アリーナ・イブラギモヴァさんの弾く、パガニーニ「24のカプリス」のCDが素晴らしい。 [クラシック音楽]

2021年12月。

本年も残すところ、10日ほどとなり「今年一番の〇〇は・・・」的に1年を総括する時期ですな。スポーツだと野球の大谷翔平さん、将棋だと藤井聡太さん。そして政治では、豊田真由子元・議員の「このハゲ~!」発言でしょうね・・・って、4年も前の話ですか、失礼。

本日はマニアックという批判などお構いなしに、ワタクシが、2021年もっともツボにはまったクラシック音楽CDについて書きます。

などと、えらそーに始めたものの、ワタクシ、かつてのように1年間に数百枚ものCDを購入するアンポンタンではありません。せいぜいが20枚。ゆえに、もともと好きなアーチスト、プレイヤーへココロが傾く点は、お許しを。「もう若くないさとぉ~♪、君に言いわけしたね~~♪ 」、名曲「いちご白書をもう一度」が出ました・・・って、なんのこっちゃ。

さて本題。2021年、もっとも感動したクラシック音楽ディスクは、じゃーん!

アリーナ・イブラギモヴァさん(1985年ロシア生まれ)が弾く、パガニーニ「24のカプリス」(CD2枚組)であります。

paga02.jpg
無伴奏(ピアノ伴奏なし)の超絶技巧曲で、バッハやイザイの無伴奏と並んで、ヴァイオリニストならキャリアのなかで一度は弾きたい、そして演奏を残したいと願う名曲中の名曲でありますなあ。

私が保有する同曲CDは、パールマンさん、五嶋みどりさん、神尾真由子さん、ユリア・フィッシャーさんのものですが、新たにイブラギモヴァさんのユニークで強烈な1枚が加わったことは、実に、実に、喜ばしいのであります。

イブラギモヴァさんについては、ワタクシ、当ブログで何度も取り上げており、2012年のベストCDに「ベートーヴェン、ヴァイオリン・ソナタ全集」を挙げ、同曲リサイタル(実演)を拝見し、その後も、モーツアルトのソナタ(東京でのリサイタル)、シューベストのソナタ(名古屋でのリサイタル)、ブラームスのソナタ(CD)とベタ褒めしてきました。彼女の大ファンであることを、臆面もなく声を大にして申し上げるのでした。わははは。

Brahms_ARINA_03.jpgで、今回の「24のカプリス」。コロナ感染拡大で彼女の住むロンドンがロック・ダウン、ステージがすべてキャンセルとなり使える時間ができたため、満を持して本曲に取り組んだ、という、ことわざで言う「怪我の功名」いや「瓢箪から駒」いや「塞翁が馬」・・・まあ、そうゆう経緯だそうです。

とにかく、本演奏の何が素晴らしいかというと「陰影」「深さ」ですよ。

決して腕自慢に走らず、ゴージャスな方向に向かわず、彼女のヴァイオリンの特質である「木綿のようなザラッとした味わい」と独特のグルーヴを武器に、大胆かつ繊細に展開する24曲。もう、ただただ聴き惚れちゃうのですなあ。

音楽を絵画に例えるのは乱暴だし、誤解を生みそうですが、「24のカプリス」の過去の演奏の多くは、ルネサンス絵画でいえば、イタリア系、ミケランジェロやラファエロと思えます。人間技とは思えぬ技巧を駆使し、均衡がとれ、圧倒的で、美しく、天国的であります。

それに対し、イブラギモヴァさんの「24のカプリス」は北方系のデューラーです。そこには明と暗、光と陰の対比があり、深い精神性と親密さがあり、まさに人間ドラマそのものです。力強いアタックのあとの、消え入るような細い音には、真っ黒な闇の背景に、光が一筋さす、そんな景色まで感じてしまいます。

つうことで、ひいきの引き倒しと言われようと、繰り返し、こう申し上げたいです、

アリーナ・イブラギモヴァさんの弾く「24のカプリス」は、同曲ベストといえる驚異的な名盤である!と。

とにもかくにも、はやく彼女の実演を観たいです。まったく憎たらしいのは、コロナウイルスですね。早くこの世から消えてくださいよ。本日は以上。

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