうか、とも考えましたが、台風27号接近もあり、本日は1日休養日に決定です。

自宅での休養ですが、飼い猫もこ、に部屋を乗っ取られた悲しい事情もあり、私はオーディオ部屋に布団を敷いて臥せっていたのであります。オーディオ雑誌に「我が家のリスニングルーム」みたいな紹介記事がありますが、スピーカーの前に布団を敷いて寝ている人、は観たことがありませんね（当たり前か）。寝ながら音楽が聴けるじゃん、といっても、右スピーカーは頭のすぐ近く（約50センチ）、一方、左スピーカーは足元なので、音のバランス、めちゃ悪い・・・。まあ、バランス云々いうほどのオーディオマニアでもないので、どうでもいいのですがね。

夕刻には頭がスッキリしてきました。布団から出て音楽を聴くぞ、と、クラシック音楽仲間Aさんがコピーして郵送してくださったCD数枚を拝聴します。Aさん、ありがとうございます！

稲川淳二さん似のジョルディ・サバールさんがビオラ・ダ・ガンバを弾いたCD2枚。1枚は正統派バロックでラモーの楽曲。もう1枚はオリエンタル・フレーバーで丁寧な音作りに好感度高です。

タスミン・リトルさんがソロを弾くリヒャルト・シュトラウスとレスピーギのヴァイオリンソナタも面白いですね、こうゆう曲も作っていたのかあ、と新鮮で良し。

で、個人的に、おおっ！と食いついたのは、これですね。

名手ザビーネ・マイヤーさん（クラリネット）によるフランス作品のアルバム。サン＝サーンスのクラリネット・ソナタ作品167が素晴らしいんです。

サン＝サーンスのクラリネット曲って存在すら知りませんでした。ところでワタクシが声を大にした申し上げたいことがありまして、それはサン＝サーンスの楽曲の評価が世間的に不当に低いこと。「動物の謝肉祭」「交響曲3番、オルガン付き」といった有名曲もありますが、そのほかの交響曲、協奏曲、室内楽曲、独奏曲は甘ったるくイマイチと決めつけられてる節があります。一昔前のチャイコフスキーが同様の扱いを受けてましたっけ。

メロウなメロディは親しみやすく感情移入がしやすい、それゆえ「高尚さ」「品格」に欠けるってマイナス評価らしいけど、腹立たしいですね。何かを否定することでしか、自分を主張できないバカ評論家の評価をなぞってるだけだろう。そんなにクラシック音楽ってご立派でエライのかよ、所詮たかが音楽だろうが・・・と、私の腹立ちは置いといてサン＝サーンスのクラリネット・ソナタの話に戻りましょう。

冒頭のピアノにすぐにかぶるクラリネットの優しく切ない長調のメロディ。ゆったりした、ちょっとブラームスっぽい味わいが、悲しげな陰りを帯びると、加速、減速、を繰り返しAメロ変奏へ・・・この「とりとめのなさ」が、”ご立派な”ベートーヴェンやモーツアルトにはない抒情なんであります。洒脱な第2楽章、重々しい第3楽章を経て、最終第楽章（第4楽章）はやっぱり「陽」のテイストで、ここでザビーネさんのクラリネットが楽しそうに歌いまくり爽快ですねえ～。最後に第一楽章の冒頭のAメロが戻ると、しみじみ～と曲は静かに終わります。

良い曲を教えていただき、改めてAさん、ありがとうっ！

おっと、AさんからいただいたCDコピーで、もう1枚、感動したものがあります。ヨーロッパで活躍するヴァイオリニスト宮崎陽江（みやざきようえ）さんによるダウリス・ミヨー（1892～1974）の作品集「PASTORALE」であります。

400以上の作品を残した20世紀の巨人ミヨーですが、交響曲を２、３曲だけしか知らなかったワタクシです。ヴァイオリン曲は目からウロコでした。楽曲も演奏もステキです。

無伴奏ヴァイオリン曲「ソナチネ・パストラル」。3楽章でトータル5分程度の小品ですが高音部と低音部を弾きわけながら進む「一人二重奏」的な面白さに耳を奪われました。リサイタルで聴きたい曲ですねえ。

圧巻は「世界の創造」ピアノ五重奏曲版・・・第一楽章、寒冷地の冬の原野の風景をみるような悲しく不安な情感がぶわーっと漂ってきたところで、すっかりのめりこんでしまいました。ミヨーは20世紀の作曲家にしてはメロディがあり、楽曲が無味乾燥ではないところが良いのであります。全体に重たい曲ではありますが、気分が陰鬱になる類ではありません・・・って、これじゃなんのことか分かりませんね。オリジナル版（オーケストラ版）をぜひ聴きたくなりました。

AさんからいただいたCDコピーを堪能し、朝の体調絶悪からも立ち直り、日中、寝込んでいたとはいえ、まことに良い1日でありました。どーもであります。