ポール・デルヴォー版画展を拝見。ビミョーな気持ちでウムムム。。。 [絵画]

2016年11月某日。ワタクシの住む千葉県市川市にある芳澤(よしざわ)ガーデンギャラリーへ行きました。こじんまりとした造りながら、ネーミングどおり緑あふれたステキな庭を持つホッとする場所であります。

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目的は11月27日まで開催している「ポール・デルヴォー版画展」を拝見するため。お、良い企画を持ってきましたね。

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ポール・デルヴォー(1897年~1994年)はベルギーの画家。美術史ではシュルレアリズム画家にカテゴライズされてますが、ワタクシのなかでは、もっと広く「幻想絵画」のヒトという位置付けです。

デルヴォー作品の実物は油彩でしか見たことがなく、今回、はじめて版画を拝見しました。

で、展示会場を一巡したワタクシ、うわ・・・ほどは驚きませんが、ちとビミョーな気持ちになったのです。理由は作品がストレートに「デルヴォーさんらしかった」から。そりゃあデルヴォー版画展だから当たり前だろ!とツッコまれそうですが、なんといいましょうかね、あまりにも「予想どおり」で、一昔前の言い方だと、想定内なのであります。

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描かれるのは女性の姿がほとんど。着衣もありますがメインは裸像。裸一貫!ではなく飾り(髪飾り、帽子、アクセサリー)をつけてエロテイストを増幅。こうした世界観が、まるで油彩画と同じなんですね。

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デルヴォー美学の象徴でもある「表情」もしかり。感情の抜け落ちた、ココロここにあらず的な顔つきに、今どき使わない言葉だけど、「痴呆美」を連想しちゃいましたね。

デルヴォーさんは長寿(96歳で没)なんですねえ。長年にわたり、徹底的にユメセカイを極めたかったか、あるいは、ほかの題材を描けなくなったか。いずれにしても、芸風のブレ無さにストイックでスゴイ、と思う一方で、ウムム、なんたる偉大なるマンネリ・・・と気分がビミョーです。

同じくベルギーの画家マグリッドさんは、視覚効果満点の「マグリッドらしい」作品を多く残しましたが、題材(モチーフ)には、かなりのヴァリエーションがありました。デルヴォーさんの、裸女たちによる幻想風景、の一貫性は、モネの「水連」、シャガールの心象風景、モランディの「静物」と同じ匂いがします。意味悪な見方をすれば、自らが確立し世界に認められた鉄板モチーフを、手を変え品を変えて、なぞり続ける自己複製っぽさを感じなくもない。話を広げますが、画家キリコさんが避けたかったパターンが、まさにコレだったんでしょう。

おっと、いかん、つい批判的な言い方になってしまった。

ようするに、ワタクシはそれほどデルヴォー作品を好きではない、という単純明快な答えに行きつくようです。おお、スッキリしたなあ。

そうですよ。絵画鑑賞なんてのは、結局は「好み」が大切。思い入れもない作品に、世界的に有名、という外野の理由を持ち込んで感動する(ふり)なぞ意味がない。そんなこた、できっこないしね・・・。うわあ、勢いがついて無茶を言ってしまった。デルヴォー版画展を企画された皆様、すいません。

というわけで口直し(?)にもう一度、芳澤ガーデンギャラリーの庭をひとまわりし、心穏やか~ぁ、になったところで今日はお終いっ!

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蛇足です。隣町、東京都葛飾区の立石駅ホームに、ポール・デルヴォー版画展のポスターが貼ってありました。となりには「寅さんサミット」のポスターが・・・。寅さんが葛飾区(柴又)のヒーローなのはわかりますが、これを並べるか?渥美清さんの圧倒的存在感の前に、デルヴォー版画展、めちゃ影が薄くなっておりましたね。とほほほ。

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