「ルドン展」を拝見して感激しつつ、香川県やるなあ、と妙な感心をした日。 [絵画]

2018年4月某日。ワタクシのつとめている会社から、徒歩10分というご近所に「三菱一号館美術館」があり、現在、そこで、

ルドン展、「秘密の花園」

が開催されているのです(会期2月8日~5月20日)。おお、ルドン!うわ、ルドン!すわ、ルドン!・・・と画家の名を連呼してもしょうがないのですが、大好きですなのです、ルドンさんを。

当ブログで何度も書いていますが、ワタクシ、いわゆる「印象派」絵画が苦手で、セザンヌ、ルノワール、モネなど、何がどう良いのかサッパリわからない。たんにボヤけた絵じゃん、と思ってしまう。印象派嫌いの反作用でしょう、どうせボヤけた絵ならば、現実に存在しないもの、幻想的なモノ、を描いてほしいと思う。

というわけで、「見えないものを描く」名匠として、モローさん、ルドンさん、クービンさん、にベタ惚れのワタクシなのであります。

などと能書きを書いている場合ではない。そう、ルドン展、であります。ポスター、どーん。

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今回の展覧会の目玉作品はなんといっても、ルドンさんが、お金持ち貴族に依頼され、館の食堂を飾るために描いた巨大なパステル画でしょう。その作品のテーマが「植物」であり、ゆえに松田聖子さんの曲タイトルのような「秘密の花園」が展覧会名に付されたのでしょうね。それらは家の装飾であり、絵画作品ではないので、めったに観れないよ~ん、という主催者の人寄せ作戦(?)が功を奏し、会場は盛況であります。その壁絵は、たしかにルドンさんの美点がいかんなく発揮された名品でございました。

しかし。

ベタなルドンさんファンのワタクシは、そんな大作よりも(否定しているわけではない)、黒を活かしたリトグラフ等に、むしろココロ惹かれるのであります。この、じくじくした沼に生える人の顔をもつ植物、その、もの悲しさを観よ。

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原初の生物は、悪夢的な様相を呈し、上目遣いの目玉で何を見ているのか。

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モノクロ版画なので画集と同じじゃん・・・のはずなのに、この吸引力、訴求力はなんなのだ。

油彩画にも良い作品(というか私好みの作品)がありました。蝶々が舞う、カラフルながら明るさだけでなく奥深さを漂わせる力作。画面下の岩肌のリアル筆致が、舞う蝶たちを引き立たせています。世間に「幻想画」は数あれど、ルドンさんは、唯一、ルドンさんでありますなあ。

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そして、これはどうだあ。ルドンさんと言えば「花の絵」を連想する方も多いでしょう。しかし、この絵を「ルドンらしい」と思う方はいるだろうか。ぽわんとしたパステル調ではなく、ガッチリ造形構築された(とくに花瓶の安定感!)、この迫力。

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展覧会に来て何が楽しいかと言えば、このような「その画家らしくない」作品に出会えることですねえ。いやあ、楽しいなあ・・・と、約1時間、ルドンさん作品を満喫したワタクシでした。で、突然、ハナシが変わるけど、この展覧会。香川県とコラボしているようで、こんなコピーを掲げておりました。

うどんKEN LOVES るどんTEN

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・・・(絶句)。要するに「うどん」と「ルドン」の語感がそっくり(つうか一文字違い)に目をつけた強引コラボですな。いや、ワタクシ、こうゆう発想は嫌いではない。むしろ好き。なぜかといえば会場入り口で、グッズをもらったから。うどん、をもらったわけではありません。ボールペン、であります。

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丁寧なラッピングで、うどんKENの帯まで巻いてあり、中をあけると四国地図に香川県がマーキングされ、認知度アップに貢献。香川県ご出身の俳優、要潤さんが、香川県=うどん県、の副知事として地元PRであります。

やるじゃん、うどん県!

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ボールペンには、しっかりと、「香川県は、うどんだけじゃないよ」というフォローのコメントまで刻まれております。

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うどん県、ルドン展の語呂合わせ的な発想に、小さく苦笑しつつ、良いコラボである、と思った次第。ちゃんちゃん。

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しのぴぃ

こんにちは。
こちらの記事でルドンの作品をかいつまんで見られて、この方は手を変え品を変え何を描きたかったのか、わかるような気がしてきました。
沼に生えている人の顔をもつ植物の作品は、本の表紙に使われていましたので、この絵だけ知っていました☆

絵画は実物を見られるといいのですが、クラシック同様、あまたの作品がありますから、やっぱりインターネットを駆使するのがいいかな。

by しのぴぃ (2018-04-13 06:04) 

門前トラビス

To しのぴぃ様、コメントありがとうございます。
展覧会をみて、ルドンさんは、きっと「目に見えないもの」にこそ真実を見ていたのだな、と感じました。心の目で見る、というとカッコよすぎますが。。。
奇妙なものを描けば幻想的という、ありがちな世界観ではなく、確固とした信念、哲学のようなものが、ルドンさんの作品に漂っていましたです。
絵画もインターネットで気軽にいろいろ見られるようになりましたけど、サイズの大きな油彩画などは、PC画面よりも、やっぱり実物が良いなあ、と思う次第であります!
by 門前トラビス (2018-04-15 18:14) 

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