指揮者ベルナルト・ハイティンクさんが逝去。CD再聴でしみじみした日。 [クラシック音楽]

2021年11月23日(火)

勤労感謝の日、祝日であります。ふだんは土日でも早朝に社用メールをチェックしちゃうワタクシですが、本日は勤労感謝だから、メールなぞ無視じゃ!・・・いや無視ではなく、読まないだけである(同じことか)。

早朝、私の寝ている布団のなかで丸くなっている飼い猫そらを撫でつつ、本日やるべき事を脳内で整理します。

10月21日に、92歳で亡くなった指揮者ベルナルト・ハイティンクさんの演奏をCDで聴こうという計画ですが、さあて何から聴こうか、とプチ悩んだわけです。話が先走りましたが、ハイティンクさんとは長きにわたって名門オーケストラ、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席を勤めておられたマエストロ(ちなみに現名称は、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団)。

ワタクシよりも年配のクラシック音楽ファンなら、コンセルトヘボウ管といえばメンゲルベルク、ベイヌムといった指揮者の名が挙がるでしょうし、ワタクシより若い方はリッカルド・シャイー、ヤンソンスがしっくりするでしょう。

だが!ワタクシはフィリップス・レーベルからリリースされた膨大なハイティンクさん録音に、どっぷり浸かった世代ゆえ、コンセルトヘボウ管=ハイティンクさん、しか連想できない体(&脳)になっているのです。ワタクシがクラシック音楽を聴き始めた45年ほど前、すでに彼は大御所で、温厚なお顔、薄めの頭髪、高校の国語の先生って雰囲気が実に良かったわけです・・・って音楽家に対して容貌かよ。

果たしてその音楽は安定、実直、誠実であり、派手さのないあくまでジェントルな点が、瑕にさえ思えたものでした。しかし聴く側のワタクシも歳をとり、いまやハイティンクさんの「中庸」こそ、楽曲の素晴らしさを浮き上がらせる妙技だと知っているのである(ちょいと自慢)。

能書きは良いとして、本日聴いたCDをご紹介しましょう。のっけからワタクシの大絶賛演奏でございます。

ブルックナー交響曲3番「ワーグナー」、1988年録音、オケはウィーン・フィル。

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高々とそびえる大伽藍を思わせる彫琢された立体的な音楽に、これぞまさにブルックナーじゃ!と叫びたくなります。隙がない、それでいて息苦しくない。作為のない自然な音の流れが、ワタクシを至福の時へ誘ってくれるのであります。

褒め殺しになっちゃいますけどウィーン・フィルの数ある録音のなかでも、これはトップレベルの出来栄えなのではないでしょうか。いや、ホントですよ。ウィーン・フィルのブルックナー演奏といえばジュリーニ指揮の後期(7,8,9番)も良し、ベーム指揮の3、4番も、カラヤンの7番もすごいけど、ハイティンクさんの演奏はホントに素直に心にしみるんです。ああ、なんて良い曲なんだろう、と思えるんですよね。

おっと、ブルックナーの話が長くなった。次、いってみよう。

ハイティンクさんがアムステルダム・コンセルトヘボウ管を指揮し、アシュケナージさんがソリストをつとめるラフマニノフのピアノ協奏曲2番・4番のカップリング、1984年録音です。

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ワタクシがこのCDを買ったのは30年以上も前ですけど、お値段、3,500円ですか。レーベル表記が、DECCAではなく、LONDONなのも懐かしいなあ。「CDはロンドン」という小さなアピール文言も泣かせます・・・って、その話はどうでもいいわっ。

メインプレーヤーのアシュケナージさんには申し訳ないですが、この録音は、ハイティンクさんとコンセルトヘボウ管の演奏に耳が向かってしまいます。ロシアの大河のような(←じっさいに観たことないけど)悠々、堂々たる懐の深いオケの音に痺れます。

そうなんですよ、ハイティンクさんの協奏曲サポートは、出しゃばりはしないけど、縁の下の力持ちを超えた貢献をしちゃうんですよね。たとえば、ブレンデルさんとのピアノ協奏曲、ブラームスの2番しかり、リストの1番、2番しかり浮ついたところのない低重心の心地よさ。ベース・プレーヤーがしっかりしたロックバンドの体。フュージョンでいえば、ジャコ・パストリアスの、ウエザー・リポートへの貢献と言ってよいでしょう・・・と、話がややこしくなってきたので、この辺でいったん終わり。

次のCDは渋い。ヴォーン・ウイリムズの南極交響曲(交響曲第7番)。共演はロンドン・フィル。1984年録音であります。

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スコット探検隊の南極での悲劇を描いた映画音楽をもとに発展させた曲ゆえ、交響曲というよりは、表題音楽の色がつよく、ちょいと食いつきづらい面はあります。ハイティンクさんの演奏は、起伏にとんでいながら、安っぽくならない点がヨロシイですね。オケは変わっても、ハイティンクさんの安心印は揺るがないのであります。

というわけで、本日ワタクシは、先月逝去されたベルナルト・ハイティンクさんのCDを拝聴したわけですが、まだまだ手元にはCDがありますので、日をかえてじっくりと彼の芸術を楽しむことにします。

とりあえずは、2017年に購入したブレンデルさんのCDボックス(114枚組)に、ハイティンクさん指揮の協奏曲の録音がありますので、それを総なめしちゃいます。

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マニアックなクラシック音楽ネタではありますが、ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。そして、ベルナルト・ハイティンクさん、素晴らしい音楽を残してくださって、ありがとうございます!本日は以上。

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