東京六本木の新国立美術館で「ジャコメッティ展」を拝見したハナシ。 [絵画]

終了した展覧会のハナシで恐縮ですが、先週、六本木にある新国立美術館で、

「ジャコメッティ展」(2017年6月14日~9月4日)を拝見したので、そのことを書きます。

スイス出身の、アルベルト・ジャコメッティさん(1901年~1966年)といえば、異様にぴよーーーんとヒョロ長い造形の人物彫刻で有名ですね。

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今回の展覧会、彫刻だけでなく、絵画(デッサン、油彩)などジャコメッティさんの多彩な作品に接することができ有意義でした。とはいえ、どうしたって目が向くのは「ぴよーーーん」な彫刻であります。

この「犬」などは、デフォルメが行き過ぎて、哀愁というか悲哀が漂うのですが、ジャコメッティさんにすれば、これこそが見たままの犬なのでしょうね。

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19世紀のロダンやブールデルを典型とする「物語の彫刻」を超越し、対象そのものの「本質」「実存」に迫ろうと苦戦苦闘した結果、余計な部分がそぎ落とされ、こんなガリガリ君になっちゃったってことでしょう。

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すごいな、と思うのは、どの作品にも時代を超える斬新さがあること。彫刻と空間がコラボした見事な表現!安易な完結(完成)を否定するゆえ、どの文脈どの派閥にも組み込まれない超然たる独自性がありますもんねえ。展示室の壁にジャコメッティさんのお言葉:「Trying is everything」(試みることが全てである)が掲げられていますが、実に意味深い。このお言葉と作品を観比べれば、有言実行のストイックな芸術家だと深く納得するのであります。

ところで今回の展覧会で評価したい点は、(初の試みではないものの)「自由に写真を撮ってよいエリア」を設けていることです。「作品の写真撮影はいっさいダメ」を金科玉条に掲げるのが、これまでの美術展でした。しかし今どきのスマホやデジカメはマグネシウム・フラッシュのような大光線を発するわけではないので、作品の劣化や、周囲への迷惑もほとんどない。つうか、インターネットで作品写真などいくらでも入手できるこの時代に、撮影全面禁止でもないわな、と私は思う。むしろ、来観者が写真をSNSにアップしてくれれば、それを呼び水に来場者の増加も期待でき、撮影解禁は企画側にとってもメリットあり、ですもんね。

というわけで私も持参のデジカメで、ぴよーーんとヒョロ長い女性像を撮影であります。長っ!細っ!

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ポスターに使われている「歩く男」も、もれなく、ぴよーーーんで長身でございます。

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小学生レベルの感想ですが、いやあ、ほんとに細いわあ。像を正面から写すと「棒」です。安部公房さんの短編小説「棒になった男」を思い出しましたね。

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下写真をみると、ジャコメッティさん本人も、この作品はお気に入りだったのか?

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ジャコメッティ展を30分ほど単能したワタクシ。満足気分で美術館を出たところで、そういえば、あの「歩く男」はどこかで見たなあ・・・と気になったのです。その数日後に謎が解けました。自宅界隈の町内会掲示板。そこに貼られた「空き巣に注意」のポスターです。描かれているドロボーが見てのとおり「細っ!」と声が出る、ジャコメッティ的な手足の持ち主であります。これで頭部と体が細ければ完璧なのに・・・。

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と、世界的彫刻家の作品と、ご近所ポスターのイラストが、ワタクシの脳内でガッチリ結びついたところで、今日の記事はお終いっ!チャオーー。

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