アリス=紗良・オットさんの弾く、チャイコフスキー ピアノ協奏曲のCDは、必聴の名盤! [クラシック音楽]
1月に購入したCDのうち、現時点で暫定ダントツ一位が、これ!であります。
アリス=紗良・オットさんの弾くチャイコフスキーとリストのピアノ協奏曲のカップリングCDであります(1月6日発売)。
このブログで以前「ショパン ワルツ集」CDをとりあげた(記事はこちら)、私の大注目の若手ピアニスト、アリス=紗良・オットさん(1988年生まれ、ドイツ在住)。CD3作目にして、ついに協奏曲の録音・・・大いに期待であります~~。
数年前、彼女の弾くチャイコフスキーのピアノ協奏曲の実演を聴きました。当時は、10代の可愛い女の子で、演奏前は「誰、この子?」って感じでしたが、弾き始めたとたんに、うわあ・・・すげえじゃん!と大感動。
クラシック界には、売り出し中の若手ピアニストが沢山いますが、たとえばユンディ・リや、ラン・ランに比べてもアリスさんの演奏は素晴らしいと思うのです。(ユンディ・リも、実演聴きましたがパワーには圧倒されたものの、心に残ったものは希薄・・・リのファンの方、スイマセン)
話を、アリス=紗良・オットさんのCDに戻します。このCD、聴き始めた瞬間から耳が釘付けでした。さすが10代からメインレパートリーにしてきた曲だけあって、徹底的に考え抜かれた演奏で、その歌心は絶賛に値します。
どんなに才能があっても、努力で身につけることが出来ないもの、それは「品(ひん)」と「センス」だと思うのですが、オットさんは間違いなく、抜群の品とセンスを持って生まれた音楽家です。
名盤ひしめくチャイコフスキーの協奏曲にあって、決して埋没しない個性は卓越したセンスに裏打ちされていますね。
私は音楽の専門家ではないので僭越ですが、たとえば、オケとピアノがユニゾンで、タタタタタタタタ、と下降する箇所、彼女は、この音をスムースに流さずに、タタタ、タ、タタタ、タ、と、微妙な間と強弱をつけています。
一拍目ではなく、3拍目に間を入れてくるあたりで私のツボにバッチリはまります。
微妙なフレージング、アーテイキュレーション・・・あえて日本的に「節回し」と言いますが、あざとさがなく、ごく自然なんですねえ。そこが凄い!
オーケストラが彼女の地元名門ミュンヘン・フィルというのもプラスに働いた要因でしょう。ピアノを無理に前面に押し出そうとする「サポート感」がなく、オケとピアノは対等、目指すベクトルが完全に一致してます。オケが、ピアニストと作曲家へ共感と愛情をもっている様子が嬉しいですねえ。いいなあ~~。
これほどの一体感に満ちた協奏曲録音というと、ツィメルマンのショパン弾き振り(DG)、シフ(Pf)とヴェーグ(指揮)のモーツアルト・・・くらいかな。(ちなみに、その観点に限ると、イマイチな指揮者は小澤征爾さん、カラヤン、バーンスタイン、アーノンクールでしょうか・・・指揮者のキャラが濃すぎるってことか?)
とにかく、アリス=紗良・オットさんは、期待以上の感動を与えてくれました。近年、出色のチャイコフスキー演奏と言えましょう。リストの協奏曲へのコメントはまた別の機会にでも。
さて、来たる3月2日。アリス=紗良・オットさんの実演(at ミューザ川崎)にいってきます。演目は、CDと同じくチャイコフスキーのピアノ協奏曲1番!うふふのふ・・・楽しみであります。
コンサートに行かれるのですね!
楽しみですね!
アリス=紗良・オットさん、最近nyankomeさんの記事でも見かけたところです。
http://pavane.blog.so-net.ne.jp/2010-01-18
by Cecilia (2010-01-25 00:04)
To Cecilia様、nice&コメントありがとうございます~。
再三ですが、同じような演奏ばかりの、閉塞したクラシック音楽の世界にあって、コマーシャルな人寄せパンダではなく、「希望」を感じさせてくれる若手に出会うと、本当に嬉しくなってしまいます。
まさに、アリス=紗良・オットさんは、そんなお一人なのです。
3月2日のコンサートは、指揮者がサカラ・オリモさんということもあって、オットさんの弾く協奏曲にいっそうの期待をしてしまう次第であります。
あとは、どうしても実演を聴きたいのが、ヴァイオリン奏者の、アラベラ=美歩・シュタインバッハーさんで、CDで聴く限り、少し暗い音色の、しみじみした美音に、うっとりしてしまいます。
リスナー減少傾向著しいとはいえ、クラシック音楽、フレッシュな顔ぶれも活躍しているし、まだまだ楽しめますね!!
by 門前トラビス (2010-01-25 21:20)