ベートーヴェン交響曲第9番「合唱」・・・のワーグナーによるピアノ編曲版がスゴイ。 [クラシック音楽]

2019年12月30日。

いよいよ令和元年も残すところあと1日・・・と月並みセリフをさえずりつつ、キホン私は年末年始などどうでも良く、大晦日はたんなる365日のうちの1日に過ぎないのですわ。ちゃんちゃん。

・・・てな天邪鬼発言した口で、お前そのネタいくか!?と突っ込まれそうですが、本日は、

ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」について書きます。

年末になると日本人のクラシック音楽ファンの多くが(って具体的に誰かは知らんけど)「第九」「第九」と浮かれ騒ぎ、コンサートホールでは毎日「歓喜の歌」が響き渡る・・・ことになっておりますナ。同じ9番ならブルックナーの交響曲のほうが全然良いと思うんだけど、このあたりはヒトの好みですわな。

ベートーヴェンの交響曲第9番(通称=ベト九)に対するワタクシの素直な感想は「良し悪し以前に、なんとも面妖な曲だ」というもので、10年に1回聴くなら良いけど、毎年は要らん、と、根室の「花咲ガニ」的な扱いであります(分かりにくい比喩ですいません)。ちなみに、私の年末必聴曲はマーラー交響曲2番「復活」。昨日はパーヴォ・ヤルヴィさん指揮フランクフルト放送交響楽団のCDと、ピエール・ブーレーズさん指揮ウイーンフィルのCDの2セットを聴きとおし、うーーん、やはり良いねえ、と唸った次第。。。

・・・あれ、話が逸れました、失礼。

ベト九に話を戻します。大オーケストラと大合唱団による重厚長大・威風堂々たる演奏に辟易するワタクシながら、この録音は超フェイヴァリットなのです。

ピアノ編曲版のベートーヴェン交響曲第9番「合唱」(1998年録音、BIS)。

BIS_OGAWA_01.jpg
シロウトの私が聴いても演奏至難のピアノ・スコア。それを弾きこなすのは超絶技巧の天才、小川典子さんであります。パチパチ。

ベートーヴェン交響曲のピアノ編曲といえば、鍵盤帝王のリストのバージョンが有名です。ステージにかかるピアノ版といえばほぼ100%がリスト編曲版でしょう。さすがは帝王、オーケストラ演奏をピアノに置き換える難題を見事に(悪くいえばリスト・テイストに)完遂しております。

いっぽう上に掲げた小川典子さんのCDは、リスト編曲版ではありません。なんとオペラ(楽劇というべきか)の雄、リヒャルト・ワーグナーさんが弱冠17歳でピアノに編曲したものです。修業時代のワーグナーさんは教師について勉強するほか、過去の名曲スコアを写譜する独自の勉強法をとっていたそうです。そのなかで、ベト九に感銘し誰から頼まれたわけでもなくピアノ版へのアレンジを始めた由。(ただし、さすが商売人のワーグナーさん、できれば銭に結び付けたかったようで・・・このあたりの顛末はCDブックレットに詳述されています)。

さてさて、のちにスゴイ作曲家に大成するワーグナーさんですが当時は17歳(日本ならまだ高校生)。ピアノ編曲にワーグナー「らしさ」はなく、良い意味でベートヴェンのオーケストラ・スコアを忠実にピアノ化しています。それゆえ、とんでもなく演奏が難しくなっちゃったわけですが・・・。

この「ワーグナー版」の良いところといえば、ピアノ1台演奏ゆえに、各音は明確に分離されて見通し(風通し?)がよくなり、暴言承知で言うとホンモノ(=オーケストラ版)の、だぶついた感じや大仰さが抜け、余計な重量感が無くなって聞きやすい!ともいえるのですネ。へえ、ベト九って、こうゆう音楽だったかあ、とワタクシなどポジティヴな印象をもったくらい。

さらに本CDが出色なのは最終楽章の合唱部分です。リスト編曲版は、歌唱・合唱すらもピアノに置き換えて(正確には「声楽あり」「声楽なし」を選択できるのだが)、完全器楽曲になっています。それに対しワーグナー編曲版だと歌唱・合唱部分はピアノにしていません。つまりワーグナー版は声楽がないと、歌部分はカラオケのようにぽっかり抜けてしまう、ゆえに歌唱ソリストと合唱団が必須というわけです。

この声楽が当該CDは素晴らしいんですね。スエーデンBISレーベルですから当然とも言えますが、「声」を受け持つのはバッハ・コレギウム・ジャパン。素晴らしい歌唱を披露しています。伴奏1台ピアノにあわせ、合唱は24名に縮小(この曲にしては超コンパクト)。歌い手はのどが裂けんばかりに声を張り上げる必要がないので、歌いだしのアタックは最小限で良い。その結果生まれた、優しく、温かく、聴き手を包み込む「歓喜の歌」に不覚にも涙を流したワタクシです(それだけベト九が秀逸な音楽である証なのでしょう)。

年末大騒ぎのオリジナル「第九」よりも、ワーグナー・ピアノ編曲版が優れているとは申しません。そうは言わないけど、音楽のツボとは聴き手それぞれ独自のもの。私は小川典子さんのピアノとバッハ・コレギウム・ジャパンの歌唱に、オリジナルで得られないエクスタシーを感じてしまう。そんなマニアックな自分を、ワタクシは褒めたいのだっ!

というわけで、自分へのご褒美として、これから「浜田省吾ベストアルバム」を購入します・・・って、そっちかよ!?

あ、そうそう。つい先日、バッハ・コギレウム・ジャパンによるベートーヴェン交響曲第9番「合唱」のCDがリリースされましたね。

BIS_OGAWA_02.jpg
ピアノ編曲版ではなく、オリジナルのオーケストラ版です(って説明するもの変だけど)。この曲のCDを最後に買ったのはアーノンクールの全集か・・・くらい昔ハナシのワタクシ。でも、BCJの演奏となるとブルブルと食指が動きますなあ。本日は以上!

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。